うわー何だこれ、キッツイな〜! でも沁みた。 『あんのこと』 | GESHICOMのブログ

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同じ救いの無い映画でも、先日観た韓国映画

「ビニールハウス」よりもずっとリアルで心に

響いた。とは言え、さすがにここまで悲惨な

生い立ちって、この日本であり得る?とも思い

かけたが、実話に基づいている事を思い出し、

更に暗澹たる気持ちにさせられる。

 

この映画の説得力は、主演女優の河合優美と共

演の佐藤二朗二人の、比類の無い存在感や演技

力によるところが大きい。特に佐藤二朗の怪演

は凄まじく、彼が演じた人物が慈悲深い善人な

のか、鬼畜のごとき悪人なのか、結局のところ

よくわからないのは、人間存在の複雑さを実に

よく表している。

 

稲垣吾郎演じたルポライターの、出過ぎない演

技にも好感が持てたし、彼の正義感がもたらし

最悪の悲劇は、実社会の残酷な現実をよく示唆

しているように思う。

 

この上なく地味で暗いけれど、深く考えさせら

れる秀作。

 

80点