久しく魂を抉られるようなディープな韓国映画
と出会えてなかったので、前評判からかなり期
待して観たけれどとんでもない紛い物だった。
ただ単にディープにすりゃあいいってもんじゃ
ない。『殺人の追憶』も『オールドボーイ』も
『コクソン』も、上っ面のディープさだけでは
なく、根底には魂を揺さぶる人間ドラマがしっ
かり息づいている。それに比べて本作は、どん
底の深さばかりを追求したような不幸の連鎖が
起こるのみ。
痛烈なメッセージはあるのかもしれないが、心
を動かすドラマが欠落している。
まあ、所々に面白いアイディアもあるにはあっ
たけれど、残念ながらそれらも現実の中に上手
く馴染めず、寧ろ寒々しさを助長させるばかり。
いったいこの監督は何を描きたかったのか?
ただ、奇跡的な不幸の連鎖を一身に背負うこと
になった主役の女優さんは、見事にどん底の不
幸を演じていました。
60点