キリンに憧れてⅡ バイク屋に明るい未来はあるのか?2 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

  バイク屋に明るい未来はあるのか?で、みなさんから暖かい励ましの言葉を頂いたが、ほとんどの読者が、何故、バイクを買うのに直接バイク屋に行かないでオヤジはオヤジの親戚であるS車輌に頼んだのが?と、疑問を持った事であろう?また、車屋を通してバイクを買ったからトラブったのだろう?と思った事であろう。


 


  はっきり言ってオヤジはS車輌の信者である。きついお布施もうれしく収めてしまう人間である。



 と、言うのは冗談だが、このS車輌社長はオヤジにカーライフの在り方や人としての付き合い方を教えてもらった人であった。


 オヤジの親戚にはこのS車輌の他、当時はN車輌という2つの車屋があった。

 

 オヤジが20代で初めて車を買う時に当然、親から親戚の車屋から買ってくれ、ということで、最初にN車輌で購入することとなったのだが・・・・

 

  当時のオヤジの給料は8万円、その中で自分が買える車は車体価格5万円、諸経費入をれて10万円ぐらいの車しか買えなかった。

 

 友人達はスカイラインや新車のシグマなどを乗り回している中、オヤジが買えた車は日産のチェリーという車であった。

 当時のチェリーは後ろがリフトバックになっているスポーツカータイプとミニパトにも使用されているオッサン車が出ていたのだが、オヤジはそのN車輌

「チェリーはあのリフトバックになっているスポーツカータイプのチェリーですよね?」と確認して買ったのだが、なんと来たのは、20代の成人男子が乗るには悲しすぎるオッサン車であったのだ。

 

 (ああ。そうか、オヤジがいつも試乗しないで失敗したと思っているのは、20代の頃からか・・・だったら、この性格直らんなーーー。)


 そのN車輌「だからチェリーってこれだよ!!」と言い、小動物的ハートを持つオヤジは有無を言わさずにそのオッサン車を買わされたのであった。


 次の日、友人達にオッサン車を見せると・・・・その日を境に、友人はオヤジの家には遊びに来なくなった。


 また、後日、N車輌から「あっ。あの車のお金なんだが計算が間違っていたんだ。あと5万円追い金してくれ。」

と傷心のオヤジにダブルパンチの言葉が入った。

 

 全財産をはたいたオヤジは、金策に困り泣く泣く親に頭を下げて残りのお金をN車輌に支払ったのだった。


 その時、オヤジは20代ながらも

「もう一生、親戚から車を買わない!!」

「たかが車で離れていく友人なんて本当の友人なんかで無い!!」

と、人生がなんたるかを悟ったのであった。


 そんなことも知らないS車輌の社長は、当時のRX-7(SA22)の後ろをFRPでフェラリー風に改造した車やハコスカを50万円で売ってやるぞ!!とオヤジにモーションをかけてきたのだが、人生のなんたるかを悟ったオヤジは、

「車は親戚からは絶対買いません!!」と頑なに拒否をしたのであった。


 そして、オヤジも30代になり、あのミッドナイトのSさんとの深夜の大爆走により、


(あっ!!Sさん。そろそろSさんの小ネタも出しますので心配しないでください。)


 RX-7のFCの魔力にやられたオヤジはFCの購入を決め、ディラーにFCの購入をする手続きをしている時に、オヤジの父親が倒れ、あっという間にこの世から去っていったのである。


 父親の葬式に、いの一番に動いてくれたのがS車輌の社長であった。


葬儀後、


「今までオヤジと付き合いが無かったのに何で父親の葬式を助けてくれたのですか?」


S車輌の社長にオヤジは尋ねると、S車輌の社長は


「お前の為ではないよ。」

「お前のオヤジさんの為だから俺は動いたんだ。お前のオヤジさんには生前いろいろお世話になったからな。」


 と、さもあたりまえのように答えた。

 

 オヤジは初めて人が損得を抜きに動く行為を知って男泣きに泣いた。


 父親の葬儀後、お礼も兼ねてオヤジはS車輌の社長のところでRX-7のFCを購入する意志を告げたら、

「冗談じゃ無い!!」S車輌の社長は列火のごとく怒りだした。

 

 RX-7のFCの購入の反対の理由は、まず燃費がL/3kmと悪いこと。その為、趣味に乗る車ならいいが、通勤に使うとなると必ず維持ができなくなる。という事と、反対の最大の理由はオヤジが30代ということであった。

 つまり、世間から見ると20代ではRX-7に乗っても許されるのだが、30代でしかも父親が亡くなった後にRX-7に乗ったら、オヤジが頭が狂った!!と思われる事を心配してくれたのだ。

 それでも譲らないオヤジにS車輌の社長は、

「買うならよそで買ってくれ。内で買ったら俺がいい笑いものだ!!」と言い、初めてオヤジは目を覚ましたのだ。


 その後、S車輌の社長に次にオヤジが乗って似合う車は何が良いか相談をすると、


「2枚ドァーのパジェロがいま内にあるぞ。」

「こいつは俺が猟をするために、特別にエンジンをボァーアウトして排気量を上げているし、前後にウインチをも付けている特別仕様だ!!」

「今なら160万でいいぞ!」


 1週間後、オヤジは160万円を用意して、パジェロを買いにいったらそのパジェロはほんの10分前に売れたとの事であった。

「ちょっと!!社長!!どーするんですか?同じやつを探してくださいよ!!」と、プンプン怒るオヤジに、


「このサーフはどうだ?今なら240万円だぞ!!」


社長!!240万って追い金80万円じやないですか!!そんな金どこにも無いですよ!!プンプン!」とふくれっらのオヤジに、S車輌の社長はとんでもない提案をしてきた。

「なあ、オヤジ!!お前の父親が残したあのエンジン付きウエルダー(発電機)、2台でいくらする?」


 当時、父親の遺産で、ほとんどゴミ同然のエンジン付き発電機が2台置いてあったのだが、業者に見てもらったら1台8万円で2台で16万円しか価値がない商品をS車輌の社長が1台20万円で買うと言うのだ。合計40万円で、オヤジの追い金は40万円ですむのだ。


  オヤジは次の日から

ハイラックス・サーフのオーナーとなったのだ。



 

 エンジン付きウエルダー2台は半年後にS車輌の社長の知り合いに1台40万円で売れたそうだ。


 当時、ハイラックス・サーフは新車以外市場には無くて、中古はまず絶対的に出ない中、オヤジは意気揚揚と会社にサーフを乗りつけた。

 

 そして、空前のアウトドァー・ブーム。時代の先端の車に乗ったオヤジは鼻高々だった。





「たかが車!!されど車!!」これはS車輌の社長の言葉である。





 ようやくオヤジは車コンプレックスからS車輌の社長のおかげで抜け出すことができた。








 いま、オヤジが人としてきちんと生きている事が出来るのはS車輌の社長のおかげだと思っている。





  商売がうまくいかないと、悩んでいる店は多いと思う。オヤジや、S車輌の他の多くのお客さんがS車輌のリピーターになっているのは、S車輌の社長が損得を抜きにしてお客さんの事を考えているからだと思う。そして、その動きが自然とお金につながっているのだと思っている。





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