ターニング・ポイント | クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

クラブ・ミッドナイト:正伝!! =Sの称号= 第2章

TYPE Rの称号を与えられなかったもう一つの悲運の車

 今年、母親が亡くなった。数年前から覚悟をしていたので不思議と悲しみは無かった。実家の遺品を整理していると、20代の頃にFXに乗っていた自分の写真があった。その姿はまだ、無限の可能性と希望に満ち溢れキラキラと光っていた。

 喪中もあけ、相変わらず忙しい毎日を送っていると、仕事場に以前、勤めていた会社の後輩がやってきた。

 いろいろと彼の近況を聞くと、彼は2年前に大型自動二輪の免許を取って、今はZⅡを乗り回している。という話しであった。

 そして、彼は僕がFXを乗っていたのに憧れて、バイクの免許を取ったそうで、僕にはもうバイクを乗らないのですか?尋ねてきた。

 そう、バイク乗りで言うなら、「こちら側にもどらないのですか?」

 その瞬間、僕の中で何かがはじけとんだ。


 「今しかない!今がターニング・ポイントだ!!」


 50代を目前とした、僕に大型バイクを乗り回す体力は今しか、もう残されていなかった。