キリンに憧れて    ピースサイン!! | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

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TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

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 高校を卒業したオヤジは次の学校に行くまでの間で、いの一番で原付免許を取った。初めてのバイクは友人から購入したあの、オヤジが有刺鉄線とお友達になったときに乗っていた「ヤマハ MR50」であった。

 「ヤマハ MR50」は今でいう、オフローダー系のバイクであった。


 当時の道路は主要道路はアスファルトであるが、わき道は殆どが砂利道が当然という状況であった。

 ある日、オヤジはオフローダー系のMR50がもっとも得意とするその砂利道を必死になって走っているときであった。(砂利道はハンドルを力いっぱい握り締めるよりも軽く添えるほうが走りやすいのであるが、免許取立てのオヤジにはそんな事は全然知る良しもなかった。)

 向かってくる一台のナナハンクラスの大型バイクのライダーがオヤジに向かってピースサインをくれたのだ。

 オヤジはハンドルから手を離すことが出来なかったので、そのライダーに頭をペコリと下げてピースサインのお返しをした。

 

 当時は原付はバイクでないと言われ、向かってきたバイクにピースサインを送っても250ccや400ccクラスの人には無視されることが多かった。

 オヤジはその大型バイクに乗っているライダーに畏敬の念と憧れを感じた。

 オヤジが片手を離せれないで必死になって走っている道をそのライダーは余裕で、しかも格下のオヤジに向かってピースサインをくれたのだ。


 バイクは基本的には孤独な乗り物である。たとえ、仲間とツーリングに行こうが、最後まで自分の力で走らないといけないのだ。

 ピースサインはそんな、バイク乗りの間で「走っているのは君一人だけではないんだよ。仲間がいるよ。」という相手へのエールであったのだ。

 夏になり観光地に行くとバイク乗りによく出会うのだが、最近は誰一人としてピースサインを送る人がいなくなったような気がする。

 ピースサインは安全上の関係で禁止になったのか?それとも本当にバイク乗り達は一人ぼっちになってしまったのか?

 それとも、単にオヤジが車だからピースサインを見ていないだけなのか?


 これからバイク乗りに復帰するオヤジとしては少し寂しい限りだ。

何故ピースサインをしなくなったのかを誰か教えて欲しいものだ。


 オヤジがキャンピングカーで走っているときは、同じキャンピングカーがやって来たら、相手に旅の安全と無事帰還するように。という意味合いを込めて片手で挨拶をすると相手もたいていは返してくれる。


 たとえピースサインが禁止になり、オヤジ一人になったとしても出合ったバイク乗り達に「君は一人で走っているのではないよ。君の周りにはバイク乗りの仲間がいるよ。」と心の中からエールを送り続けていくつもりだ。