それは3月の初めの事であった。ある日、オヤジは上司から呼ばれた。
「オヤジ!!君は4月からはこの店では無くて、違う店にいってもらう事になった。」
「はい。そうですか・・・・」
「ええっ!!て・転勤??」
普通、転勤となれば2月頃からそれとなく部長クラスの人が来て、転勤の了解を取るのだが、そんな話しもなくオヤジにとっては寝耳に水であった。
(ああ。そうか。もうそんな時期か。思えばオヤジもこの店に来て4年も経っているんだよな。)
(そうだよな。吹雪の帰り道に前が見えなくて、除雪車をぶちぬいたのは良いけどハザードをかけて徐行で帰った事や、アイスバーンの2車線でスリップして、5回ぐらいケツを振りながらも何とかぶつけないで立ち直った事もあったよな。)
と、オヤジは今まで往復100キロ近いこの道を何度も死線を切りぬけたことを思い出していた。
「おい。オヤジ。話しを聞いているのか?」
「あっ。はい。で、どこに飛ばされるのでしょうか?」
今まで転勤をしぶってきたオヤジにとっては、今度の転勤は単身赴任を意味する。(うーーん。帯広は近くに十勝サーキットがあるし、札幌はススキノが・・・・金はないけど)
「今度の赴任先は●●店だ。」
「はい。そうですか。えっ?●●店?」
実は●●店は、今の店の前の勤務先で、オヤジの家から20キロ先の店で通勤時間は今までの1/3になる場所にある店であった。
つまり、4月からはオヤジは古巣に帰る事になったのだ。
トーゼン、通勤時間は20分ぐらいという事は・・・・・うふふふ。バイクでの通勤も可能な範囲なのだ。しかも通勤途中にはおいしい峠もどきの道や、店の近くには湾岸線が・・・(単なる海岸線とも言う。)
このブログを読んでいる人のなかで、ツーリングで平気で300キロを走る人やバイクでの通勤は1時間ぐらいは何ともない人は多いと思うが、今のオヤジの体力では、バイクには1時間も乗ったらヘロヘロになってしまうのだ。つまりオヤジは休憩を入れても2時間しかバイクに乗れない人なのだ。
確かに車では、「休憩無しで13時間ぐらい走れ!!」と言われたら「おうよ!!」と二つ返事で走る自信のあるオヤジではあるが、バイクに関しては一般道は先読み、先読み、深読み。と考えられないぐらい先を読んでしまうオヤジなのだ。だから非常にバイクを運転すると疲れるのである。
バイクでも車でも当たり前だが、走ったら帰ってこないといけない。
それを考えると、オヤジのバイクの行動範囲は1時間ぐらいしか走れないのだ。
古くからの友人に(Iではないよ。)、バイクを買ったことを話したら、
「いいなぁ。休みになったら気が向いたら、知床横断道路経由で羅臼にいったり、富良野に行ったりできるよなーーー。」と簡単に遠くにツーリングに行ける話しをしたが、オヤジには程遠い話しである。
ちなみに、そいつはオヤジがアメリカンやネイキッドに何故しなかったのか、盛んに不思議がっていたが・・・・
(何度でも言うように、オヤジはバイクで速く走ったり、遠くに行きたかったにからでは無くて、ただ単にキリンに憧れていただけなんだよ!!)
やばい!このままいけば、14Rは単にオヤジの家に飾られてしまうだけの運命に・・・・
大体、そんなに遠い所に行くならバイクなんか使わないで、キャンカーを使うよ。ワシ。
FXに乗っていた時も、峰不二子のマネをして(おえっ!!)、革のツナギの下は何にも着ないでパンツ1枚で峠に行った時は、8月の真夏というのに非常に寒くて震えていた。
悲しいかな、次の日から真夏でもタイツを穿いたこともあった。そーいば、バイクに乗っていて暑いと感じた事が一度もなかったが、SSに乗るとエンジンの熱で暑く感じるのでしょうか?
思えば贅沢な事である。1日にたった2時間しか乗らない物の為に、大枚をはたいたのだ。
幸いな事にオヤジのホームグランドには、無料の高速道路。30分も走れば峠や湾岸線にぶち当たるので、気持ちよく走るには不自由しないのである。
バイクは人によって楽しみ方がいろいろあると思う。
ガンガン飛ばしたい人。
坦々とひたすら遠くまで走りたい人。
ただ、単にバイクを見てニヤニヤしたい人。(あれっ?オヤジの事か?)
サーキットで自分のテクニックを磨きたい人。
自分好みに改造したい人。
と、様々な楽しみ方があるが、たった2時間の走りがこれからの人生に生きがいを与えてくれると考えると、今からワクワクするのであった。
さあ。いよいよ春は秒読み段階に入ってきた。
14Rが来たら、オヤジはみんなの期待通りに、「試走。コケますた!!」となるか、それとも、「老キリン!誕生!」となるかこうご期待!!
・・・・・・まだいつ納車とか、というか、まだ支払いもしてねーよ。
最近、バイク屋さんに行くと心なしか支払のことを盛んに聞かれ、心配そうな担当者の顔が・・・・・・