(N109)西武鉄道の車両 | BLUEのブログ

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今回は西武の車両の詳細について記述してみます。
 
西武はかつて東急と同様に自分で車両工場を持っており、新規車両の製造も行われていました。9000系以前の車両では実際に所沢工場と書かれた銘板が張られています。しかし、バブル崩壊で景気が悪化すると共に工場の規模が徐々に縮小し、2001年にはついに工場が閉鎖されました。ちなみに、東急の自社工場も2012年にJR東日本に売却されています。
 

なお、以下に示す車両は現行形式及び「サステナ車両」として導入する予定の形式に限り、すでに引退した車両及び他社乗り入れ車両は記載しない事を頭に入れておいて下さい。

 

※2024年7月2日更新

 

  通勤型 

 

【101系】

 

 

1969年の秩父線開業と同時に導入された形式。当形式より黄色い塗装となり、これによって西武のカラーが確立した。これまでの「質」より「量」という考えを改めて当時としてはかなりのハイスペックで作られており、現在はかなりの本数が廃車にはなったが、その機器は現役の4000系9000系10000系に流用したほどである。なお、今走っているのは1979年以降に作られた「新101系」と呼ばれるグループで、先頭デザインが変更されている。
 
西武初の黄色い電車だった形式のはずだが、現在は様々な塗装に変更させられている。2013年までにワンマン対応改造を施してまだまだ現役であるが、気がつけば西武最後の3ドア車となっている。
 
【2000系】

 

 
1977年に登場した西武初の新製4ドア車。西武では珍しい貫通扉付きの車両であり、下回りは東急8000系に極力合わせられている。全体的には東急8500系を黄色くしてコルゲートをなくしただけといった感じか。なお、1988年には先頭デザインが若干変更されたが、このデザイン変更車を「新2000系」として区別する事もある。
 
一時は三菱製GTO-VVVFを搭載した車両(2097F)が存在したが、現在は廃車となっている。一部は30000系に準じた改造が施された編成もあるが、やはり時代の変化は激しいようでゆっくりとしたペースではあるが徐々に廃車が進んでいる模様。
 
【4000系】
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1988年に登場したクロスシート車。東武6050系に近いコンセプトで作られており、通勤車では珍しい2ドア車となっている。秩父鉄道直通用として設計され、100km近い運用があるからか1号車にトイレが設置されている。また、単線区間での運用による長時間停車に対応するため半自動ボタンが用意された。西武車である事をアピールしたいのか側面のラインライオンズカラーとなっているのが特徴的。以上のように車両の仕様の関係で主に飯能以西での運用が中心となっている。4両×2本の8両「ブツ」運用が多い。
 
当形式は機器を中心に101系の廃車発生品を流用しているので、下回りだけなら車齢50年前後が経過している。なお、4009Fは2015年になって西武 旅するレストラン 52席の至福という全席レストランの観光電車に改造されている。現行ダイヤでは唯一の秩父鉄道乗り入れ車両。
 
【6000系】

 


1992年に登場した有楽町線直通対応車両。当形式から本格的にVVVF制御が導入され、車両設備も一気に近代的となった。車体鋼もこれまでの黄色い普通鋼からステンレス製に進化。しかし、途中の6051Fからアルミ製となったためステンレス製は初期車のみのガラパゴス仕様となってしまった(アルミ製は6050系と呼ばれる事も)。それでも当形式は1990年代における最高スペックの車両と考えてもよく、21世紀になってから作られた20000系以降にも引き継がれた要素がかなり多い。
 
このように西武黄金期を象徴するのが当形式だが、現在は一部車両にLCD搭載(そもそも当形式が最初の車内LED搭載車だったはず)、SiC-VVVF制御やPMSM(6157Fのみ)の導入などさらにスペックが上がっている様子。行先表示は副都心線対応改造車に限り東急と同じものに交換されている。なお、40000系の登場前は西武有楽町線に乗り入れられる唯一の形式だった(試作車の6101・02Fを除く)。
 
【9000系】
 
1993年に登場した西武最後黄色い電車車体は2000系と同一とされているが、下回りは全く別物である。当初は101系の機器流用で凌いでいたが、2004年以降はVVVF装置に交換されている。以前は10両固定編成を組んでおり、池袋線の優等種別での運用がほとんどであったが、最近になって一部編成が4両化された。現在は新宿線系統のワンマン運転区間を中心とした運用となっている。
 
ただ、VVVF制御にしたのはいいものの、それ以外の機器が西武最古残といっていいほど古くなってきているため、後述の40000系が登場した事をきっかけに廃車及び短編成化が進んでいった。当形式は塗装変更車が多く、9103Fは京急のKEIKYU YELLOW HAPPY TRAINにあやかって、あえて京急と同じ赤を中心としたRED LUCKY TRAINに変化している。
 
【20000系】

 

 

2000年に登場したアルミ車体。ただ、基本的には先頭デザイン以外で6000系とほとんど変わっていない(8両編成があるぐらい?)。それでもVVVF装置がIGBT素子になっていたり、行先表示がLEDになっていたり、6000系と同じアルミ製とはいえ後の日立A-Trainに繋がる製造法で作られているなどある程度の進化はしている模様。
 
20104・05Fは2018年から「3代目L-Train」としてフルラッピングされた。全体的な雰囲気は東武50000系・60000系に極めて似たものとなっているが、登場は当形式の方が先である。
 
【30000系】

 

 
2008年に登場した「Smile Train」。通勤車では初の拡張車体で、これは「たまご」をモチーフとしているらしい。車内外共にかなり柔らかみのある車両となっており、先頭デザインはスカートを組み合わせて「スマイル」になるという極めて斬新なものである。こうなった理由としては当時は西武王国崩壊による再編が進んでおり、新たな西武をアピールするための手段としてデザイン担当に女性社員を使った事が挙げられる。車体構造は日立A-Trainを本格採用し、JR東日本で用いられたTIMSも装備(通称S-TIM)。また、2000系以来の2両編成が作られたのも特徴の1つとなっている。
 
当形式よりLCDを本格採用。西武はこれを「スマイルビジョン」と呼んでいる。また、フルカラーLEDも採用されたが、6000系の副都心線対応車とは異なる表示の仕方となっている。
 
【40000系】

 

 
2017年に登場した「スマイルトレイン」の進化系。ただし、地下鉄乗り入れのため拡張車体ではなく、車体幅は6000系に近い2808mmとされている。また、LCDのサイズが変更されて16:9のワイドタイプとなった。モータはPMSMが採用され、出力は190kWと西武史上最強クラスとなっている。なお、10号車の先頭部にはパートナーゾーンがあり、ここだけは座席が設けられていない。
 
西武車の川崎車両発注は90年ぶりとなった。ちなみに、当形式には4000系以来となる半自動ボタンが設置されているが、S-TRAIN運用がある0番台はともかく、6000系と共通運用である50番台にもなぜか付いている。以下、細かい内容を記述する。

 

(0番台)

本数:10両編成6本⇒合計60両

 

基本的にS-TRAIN及び拝島ライナーに充当される。通勤車では4000系以来のクロスシートが導入されたがこれはロングシートに転換が可能な「L/Cカー」であり、どちらかと言えば東武50090系のスペックに近い仕様となっている。また、S-TRAINに100km超の運用があるからか4号車にトイレが設置されている。

 

(50番台)

本数:10両編成14本⇒合計140両

 

主に地下鉄直通に充当されるが、0番台とは異なりFライナー(西武線内快急)運用から各駅停車まで幅広く使われる。こちらはオールロングシートの車両であり、50番台として別区分された。最長運用でも飯能~元町・中華街の80.5kmなのでトイレは未設置。

 

  サステナ車両

 

今後新たに導入される他社からの中古車両をピックアップ。西武線内での新たな形式名は不明。全部で100両前後となる見通し。

 

【旧小田急8000形】

 

 

2024年に小田急電鉄から譲渡される予定。小田急では最後の鋼製車体で「小田急カラー」を唯一守り続けている。ただ、西武へ譲渡されれば2000系や9000系に近い配色になる事は必至。ちなみに、現存する一番古い編成は1983年製だが、全車両がリニューアル施工済みかつVVVF化されており走行には問題ないはず。

 

ただ車齢を考慮したのか、国分寺線のみの導入に留まる模様。それでも、2008年まで箱根湯本まで乗り入れていた車両がまさか「敵」である西武で走る事になるとは思いもよらなかっただろう。

 

【旧東急9000系】

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2025年以降に東急電鉄から譲渡される予定。1986年の落成時よりVVVF制御とされ、副都心線開業前は東横線特急運用にも就いていた。当初は副都心線直通に充当する予定だったが取り止めとなり、やがて大井町線各駅停車用となり現在に至る。そして、今回になって10年越しで西武での運用が実現する事となる。ただし帯の塗り替えが予想され、見た目的には6000系に近い感じになると思われる。また、東急9000系は室内はともかく下回りがオリジナルのまま残る(20番台に限り機器更新済)ので譲渡時にどうするのか気になるところ。

 

投入路線から考えて、4両編成に短縮した上で新101系と4000系の置き換えに充当されるはず。もし秩父鉄道線まで乗り入れるとすれば、かつての旧東急8000系シリーズである7000系列とまさかの再会を果たす事になるが果たして…。

 

  特急型

 

【001系:Laview】

 

 
2019年に50年ぶりの完全なる新型特急として製造された。それもあってか「レッドアロー」の名前を踏襲せずに「Laview」という新たな名前が付けられた。先代の5000系・10000系の要素を何一つ受け継いでおらず、「風景に溶け込む」というそのデザインの時点ですでに凄まじい事になっている。実際に落成した時点では「ソーセージ」や「ミサイル」と揶揄される事もあった。スペックはSiC-VVVFを使ったりと色々な新機軸を使っているが、それよりもこの車両自体のインパクトの方が強く残ってしまう。異常にでかい窓に黄色い座席、そして無塗装の車体……とにかく一度見たらまず忘れる事はないだろう。
 
最終的に池袋線系統の特急は当形式で統一される。また、特急型にしては起動加速度が高く車体幅が狭い上に、NRAにはない貫通扉まで用意されている。このため将来的には東京メトロへ乗り入れる可能性も考えられ、実際に東急東横線の行先まで用意されているらしい。
 
【10000系:NRA】
 
 
1993年に西武の2代目「レッドアロー」として登場した。ただ、車体は近代的になったとはいえ下回りは初代「レッドアロー」だった5000系からの流用なので、実質的な5000系車体更新車と考えてもよい。ただし、2003年には20000系と同じVVVF装置を使った車両が1本(10112F)増備されており、ギア比がそのままとされたため無駄にハイスペックとなっている。
 
今後は「Laview」の導入に伴い、当形式が置き換え対象となり、10103Fを皮切りに廃車が始まった。ただし、現時点では10108F以降が新宿線にて現役で残っており、10102・06Fは4両へ短縮の上で富山地方鉄道に譲渡されている。

 

  レオライナー

 

【8500系】

 

 

1985年の山口線の新交通システム(AGT)化に伴って作られたのが当形式。西武では初のVVVF制御車であるが、最大の特徴は直角カルダン駆動である事。他社で採用されているのはモノレール方式を除けば相鉄のみで、走行音がかなり独特なものとなっている。塗装は白であるが、側面のラインは西武では珍しいライオンズカラーが用いられている(他の採用例は4000系のみ)。
 
上記のスペックは現行のもので、当初はGTO-VVVFであった。山口線が第三軌条なので電圧は750V(通常の車両は1500V)であり、タイヤもゴム製のものを使っている。
 

 
以上です。ちなみに、西武と東急・小田急は昭和期に伊豆・箱根エリアで「戦争」となっていました。それが今やSDGsの一環として「サステナ車両」で連携する事になったのです。あとは小田急の筆頭株主である相鉄との直通を解禁すれば……少なくとも新横浜駅にプリンスホテル(あの丸い建物!!)があるのに西武車が乗り入れない状況はやや違和感を感じます。
 
今日はここまでです。ちなみに、西武の「サステナ車両」は2030年までのVVVF化100%達成を目標に導入するって話を聞いたけど、それなら東武の方がよっぽど「サステナ車両」が欲しいのでは……!?
 
つづく