エジプトの大学で英語を習った話 ⑧休み時間 | Nairobi Today

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カイロ・アメリカン大学のキャンパスを

一目見たいがために社会人向けの英語の

グループレッスンに行ったら周りが

エジプト人の若者ばかりだった話です。

 

Center of Art さすがの美しさ

 

夕方4時~7時まで3時間の授業なので

間に15分間の休憩がありました。

これがまた、驚くほどに15分では

みんな帰ってこない!

何をしているのかといえば、
売店でスナックやドリンクを買って
あとはひたすらしゃべっています。
 
授業が2回、3回と進むにつれ
新しいメンバーが現れるので
このクラスの生徒は結局15人くらいに
なったのですが、5人くらいがおそらく
30-40代の社会人、残りが20代の若者
といった感じでした。
 
休み時間は、主婦で声優をめざしている
というノハと、学校を卒業して就職先を
探しているというヨムナと一緒にいること
が多かったです。
 
ノハはおしゃれで、メイクもばっちり。
すてきなヒジャブをしていたので褒めたら
「ありがとう! このコースのために
 新しいのを3枚買ったのよ!」
と毎回すてきなヒジャブを見せてくれました。
「あなたにだけ特別ね。他の人には内緒」
と、家でヒジャブをしていないときの
写真を見せてくれたこともあります。
イスラムでは女性がとても大切なので、
布で覆うことで他所の人にその美しさや
魅力を見せないようにしているといいますが、
確かにそうかもなあと思わせる美しさでした。
 
ヨムナは物静かで、授業の時も驚くほど
小さな声でささやくように話す子でした。
にぎやかすぎるエジプト人に囲まれていると
彼女の声は私にとっては癒しだったので
「私はあなたのソフトな話し方が好き」と
伝えたら、彼女もとても喜んでくれました。
そのあとクラスメートの男性から
「もっと大きな声で話して!聞こえないよ!」
など言われた時も「これが私の話し方だから」
と毅然と言い返していたのですが、
スピーキングの発表の時だけは確かに
もうちょっと声を張ったほうがよかった気も。
おばちゃんもしかして余計なことを言っちゃった
かもしれません。
 
他の皆さんも個性豊かで、授業は疲れるけど
人間模様が楽しみでもありました。
3回目の授業から登場したムスタファは警察官。
エジプトでは軍隊と警察が絶大な権力を持って
おり、そのせいかムスタファも最初はどこか
尊大な態度で愛想もなく、なんだこのおやじ、
という印象だったのですが、回を重ねるにつれ
実は優しい、お茶目な人柄であることがわかって
きました。
 
この授業ではいろんなシチュエーションで
ロールプレイをしたり、プレゼンをするための
ネタを考える場面が多かったのですが、
まったくの創作というのは難しいもので、
みんな自然と、自分の夢や希望、これまでの
人生経験をシェアする機会が多くなります。
その中でムスタファが何度か
「自分は困っている人を助けたいと思って
 警察官になった。助けるための訓練もした。
 少しでも人の役に立ちたいと思っている」
と語ることがありました。
 
勝手な先入観で、こういう国の警察官と
いうのは権力をかさに威張ったり、
なんならちょっと袖の下を要求したり
するような悪いイメージがあったので、
ムスタファのような美しい心の警察官が
いると知って、心が洗われるようでした。
 
一方、汚れた心の私は
「警察官と仲良くなったらひょっとして
 何か困ったときにいいことあるかも」
と思ってしまったのですが、そう思った人が
実は多かったらしく、一度みんなで授業中に
ムスタファがどんな部署で働いているのか
けっこう真剣に聞いたことがありました。
それは答えてはいけないルールだそうで
さすが鉄壁の守り、ヒントももらえませんでした。
 
続きます。