GET LOST! -18ページ目

秋の暮れ

ラルクメンバー登場させてます。そういうのが苦手な方は読まないほうがいいです。














-秋の暮れ


秋の朝はどこか物悲しい。朝まで続いたレコーディングは、僕を少しセンチメンタルにしていたのかもしれない。
ちょっと一服、と、スタジオを出ると、空はうっすらの黄色味を帯びていた。
口からポカリとはいた煙は、聳え立つ高層ビルを軟らかく包む霧に混じり溶けていった。


昔は、顔を上げれば、枯れてくすんだ緑と、輝くような黄と、艶やかな紅に彩られた山並みが目に飛び込んできたのだった。パノラマの景色は、静かに霧に沈んでいた。
片田舎から、音楽を追い求め、そして音楽に追われて慌しく上京し、どれだけの歳月が経っただろう。
この、東京という街では、何処を見渡しても背比べしているビル、そして申し訳程度に灰色の空が、この僕の小さな手のひらでも隠れてしまいそうなほど少しだけしか、見ることができなくなってしまった。
星空なんてもってのほかだった。


田舎が恋しい、とふと思った。そして、両親が恋しくなった。


「帰りたい」
僕が突然呟いた、つもりだったけれど結構響いた声に、隣で煙草をふかしていたケンちゃんが、びくりと肩を僅かに震わせた。
「家に?もうちょっとで収録も終わるやん」
ちがうねん、と首を少し振り、僕はケンちゃんを見つめて言った。
「田舎に」
ケンちゃんは煙をふぅーとはいて、こっちを黙ってみていた。
「山。紅葉がみたいねん」
僕がにっこり微笑んでケンちゃんを見つめていると、ケンちゃんは、おやじくさ!と笑った。
いやいや、ただのホームシック。


久々に、帰りたいなぁ。
あそこは、空気がとろりとゆっくりだから。


歯車歯車

人間はいつ罪を生み出したのか
私にはそれが理解できなかった
もちろん今でもそうであろう
同種族で殺し合い自己の確立を強く願う
生命の循環の中一線を踏み外した動物
自分を完全なものにしたいが故に
この身は幾度と無く悶えたことか
心の痛みは消えることなく
ただ誰が考えたか知れないような道徳の中
自分の無力さに絶望するのだ
繰り返される犯罪の歴史
正義という名の戦犯
誰でも殺人鬼に成り得る日常
今狂気の音が聞こえる
それならいっそのこと
人と人が殺しあってはいけないだなんて決め事
無くしてしまえばいいのだと思う
今この半端な感情を捨て去り
誰もが野獣と化して
動物として生きるべきなのだと
星空の下寒さに凍え
私は考えるのだ
人間はいつしか自らの存在を神と崇め
心の中の支配者を崇拝してきた
万物における道理
生き方を
全て手に入れたと
自分は神であると
キリストの名を借り
阿弥陀仏の名を借り
ブッタの名を借り
アラーの名を借り
気がつかぬまま崇めてきたのだ
嗚呼なんと愚かなることか
破滅の刻が一日でも早く
この惑星を包めばいい
ただこれも
愚かなる人間の慾

陰鬱な部屋

醜い視線と汚い言葉
充満する部屋と穢れた思考
感じるたびに拒絶する
この様な空間に私は身を置きたくない


矛盾と誤解を繰り返す子供
正解は自分だと思い込む
誰が正しいだなんて
解答用紙は何処にも無い


導き出せ真実の在り方を
その目で確かめろ自らの汚れを
洗い浚い認めてしまえ
その穢れた思考を