あの日、
私の最初のバーキンは、突然やってきました。
正直、その時の私は、
まったく心の準備ができていませんでした。
それは、何年も前、
ちょうど今と同じ、少し肌寒い3月のことでした。
主人とふらっと立ち寄ったエルメス。
その日の私は、トレンチコートを羽織った装いで、
エルメスのものは一つも身につけていませんでした。
特別な目的があったわけでもなく、
ただ店内をゆっくり見ていただけ。
バッグのコーナーで足を止めていた、その時でした。
一人のベテランの店員さんが、
静かに近づいてきて、小声でこう声をかけてくださいました。
「よろしければ、こちらへどうぞ」
「バーキンがございます」
何が起きているのか、すぐには理解できず、
ただ言われるままに奥へと案内されていきました。
そこで初めて、
バーキンと対面しました。
店内はたくさんのお客さんで賑わっていて、
同じように商品を見ている方も多くいらっしゃいました。
それでも、なぜ私たちだったのか、、
今でも分かりません。
ただ一つ思うのは、
あれは「選んだ」というよりも、
「ご縁をいただいた瞬間」だったということです。
その日はちょうど、時計を購入した直後で、
カードの上限に達してしまっていました。
事情をお伝えすると、
「翌日のお支払いで大丈夫ですよ」と、
柔軟に対応してくださったことも、忘れられません。
驚きと、少しの戸惑いと、
そして何より、感謝の気持ち。
あの日の出来事は、今でもはっきりと心に残っています。
私のエルメスの入口は、
とても不思議で、そして幸運なものでした。
けれど、
そこから先のエルメスとの道は、
決して平坦なものではありませんでした。
気づけばその魅力に惹かれ、
少しずつ深く知っていく中で、
思うようにいかないことや、
「待つ時間」もたくさん経験しました。
きっとそれは、
多くの方が感じていることと同じかもしれません。
それでも今思うのは、
エルメスはただの買い物ではなく、
時間や経験も含めて積み重なっていくもの。
あの日の偶然が、
すべての始まりでした。
つづく。
エルメスでのリアルな実体験や、私の等身大の気持ちを
これからも気ままに綴っていこうと思います。
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