①から⑧までの要旨は、
「ユダヤ人は生き延びるために
旧約聖書の世界(ユダヤ教)を創造した。
しかし、それは自然価値と矛盾するものであり、
不自然な価値観にもとづく、偽造された世界である。
それは、古い神が民族を救ってくれなかったので
僧侶たちが古い神を仮面にして、
自分たちが隠れた新しい神となって
宗教や道徳や歴史をねじ曲げてしまった。
キリスト教はユダヤ教の本質をマネして成立した。
それが全世界に甚大な影響を及ぼしている。
その結果が現代の民主主義社会である。」
でした。
今日は、キリスト教が世界の文化文明に及ぼした
影響についてのニーチェの嘆きです。
『古代世界の全事業は徒労であった。
かくも物凄いことに関して私の感情を
表現すべき言葉を私はもたない。
そして、その事業は一つの準備作業であった
ということを、数千年もかかる或る事業の
基礎工事が花崗岩のごとき自覚で
やっと据えられたにすぎないということを考慮すれば、
古代世界の全意味が徒労であったのである!
何のためのギリシャ人か?
何のためのローマ人か?
学芸文化のすべての前提が、
すべての科学的方法がすでに現存していた。
偉大な、比類のない、優秀な読み方の技術、
文化の伝統のための、科学の統一のためのこの前提が、
すでに確立されていた。
自然科学は数学や力学と手を取り合って
最もよく軌道に乗っていた。
事実の感覚が、すべての感覚のうちで
最も価値ある究極的感覚が、
その訓練の場を、
すでに数千年を経たその古い伝統をもっていた!
このことがお分かりであろうか?
仕事に着手しうるためのすべての本質的なものが
見出されていたのである。
方法こそ、本質的なものである。
また最も困難なものでも、きわめて長いこと習慣や怠惰を
敵にまわさなければならないものでもある。
私たちが今日、言い知れぬほどの自制でもって、
奪回しかえしたもの、
実在性を前にしての自由な眼差し、
慎重な手、
最も些細なことにおいてもの忍耐と真剣さ、
認識の正直さの全部、
これらのものがすでに現存していたのである!
二千年以上も前にすでに!
キリスト教のために私たちは
古代文化の収穫を奪われてしまった。』
(~ニーチェ著 理想社刊
『ニーチェ全集第十三巻 反キリスト者』 より~)
ギリシア・ローマ文化のことはよくわかりませんが、
人類にとっては重大なことだったようです。
それ以後中世の暗黒時代に向かい、
一時期ルネッサンスが勃興し、
キリスト教が廃絶されるチャンスもあったようですが
それも潰されてしまったようで、
こちらもニーチェは大いに嘆いていました。