古人骨から父系の遺伝子解析はできず、
母系の遺伝子しか解析できないこと、
そしてアイヌとの比較で縄文人の
ミトコンドリアDNAの情報を前回見ました。
今回は現代日本人と比較して
縄文人自身の特徴に焦点を当てます。
『一目瞭然なのは、縄文時代人で
ハプログループN9bとM7aの頻度が
きわめて高いことである。
N9bの頻度は合計で49.3%、
M7aの合計は35.3%もあり、
両者を合わせると84.6%にもなる。
…
このような母系の遺伝的特徴をもつ
人類集団は、時代のいかんを問わず
世界で縄文時代人しか存在しない。』
(篠田謙一編 朝倉書店 『ヤポネシアの古代人ゲノム』57~59ページ)
西日本がメインのM7aに対して
N9bは東日本・北日本が中心です。
縄文人は基本的にこの2つの系統を主体に
成立していたようです。
何万年もかけて出来上がっていた
縄文人ですが、わずか3000年で
大きく変化します。
『同じ日本列島の住人でありながら、
縄文時代人と現代人を比較すると、
違いの大きさに驚く。
現代人ではハプログループN9bとM7aの
頻度が著しく低下し、
特にN9bの頻度の低下が
顕著である。』
(同上59ページ)
縄文人で49.3%もあったN9bが
現代日本人では2.2%と激減だそうです。
東日本・北日本の縄文人の系統が
絶滅に近い状態になったことになります。
弥生系渡来人が西から東に進出してきたので
東北日本に到達したのは遅かったはずで、
だから縄文人の系統が比較的多く
残っていてもよさそうなのに、
結果は逆です。
不思議です。
そして、別の統計とは矛盾しています。
こちらは父系の遺伝情報に基づく統計
なのでしょうが、現代の東北日本には
縄文人の要素が比較的多く残っています。
母系だけが
激減していることになります。
遅くにやって来た弥生人に
縄文人女性は一挙に
“排除”されてしまったのでしょうか?
そんなことがあり得るのか?
それとも別の要因なのか?
不可解です。



