キリンに憧れて 新章!! 遠き日の父親の想い出 Ⅱ | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 「トビラは2回に分けて、静かに閉めなさい。」



 中学生の頃、父親に良く言われた言葉である。

 当時の父親はどこの父親もそうであるように、厳しく、親に反抗するとすぐに正義の鉄拳が飛んできた。


 オヤジの父親もそうであり、オヤジはなかなか、父親が怖くて面と向かって話すことが出来なかった。

 また、そんな意志表示を表すかのように、扉をワザと音を立てて閉めたものであった。


 しかし、やはり父親のロケットパンチは怖いので、オヤジは次第に父親の言うように、扉を2回にして静かに、きちんと閉めるようになっていった。



 ある日の事であった。

扉が少し開いていた。


「●●(オヤジの名前)。何回言ったら判るの?扉はきちんと閉めなさい。と、いつも言っているでしょ!!」と、母親がオヤジを叱りつけた。


 オヤジの家ではオヤジが一番だらしなかったので、オヤジが真っ先に疑われた。(オヤジではない。)と反論したかったが、どうせ言っても無駄だと思い、オヤジは母親から黙ってしかられていた。


と、その時、「この子はそんなことをする子ではない。きちんと、扉は閉める子だ。」と、父親が珍しくオヤジをかばってくれた。


「?」普段、怖い。と思っていた父親だったが、この人は自分の事をきちんと見てくれているんだ。と、その時、始めて思った。


 他の人には決して自慢できる父親ではなかったが、オヤジはその時から自分の中で父親は絶対的な憧れで信頼できる人となった。


 子供にとっては父親というものは、永遠に強く、頼れる存在である。しかし、そんな父親もオヤジが30歳の時にあっけなく病気で逝ってしまった。



最近、オヤジは思う。


  娘達の本当に良いところを、自分はきちんと見てやっているのであろうか?

 単なる優しいだけの父親となっていないであろうか?



 あの日、オヤジが憧れた自分の父親のように、自分は成長しているのであろうか?



 思春期を迎え、日増しに気難しくなっていく娘達を前に、昔、頑固であったが、自分の絶対的な憧れであった父親を、最近、懐かしく思うオヤジであった。



 


  げげっ!!今日はいつものおふざけでない、真面目な終わり方になってしまった。


_| ̄|○  ガックシ!!





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