キリンに憧れてⅡ OYAZI!!ピーンチ!!2 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 さて、今日は6月というのに朝から真夏のように暑い日である。

オヤジは昼から早速、バトルスーツを着こんでレディとのデートに備える。早くも、分厚い革ジャンの下から滲む汗。

 

   戦闘開始!!

 OYAZIはレディに跨り、軽くアクセルをひねる。


今日の行先は車で30分程近くの峠だ。いよいよ峠デビューをもくろむオヤジであった。

しかし、どうも前回のようにしっくりと走りが決まらない。


 クラッシック・バレエのダンサーは、1日練習を休むと体の調子は3日前に戻るという。

 何日もの間、レディに跨らなかったOYAZIのシンクロ率はマイナス100%になっているかもしれない。


 なかなかしっくりこないレディとともに、一般道路よりも遅いといわれる伝説の高速道路に乗り込むOYAZI.。


 太陽はジリジリとOYAZIに照りつけ、分厚いプロテクターの付いたバトルスーツの重みが容赦なくOYAZIに襲い掛かる!!

「だめだ!!もう限界だ!!」と、OYAZIは弱音を吐き、高速道路を降りた。


 そしてレディの矛先を急きょ、昔、通っていた近くの町の喫茶店へ向ける。

昔のOYAZIは「漢は何があっても目的地に着くのだ!!」と頑張ったことであろうが、年をとると、臨機応変に対応するのが一番だ!!


とにかく暑さで一休みしたかったのだ。


 昔、通っていた喫茶店といってもOYAZIが20代の頃だから、もうかれこれ30年以上前の喫茶店だ。

多分、OYAZIの事などは覚えてもいないだろう。


チリン!チリン!!


 いきなり、バトルスーツで店内に入ると、店の人は「強盗が来た!!」と驚かれるので上の革シャンは外で脱いでから入るという心使いをみせるオヤジであった。


「いらっしゃいませ!!」マスターの奥さんはオヤジの顔を見ると、うれしそうに

「あなた。めずらしいお客さんが来ているわよ。」と。マスターを読んだ。

奥から出てくるマスター。

「お久しぶりです。オヤジの事、覚えています?」

「ああ。珍しいね。もちろん覚えているよ。」


しばらく、昔話に花が咲く2人であった。


一休みしたオヤジは、「失礼しました。また、来ます。」と、言って喫茶店を出た。


 今まで、オヤジのブロクに何か足りないと思っていたら、走った先でレディが映っている写真が無いと、気がついたオヤジは喫茶店の前で1枚。


 と、思ったら、店内からマスターがオヤジのバイクを見に来た。

というわけで、今回もレディを映す機会が無くなってしまった。


「すげーな。こいつって300キロ近くでるの?」

「ええ。まあ、出るそうですが、オヤジは怖いから安全運転です。」

と、言いながらバトルスーツを着こむ。

「まるで北斗の拳に出てきそうだね。」

そして、ヘルメットをかぶると、マスターは

「何か、このまま変身しそうなカッコだね。」

「あははは。昔から仮面ライダーに憧れていましたので。」

と言い、今ではもう慣れっこになった右足をつかないままで、サイドスタンドをはずしながらギァーを1速にしてレディを発車させる。


 喫茶店で十分に休憩したOYAZIはもう、峠を行く目的もすっかり忘れ帰路につくのであった。

 

 帰りは違う道で帰ろうと思い裏道を走っていたのだが、途中、マッドマックスのオープニングのように赤旗をふった人が現われた。

「警察では無い。事故か?」と、とっさにスピードを落としたOYAZIはその人の近くに行くと白旗に変わったので、「なんだ。道路工事か。」と、安心してアクセルをひねる。


  次の瞬間!!

「ジ・ジャリ道だっ!!」


 OYAZIはそう思うや否や、右足はフルブレーキをかけ、左足はとっさにギァーをシフトダウンの開始を始める。

4速!!3速!!

 そして、そのままジャリ道に突入!!もうブレーキは踏めない!!

そーいえば、師匠が14Rはジャリ道でラフなアクセルは厳禁!!と言っていたな。


 心なしかレディのケツが振り始める。


 周りの工事関係者が一斉にOYAZIの方に振り向く。

 「こーけーろっ!!こーけーろっ!!」のコールがかかっているような気がする。


 レディのトラコン(トラクション・コントロール)は最大レベル3に設定してある。


 ある雑誌によると、14Rのトラコン・レベル3の能力はジャリ道でアクセル・フルをかけてもタイヤは空転しないでジワリと前に進むという。


「頼むぜ!!相棒!!お前の能力を見せてくれ!!」しかし、さらにレディの尻は激しく降り始めた。

 OYAZIは無意識に軽く立ち上がり、両足でレディのタンクを締め付ける。


 レディとの格闘はほんの数秒間だったのだが、感覚にしたら1分以上も格闘した感じであった。

 無事、何事もなく舗装に乗り上げ一難を去ったOYAZIであったが、やはりこのままでは終わらないOYAZIとレディのデートである。


 ようやく、OYAZIに家まで後、10分ぐらいとなった交差点で一時停止をしたOYAZIであった。国道に入るために左折をしたいのであるが・・・・・

 そこは国道と交わる幹線道路で、OYAZIの信号は車が通ったらセンサーが働き、青信号になる信号なのだが・・・・

1分・・・・・・・・・・・・

2分・・・・・・・・・・・・

3分・・・・・?????

あれっ?ひよっとして信号のセンサーが働かなかったのかな?

4分・・・・そろそろ、左手が疲れてきた。


  OYAZIは完全に尻を左側に落として左足を付けているので、そのまま右足を付き直してギァーをニュートラに入れることが出来ないので、クラッチを握ったまま1速にギァーを入れていたのである。


5分・・・・そろそろ、対策を考えなければ・・・・


 まず、Uターンは今のOYAZIのテクニックでは無理なので却下!!

次に、このまま信号無視!!これも、まだ初心者の為、捕まったらえらいことになるから、なるべくならやりたくない。

 最後の手段!!いったんエンジンを切って、押して左折をする。


こ・これもあまりやりたくない。

「あれっ?あの人、大きなバイクを押しているよ?」と誰かが見ていたら、OYAZIの面目は丸つぶれになってしまう。


それとも、後続から車が来るまで待ち続けるか?


しかし、そろそろ左手が疲れ出してきた・・・・・


 OYAZIが悩んでいると、間もなく解決案がやってきた。


  ここは車は来るけど、めったに人は来ない道であるが、何故だかその時は正面から自転車に乗ったオヤジが・・・・

今まで、自転車に乗ったオヤジは交通の邪魔でしょうがなかったのだが、この時ばかりはOYAZIはその自転車に乗ったオヤジに祈った。


「オヤジ・カモーーーン!!」「ヘルプ・ミー!!」


しかし、オヤジはゆっくりとだが確実に手押し信号機の方へ。


「さっさと来いや!!」OYAZIはさっきの祈りを忘れ、いつの間にか自転車に乗ったオヤジを罵倒し始めた。


 OYAZIの左腕が限界になる前に無事に、自転車に乗ったオヤジは手押し信号を押し、OYAZIはようやく無限赤信号から脱出できたのである。


「たっだいま。」今日も無事に帰れてホッとするオヤジであった。
キリンに憧れて 第二部



 まったくレディとのデートは、毎回、パプニングだらけでスリリングです!!







 





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