バイクの甲高いエンジン音のする方に進んでいくと、たった一ヶ所開いていたゲートがあった。しかし、そこは駐車場は狭く、車は1台もいなかった。
そこにいた管理人にオヤジは車を止める場所を聞くと、車は奥の方に止めれるという事であった。
オヤジ達は二人分の入場料の2,000円を払い、奥に続く道にイースを走らせた。そして、狭いトンネルを抜け少し車を走らせると、いきなり視界が開け駐車場が現われた。
観客の車を見渡すとどう見ても20台ぐらいしかいない。そしてそこはちょうどオヤジ達が誰もいないと思っていた、メインゲートの裏側に位置していた。
「しかし、入場料が1人、1,000円って異常に安すぎないか?」
「ああ、これでサーキット場が運営できるのかな?」
オヤジと友人Iは本気になって十勝サーキット場の運営を心配した。
今日は久しぶりの快晴である。きれいな青い空に、甲高いエンジン音が轟いていた。
オヤジ達は早速、最高速が出るストレートが見れるピット上の2階である観客席に足を運んだ。
そこでは、レーサー達が200kmオーバーのスピードでマシンを走らせていた。
オヤジは初めてオートバイがこんなに速く走れるものだと知った。しかし、それと同時に何かアクシデントがあったら、生身の彼らはたちまちのうちに吹き飛んでしまうスピードでもあることを理解した。
オヤジは夢中になってデジカメを撮りまくったが、マシンのほうが速くどうしてもレーサーが正面を横切る画像はとることはできなかった。
この画像は偶然とれた1枚である。
友人Iいわく、デジカメは撮る対象物にピントを合わせてシャッターが切れるから、高速で走っているものを普通に撮ることは不可能。ということであった。
ある程度、彼らのストレートでの走りを見たオヤジ達は次に、コーナーでのベスト・ショットを撮るべくサーキット場をうろついた。
しかし、他は当然金網があり、コーナーリング中の画像を撮ろうとしても、金網にピントが合いうまく撮る事ができなかった。
しばらくうろつくと、オフシャルカーの待機している場所に出会った。
ちょうど車が通るところなので、金網のゲートが開かれている。
中は立ち入り禁止なので、その開かれているところからじゃまにならないようにオヤジはカメラを構えた。
そして、カメラは今までのブログ用の小型のデジカメから、ニコン・D80という本格的な一眼デジカメに交換した。
オヤジはプロのカメラマンの様にD80を惜しげもなく連射しまくる。
「今度来る時は脚立が必要だな。」と、ぼそっと呟く友人Iに
「脚立?三脚の間違いだろ?」そう、聞き返すオヤジに友人Iは金網の方を指差した。
「!」オヤジは友人Iの意味することを瞬時に理解した。脚立があれば金網よりも上で写真が撮れるので、自分のベストな位置を作れるのだ。
彼は昔からフイルムカメラの一眼も趣味とし、こんな場合はどうしたらいいのかとっさにわかるので、最近デジカメを始めたオヤジにとっては都合のいい存在なのである。
「しかし、今までデジカメの一眼はいらないと思っていたが、オヤジがD80で連射するのを見て気が変わったよ。」
「そうだろう。とりあえず、撮るだけとって後でいらない画像は全部処分できるからデジカメは便利だぜ!!」
「ああ。そうだな。デジカメ不用説派だったが、俺も気が変わった。考えておく。」
バイクのレースの次は一般車両のレースであったが、バイクのあの疾走感を観たオヤジ達には少し物足りなかった。
そして、車のレース中にいきなり雷が鳴り響いた!!
バリバリバリ!!
「えっ?雨?」しかし、オヤジが空を見上げても雲一つ無い。
そして、またも雷の音が!!
バリバリバリ!!
よくよく聞くと音は下のバイクのピットから聞こえてくる。それは、レーサーの奏でる爆音であった。
町の中でこんな爆音を聞くと近所迷惑であるが、サーキット場ではその音が不思議と心地よい。
残念ながら友人Iの都合で今回は昼までのたった2時間程の観戦であったが、オヤジと友人Iには十分すぎる満足感を得た。
「また、今度サーキットに来よう。」
二人はどちらともなくこう言い合って、十勝サーキットを後にした。
今回、初めて十勝サーキットにきて、本当に良かったと思っている。また、十勝サーキットの運営がとても大変で、レース活動をしている方やそれを支援している方々の努力でそれが成り立っているのが理解出来た。
ただ、ひとつ残念な事があったのだが、それはオヤジ達が立入禁止のゲート前の邪魔にならない所で撮影をしている時に、立入禁止区間に入り込んで写真を撮っていた人がいた事だ。
確かにだれしもカッコいいレーサーの写真を撮りたいのはわかるのだが、立入禁止地区はそれぞれ救急車が待機している。またクラッシュしたマシンがその人のところに飛んでこないとも限らない。
何かがあった時は、その人の為に、十勝サーキットの関係者全員に迷惑がかかる。
サーキットはレース活動者、観戦者のそれぞれが約束を守って、初めて安全に運営されているのだ!!
ちなみに、今回ミラ・イースを利用したのは、本当にりッター30kmも走るのか試したのだが・・・・
道中はリッター25kmをマークしたのだが、帰りに池田で燃料を補給して、140.1kmを走り、最後に地元でガソリンを入れた時は3.33Lしか入らなかった・・・・・ということは・・・・
リッター42.4km!!本当かい!!ミラ・イース!!