キリンに憧れてⅡ  走り去る14R。 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車


 先日からオヤジは体中悲鳴を上げている。体をかがめただけで


「痛い!!痛い!!」


と苦痛に耐えている。あまりの痛さにここ数日はネットもあまり見れないで布団に入って痛みに耐えている状態であった。

 

 かみさんが、「どうしてそうなったの?」とオヤジに聞くと・・・

「バイクで・・」とオヤジは小さな声で答える。


「あんたバカ?明日は何の日か分かっているの?なんで、そんな大切な日の前にバイクなんて乗ったの?」と、非難の声を浴びせる!!


 事の起こりは先日の21日の母親の一周忌の為に、その準備に前日の20日から休みを取り、午前中で用意を終わらせて昼から暇になった時であった。


  外は曇りで肌寒い日であった。

 

 レディに乗るのは寒すぎるし・・・・と、昼からは倉庫の片付けをしていた時であった。

 バイクカバーをかけっぱなしではレディはかわいそうなので、カバーをはずして、道路に出して・・・・

 その時、悪魔が現われたのだ!!朝から1日中パッとしない天気であったのだが、


 レディを道路に出した途端!!天気は一気に晴れだしたのだ!!


 「そーいえば、最近、用事ばっかりでお前と走ってないな?」

「よし!!ひとっ走り走ってみるか?」


 そして、オヤジは明日は一周忌があるのにも関わらずに、レディに跨った!!

 シンプソンのヘルメットは相変わらず前傾を取ると前が見えないので、今日もまずいけどモンザのヘルメットである。

 場所は気の向くまま、どこでも良かった。こいつに乗れれば良かっただけなのだ。


 相変わらずレディは止まっている時は、オーバーナナハンの存在を示すが、走りだすと200kgオーバーの存在を忘れるほど軽い。

 今日はそのため、なるべく町には行かないでずーつと走れる田舎道を選んで走ってみた。

 田舎道の為に道行く車は少なく、程よいコーナーをレディはヒラリヒラリと切り返していく。


 オヤジはポルシェが好きだった。いつかポルシェに乗りたくてポルシェの本を読んだ時に書いてあった記事がある。


「GT-Rは乗っていて速いし楽な車です。しかし、ポルシェはたとえ60キロで走っていても運転が楽しい車です。」

 

 その時は、そんな高性能な車に60キロで乗ったって何が運転が楽しいんだよ。!!と思っていたのだが、このレディに乗ってその本に書いてあることが解ったような気がした。


 たぶん、普通の人は高性能のバイクを60キロで走るなんて何が面白いの?と、考えるであろう。

 今のオヤジの体力やテクニックではレディを走らせることができるのは、これが限界であった。しかし、たとえそのスピードでも十分に楽しめ要素がレディにはあるのだ。そして、その官能のライティングの代償に一時停止の度に訪れる200kgオーバーの苦痛!!


 その夜、オヤジの体中に激痛が走った!!


ほとんどの読者は最初の方で、


 「ついにオヤジもコケたな!!」

 「これで、オヤジもようやく一人前だ!!」



  と期待した事であろうが、オヤジの体の悲鳴は単なる筋肉痛だったのだ!!50歳にもなると、情けないほどに体力がなくなっているのだ!!

 

 今までレディに乗っていても何ともなかったのに、急に今までの忘れていた痛みがオヤジを襲ってきた。

 

 オヤジの頭の痛覚は恐竜並か?



 今日、かみさんのミラ・イースで通勤途中であった。

 後ろからライトが4燈ついたバイクが迫ってきた。後ろの車をさりげなく抜かし、オヤジのイースに近づいた時に、

「違う!!4燈でない。外側のライトはポジションライトだ!!」

「真黒なZZ-R1400!!」と6眼フェイスを確認したオヤジはイースを路肩に寄せて1400にイースを抜かさせた時であった。

「14R!」

 そいつはまさしくオヤジと同じZX-14R!しかも真っ黒なやつである。

しばらくオヤジは14Rの後を追った。2車線に入ると、14R乗りはオヤジが早く行きたいと思ったのか、ゆっくりと走ってオヤジを先に行かせてくれた。しかし、オヤジがなかなか先に行かないとわかり、14R乗りは徐々に加速を始めた。


 ハヤブサは暴力的な加速をするというが、その反対に14Rは知らず知らずに加速を行い、いつの間にか最高速に乗り手を連れていくという。

 

 その14Rも、オヤジのイースがついていける程ゆっくりと加速していたと思っていたら、気がつくとはるか彼方にいたのだ。オヤジはその14R乗りのマナーの良さと、車を邪魔にしない走り方にカッコ良さを感じた。

 


  「すげーな。14R!!カッコいいな!!」とオヤジはその走り去る14R乗りに猛烈な憧れと14Rを乗りこなしている若い肉体にシットを覚えた!!



  ああ!!レディに乗っても大丈夫な若い肉体が欲しい!!誰か!!オヤジに若い肉体をくれっ!!


  


 もちろん若い女の子でも・・・・いや、おばさんでもOKです!!(なんのこっちゃ??)

 




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