キリンに憧れて 新章!!  雪道遭難。そして奇跡の生還!! | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

「明日2日(土)から3日(日)未明まで、天気はオホーツク地方は大荒れに荒れる模様です


 その晩、ニュースを見ていたオヤジ家一家。

翌日、早朝、天気はピーカンで始まった。


「天気予報って最近当たるのに、今日はさっぱり当たらないね。」オヤジ達は、娘1号が受験3日前にも関わらずに、いつものごとく家族全員で北見に遊びと買い物にミラ・イースで出歩いた。


 そして、その日の帰り道、オヤジの住んでいる隣町から買い物を終えて4時ごろに帰宅する途中から、天気は一気に豹変し、猛吹雪と化した。


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 当然、全車ハザードを付けながらノロノロ運転で、時速10キロほどで、オヤジ家に向かう。

「最近、あまりこんな吹雪、こなかったから、すごくこぇーーなぁーー。」と、オヤジはかみさんに冗談交じりに話しながら、しかし、目つきは真剣に前走車を追っていった。


 2台目前の車はやけに中心線に寄りすぎている。と思ったら、途端に路肩に落ちてしまった。

 かわいそうだが、助けには行けない。正直、こちらも一歩間違ったら同じ二の前になる可能性はある。


 普段、15分ぐらいで帰ってくる道のりを、1時間以上かけてようやくオヤジ達の住んでいる町の入口に差し掛かった時であった。


 そこで、前走車はピタッ!!と動かなくなり、それから車内の籠城が1時間ばかし続いた。

 苛立ち、反対車線を次から次に走り出す車。


その時点で、すでに車に閉じ込められて2時間が過ぎ、あたりは真っ暗になっていった。

 そして、燃料計を見るとすでに産量が2メモリしか残っていなかった。


 「まずいなぁーーー。」オヤジは数年前の吹雪の為に車に閉じ込められた事件を思い出す。


 ここで、エンストを起こすと、除雪が入った時に脱出できなくなる。

と、オヤジは燃料残量1メモリーになった時に、エンジンをストップさせた。


 あたりは急に冷えて体が凍えてくる。車内には毛布が1枚と小さなブランケットが1枚しか残っていなかった。いよいよ、本格的に命の危険を感じてきた。

 

 ついにオヤジは110番に携帯をかけた。

警察に聞くと、事故が町のはいりぐち付近で起きていて、悪天候のため除雪も無理。とのことであった。

 車内が寒いとトイレが近くなる。猛吹雪の中、オヤジ達一家は数回、外でトイレに出たときは、すでにオヤジ達一家の来ている服はびしょ濡れになっていった。


 午後11時ごろにようやく除雪車の音が聞こえ始めた。

 残り燃料1メモリ。距離にして30キロばかしの燃料を大切にして1時間に数分エンジンをかけて暖を取る。


 最初、すぐに除雪がはいるとたかをくくっていたオヤジの脳裏に、次第に凍死。という言葉が浮かんでくる。

 子供達を自分の体で温め、何としてでも最悪の事態を避けようよ考えた。


 と、その時、道路公団の人たちが現れた。すかさすオヤジは外に飛び出し、両手を大きく振り助けを求めた。

「ガス欠で車が止まりました。」


 道路公団の人の話しでは、この先の入口の事故で除雪は不可能なの隣町まで送ってくれる。ということであった。

 しかし、車がある場所まで、500メートルも歩かなければいけない。

 しかも娘1号のズボンは完全に濡れて冷たくなり、毛布1枚を腰にまいているだけであった。

 同じ500メートル歩くなら、いつもお世話になっているS車輌さんの家に避難したほうが近い。


午前0時、オヤジは意を決意してS車輌の社長にTELをした。


 寒さで指が震え、携帯がうまく打てない。数分かかってようやくS車輌の社長と連絡がついたが、その時、道路公団の人が毛布関係を持ってくることになったので、夜分の急な連絡のお詫びと、最悪の場合はもう一度、連絡とそちらにお世話になることを言い、連絡を切った。


 午前2時:燃料が残り4キロを切り、いよいよ車内は冷凍庫状態となっていった。

 すでに家族全員の洋服はびしょ濡れになり、本格的な凍死の恐れが出てきた。


 オヤジはこのままでは全員、本当に命の危険にかかわると感じ、反対車線に止まっている隣の車に、助けを求めた。


 隣の車の人は快くOKをしてくれたが、前に2名乗っているので、乗車は3名のみで、子供とかみさんのみを乗せてくれる。ということであった。

 それでも仕方がないので、オヤジは子供達とかみさんを乗せ、オヤジは別な車に助けを求めた。


その車には30~40代の女性が一人乗車していて、一瞬断られるか?と感じたが、快く乗車を許可してくれた。


 8時間ぶりに暖かい空気がオヤジを包む。スボンはすでにびしょ濡れ、ジャンバーも湿っていた。

 かみさんからのメールにも、指が震え1時間ばかし、満足に返答が出来ないオヤジであった。

 唯一の救いは、子供達が風邪をひいていなく、グッスリと眠っている。ということであった。


「本当に助かりました。数分前は凍死の恐れを考えていました。」

と、同乗の女性にお礼を言った。


 「それにしても、11時ごろに除雪が入ったと思ったのに、全然動きませんね。」

「ええ。本当にそうですね。車に10時間以上も閉じ込められていたから、ちょうど話し相手が欲しかったところなんです。」


午前、5時ごろ。

「もうすく、空が空けますね。空が明けると助けが来ます。」


5時30分ごろ、遥か彼方に黄色いライトをひかられて、除雪車がやってきた。

「助かった!!これでようやく暖かい家に帰れる。」


 しかし、除雪車はまでどもなかなか、くる気配がなかった。しかも、気のせいか裏道を除雪している雰囲気がある。

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 午前:6時。辺りが白けてくる。

画像は反対車線にも止まっている車たち。


「おそいですね?いったいいつこちらには除雪がはいるのでしょうか?」

と、オヤジは同乗者の女性と不安そうに話していた。


 午前7時ごろ急に展開が訪れた。オヤジが避難していた車の裏道。オヤジの車が埋まっている道の前側から、除雪車が現れた。

 車の多重事故の為、町の入口からは除雪が出来ず、裏道から除雪に入ってきたのであった。


 早速、ようすを見てくるオヤジ。と、その時、遭難場所の近所に住んでいる、同級生のK君と出会った。

「あれっ?オヤジ?オヤジも閉じ込められたの?」

「なんだ。知ってたら、俺の家に避難すれば良かったのに?」


見ると、かみさんと子供達を救助してもらった車と、オヤジの車だけが、雪に埋まって、ドァーの窓ぐらいまで雪がかぶさっていた。

 悪いことに、脱出の際にかみさんが間違って、まどを空けたままであったので、ミラ・イースの中は、雪に覆われ真っ白となっていた。

 もちろん、窓も完全に凍りつき前が見えない。


 除雪車、自衛隊員が総動員で、オヤジ達の車を出してくれている。


 オヤジは助けを求めた女性のドライバーに名刺を渡し、後でお礼に伺います。といったのだが、こんな時ですから、お礼は良いですよ。と言われたので、無理やり、女性ドライバーに2千円ほどを渡し、再びお礼を言って別れた。


 7時30分頃同級生のK君の家に家族でお世話になり、K君から予備のガソリンを分けてもらい、8時過ぎにようやく家族全員が無事に16時間ぶりに帰宅したのであった。


 残念なことに今回の吹雪で、中標津のご家族が4人亡くなり、家から500メートほど離れたところで、立ち往生した人が家に戻る途中で2名行方不明となってしまった。


 今回、天気予報を信じずに出歩き、ガソリンを満タンにしておかなかったオヤジのチョットしたミスが、家族全員を死ぬような危険な目に合わせてしまった。


 改めて、今回、無事に生還できたのは本当に奇跡的な事であるとともに、もう2度とこんな危険な目に家族を合わせてはいけないと、自分に戒めを誓うオヤジであった。


 しかし、9時過ぎに暖かいお風呂に入りやっぱり暖かい家はいいもんです。

冬はもうイャーーダ!!




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