キリンに憧れて   古傷 | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

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 オヤジの左肩には今は殆ど目立たなくなった切りキズがある。オヤジが高校生の時、原付で付けた若気の至りだ。当時、オヤジの高校はバイクを「運転させない」「買わせない」「免許を取らせない」という、俗に言う三ない運動があった。また、当時は原付は原動機付き自転車という事でヘルメツトも必要の無い時代であった。

 オヤジも人並みにバイクが好きだったのだが、三ない運動の為に免許を取る事ができない為に、友人の原付を借りて無免許・ノーヘルで広い敷地内で初めてバイクを乗った時の事だった。

 当時のバイクはヤマハMR50。スズキハスラー50と人気を二分をして、原付ながら下り坂なら100キロは出るという代物であった。

 

 バイクの運転は頭の中で何回もシュミレートして、クラッチ操作は難なくこなし、MR50は勢い良く走り出した。

 初めて乗るバイクにオヤジは興奮して更にアクセルを吹かした。

そしてみるみるうちに敷地の境界の有刺鉄線(俗にバラ線ね。)が迫ってくる。

 バイクは視線の向けたほうに走る。「あっ!!あそこには行きたくない!!行きたくない!!」と思っていると、確実にバイクはそこに向かって走るのだ。

 そう思いながらもオヤジは後輪のブレーキーを何回も踏むが、右足はスカスカと架空のブレーキを踏みっぱなしであった。

 そして・・・・・数秒後にオヤジは有刺鉄線とお友達になっていた。有刺鉄線にひっかかったオヤジは左ホホをがっっり切り、メガネは無残にゆがみ飛んでいった。

 その夜、オヤジは両親にこっぴどく怒られ、痛む左ホホにサビオを貼ってすごした。

 左ホホのキズは1週間で痛みが止まったのだが、左肩がズキズキしているのに気が付いた。よくよく痛む肩を見ると、左肩はホホよりも深くえぐれていたのだ。そこで初めて左肩もケガをしている事に気が付いたオヤジであった。

 今も左肩のキズはオヤジに問いかける。「オヤジ!!無茶な運転はしていないか?無茶な運転をしたら必ずシッペ返しが起きるぞ!!」


 これから初めてバイクに乗る人にオヤジから一言。バイクは速く走る事や、すごいスピードでコーナーを抜けることがカッコいいのではないよ。確実に止まれる事が一番カッコいいんだよ。と・・・


 ちなみにオヤジの後頭部にも手術跡がある。これは単に後頭部にできた脂肪を取り除いた後なのだが、何も知らない知人に聞かれると、「バイクで若気の至りで。」とハッタリをかますオヤジであった。