キリンへの道ー大型自動2輪への挑戦 ファーストチャレンジー | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 9月10日、大型自動2輪の卒業検定日。

 ついに僕にとってのその日が来た。

 天気は晴れ晴れとして試験日には絶好の日和。僕はストレスでこの2日間、満足に寝られなかったのが幸いしたのか異常に感覚が研ぎ澄まされ、その日は景色が今まで以上に良く見えた。


「君はだいぶバイクに乗っている時の姿勢が良くなったね。」

「そいいえば最近は腕は痛くなくて、足や股が痛くなりますね。」と答える僕。

「本当に最初、君の走りを見たときはどうなるかと思ったよ。」と笑ってくれる教官。

 もう、教官は今日の試験に僕が卒業できると思っていた。また、僕も密かに一発合格を狙っていた。

 今日の卒業生は全員で7名。しかも大型自動2輪の教習生は僕一人であった。

そして、大型自動2輪からの試験が始まり、僕がトップバッターとなった。

 その日、僕は多分、今までで一番良い走りを行っていた。一般路上コースを難なくこなし安定感のある走りで難関の一本橋にかかった。

「いっも15秒以上で渡れる人が緊張で脱輪した。」という教官のいやな言葉が横切る・・・・自分で数を13秒ぐらい数えた。

 最大の難関の一本橋を無事にこなし、S字、クランクと終了。急制動の前の一時停止を行い、左右の確認をしている時に、(残すところは急制動、スラローム、波状路で終了だ。後はスラロームさえこなせば何とか完走だ!!)と今まで無心に走っていたのだが急にそんな考えが横切った。


 そして、急制動に向けてバイクを40キロまで加速する。

周りをみると、中型の試験を受ける教習生の期待の入り混じった顔が見えた。みんなが僕の走りを見ている!!よし、ここは一つ大型自動2輪の走りをみせてやる。

更に僕はアクセルを振り絞る!!

その途端・・・・


 何かが僕の中ではじけた!!


あの時の記憶は今でも覚えてはいない。気がつけばキキキーーーーッ!!と大きなスリップ音と共にバイクが止まっていた。


 僕は暴走行為であえなく試験停止となった。


 後で教官から話しを聞くと、あの時は55キロ以上出ていて、本当に止まれたのが奇跡だったそうだ。

 そーえば、急制動で毎年、何人かの人が50キロ以上で止まれなくてケガをしていたっけ・・・・・・僕はぼんやりとそんな事を考えていた。

 

こうして、僕の最初の挑戦は無残に砕け散った。