以前職場で「青森へ行ってきました」とお土産を配る同僚がいた。真冬の最中で、

「よくぞご無事で」と心の中で思い、自分を笑ってしまった。

前日、この映画を観たばかりだった。

 

263回目は

「八甲田山」

 

 八甲田山での雪中行軍遭難事件を扱った物語。

新田次郎氏の「八甲田山死の彷徨」が原作。「動乱」、「海峡」の森谷司郎監督。

1977年公開。

 

 明治34年10月、弘前第八師団の第四旅団本部で会議が開かれる。日露戦争を見据えての、雪中行軍演習を行う話し合いである。極寒の地でも戦う対策のためである。そのため積雪量の多い八甲田山系での行軍が考えられたのである。

 

 弘前歩兵第三十一連隊と青森歩兵第五連隊が、八甲田山中で出会う計画であった。

 

 翌年、明治35年1月20日、第三十一連隊は出発。中隊長は徳島大尉(高倉健)。10泊、総距離240㎞、少数精鋭27名の隊員。

 

 

 一方、第五連隊は、1月23日出発、中隊長は神田大尉(北大路欣也)。大隊長の山田(三國連太郎)も参加。青森から八甲田を目指す3日間の行程で、人数は210名となった。ソリで物資を運ばねばならず、それも山道をだ。

 

 第三十一連隊は案内人の娘(秋吉久美子)を雇い、計画通りに行軍。

 

 

 「三本木」に到着した。第五連隊もその予定であったが到着せず。

 

 第五連隊の雪中行軍は困難を極めていた。

案内人も雇わず悪天候続き。大隊長山田が勝手に指揮を執るなど困難がふりかかる。

 

 方向がわからなくなる。ホワイトアウト。帰営を決めるも、方向が分かったとまた行軍を始めるが、猛吹雪の中、迷ったも同然であった。

神田の言葉、「天は我々を見放した」・・・・・・。

 

 

 あまりにも有名な作品。

高倉健さん率いる部隊と、北大路欣也さん率いる部隊との大きな違い。それを過酷な猛吹雪の中で描き出す。徳島の圧倒的なリーダーシップに対して、大隊長に物申せない神田との対比。

防寒着に凍りつく雪の塊、身に染みてくる寒さ、バタバタと倒れてゆく隊員たち、気が狂う者・・・。

第五連隊は12名しか生還出来ず、その後2名死去。大隊長は責任をとって自決。

 

 何のための行軍だったのか・・・。そして、日露戦争へと向かう。

 

 現在のようにCGで作ってしまう時代ではないし、撮影は木村大作氏。

猛吹雪の中の撮影は本当に過酷だったと思う。

3時間近い作品。吹雪の光景と、芥川也寸志氏のテーマ曲が見終わっても頭にこびりついている。

しかし徳島の子供の頃の思い出、美しい青森の風景や風物詩が描かれ、涙が溢れた。

 

 自然は舐めてかかってはいけない。そして、強いリーダーシップは必要とつくづく思う。

 当時大ヒットしたらしいが、本物を観たいと誰もが思うのであると心から感じる作品である。今は亡き方々が多いが、豪華キャストである。

 

☆☆☆☆★4.25です。

 

 余談であるが、足を痛めてしまい、観たかった新作映画も行けずじまい。と同時に中々ブログを書く気力もわかず、間が空いてしまう。分かっているけど元気が一番だなぁ。まあ、書ける時にぼちぼちと。

 

 じゃ、またバイバイ

 

 

 

 NHK朝ドラ「ばけばけ」が良い。VFXで背景は作っているけれども当時の松江の街並みや、川、空の情景、光と影などが映画的でとても美しいキラキラ

加えてヒロインの高石あかりさんが、よくある「朝ドラヒロイン」という雰囲気ではなく、コメディエンヌであり、ころころ変わる表情や抱えた思いなどに引き込まれる演技をする。もちろん、脚本、演出の力もあるだろうが。

その彼女が殺し屋を演じた映画を観てみたくて、アマプラで検索したが、TVドラマ版が中途半端でしか無料では観られず、とりあえず観たかった映画版の初回も観られなかったので、レンタルで続編を観た。私の好きな池松壮亮さんが出ているのもあって。

 

262回目は

「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」

 

 殺し屋である二人の女子の、ま、殺し屋としての活躍を描く話。といってもそれ程深刻ではなく、コメディの要素も。阪元裕吾監督。2024年公開。

 

 杉本ちさと(高石あかり)と、深川まひろ(伊澤彩織)はコンビを組むプロの殺し屋。所属する殺し屋協会から、松浦という男を殺せと宮崎へ行かされる。

 

 まるでバカンスを楽しむ雰囲気だが、いざ仕事となると何気なくその場所へ向かう。松浦がいる所には既に別の男がおり、銃を突き付けていた銃

その男と戦闘状態になり、ちさととまひろも強いが、男の戦闘能力は高かった。

その間にターゲットの松浦には逃げられてしまう。

 

 その男は冬村かえで(池松壮亮)と言い、殺し屋協会には属さない一匹狼だった。

圧倒的な戦闘能力で知られており、恐れられていた。

「150人の抹殺」を依頼され、その最後が松浦だった。殺害の数々の様子を日記につけるなど異常性を帯びていた。

協会の先輩、入鹿みなみ(前田敦子)と七瀬(大谷主水)が合流し、かえでの抹殺を命じられ、ちさととまひろの戦いが始まるのだった・・・。

 

 

 

 バンバン人が撃たれゲームの様に殺される。ストーリー性を求めるよりも、ま、この様なものだと思って観ればよい映画なのだな。

それよりも、卓越したアクションシーンには引き込まれ、目が離せない。

伊澤彩織さんは知らない俳優さんだったのだが、スタントパフォーマーらしい。

それもあってラストの、かえでとの戦闘シーンは迫力満点銃ナイフ

 

 そして、ちさととまひろの仲の良さは微笑ましく可愛いハート そのギャップがたまらない。

 

 簡単に人が殺される作品はあまり好きではないのだが、高石あかりさんの別の顔も見てみたかったので。でもあの笑顔は同じく可愛かったな。

 

 朝ドラもこれからが楽しみピンク音符

 

☆☆☆★3.75です。

 

 じゃ、またバイバイ

 

 

 

 

 

 NHKのあさイチに眞栄田郷敦さんが出られて、この映画に出演された話をしていた。

その時、撮影を名匠と言われる木村大作氏が行ったと知り、観たくなった。現在公開中。

 

261回目は

「港のひかり」

 

 元ヤクザの漁師と目の見えない少年との、年の差と年月を超えた絆を描いた物語。

「正体」、「ヤクザと家族 The  Family」の藤井道人監督。脚本も。

 

 北陸のある小さな漁村。三浦(舘ひろし)は漁師で質素に暮らしていた。

ある日、三浦は白杖をついて歩く少年に出会う。男子達にからかわれ、わざと転ばせられ、笑い者にされていた。

少年の名前は幸太(少年期:尾上眞秀、寺島しのぶの息子)といい、両親を交通事故で亡くし、自分は目が見えなくなる。薬物中毒のヤクザの車が反対車線から突っ込んで来たのだった。

叔母(MEGUMI)に引き取られたが、学校へも行かせず育児放棄、一緒に住む男性からは虐待されていた。

 

 三浦は幸太を船に乗せてやるようになり、「おじさん」と慕う様になる。

 

 自分は元刑事だったと偽る。本当はヤクザから足を洗っていたのだった。

 

 目が見える様になったら海を見たいという幸太。

幸太の目は手術を受ければ見える様になるという。ただ、500万円かかる。

三浦は薬物取引の情報を得、金を奪い手術費用に当てる。自首し、刑務所へ。

目が見える様になった幸太は施設へ入る。

名前も知らない「おじさん」には会えぬまま、12年の月日が過ぎた。

 

 幸太(眞栄田郷敦)は「おじさん」に憧れ刑事になっていた。

 

 手紙を書くが「おじさん」から返事はなかった。そしてある時、「おじさん」の本当の経歴を知る。

三浦は出所し、運転代行業者となる。

「おじさん」に会いたい幸太は色々世話をしてくれた宿屋のおやじさんの荒川(笹野高史)に手紙を託し、その後をつける。「おじさん」の居場所を突き止める。やっと、再会出来た。

 

 しかし、かつて三浦がヤクザだった因縁から、目の手術費用となった過去の経緯へと向かい、三浦と幸太は狙われるのだった・・・。

 

 

 「八甲田山」、「鉄道員」などでカメラマンとして有名な木村大作氏の画、やはり、美しかった。荒れる海、沈む夕日、引き込まれる。モニターを使わないという、現在では考えられない手法を貫く木村氏に監督からお願いしたらしい。

 

 「ヤクザと家族」でもそうだったが、舘ひろしさんはあくまでも優しく温かく強い。

幸太に自身の最期まで職務を全うさせる姿に、ジンときた。

眞栄田郷敦さんは、瞳が魅力的である。吸い込まれそう。これから役者として幅が広がっていくだろう。

少年期を演じた尾上眞秀さん、目の見えない演技に健気さが相まって上手だった。これから期待されるだろう。

 

 そう、岡田准一さんが突然出て来てびっくりした。チラシにも載っていなかったので。

「友情出演」だそう。

 

 「港のひかり」は三浦と幸太、お互いにとって相手がそうであったのだろう。

命を懸けてくれた三浦が見える様にしてくれた、世界。

これからも、生きる希望の「ひかり」なのだ。

 

☆☆☆☆です。

 

 じゃ、またバイバイ

 

 

 ピーター・フォークと言えば、「刑事コロンボ」しか知らず、出演した映画は観た事がなかった。先日、NHKBSでの放送を見つけたので、録画の上視聴。

 

260回目は

「カリフォルニア・ドールズ」

 

 女子プロレスラーとそのマネージャーの葛藤と活躍を描いた話。

「枯葉」のロバート・アルドリッチ監督。1981年公開。その前後日本でも女子プロレスブームだった。

 

 ハリー(ピーター・フォーク)は、アイリス(ヴィッキー・フレデリック)とモリー(ローレン・ランドン)の女子プロレスのタッグチーム「カリフォルニア・ドールズ」のマネージャーである。

ハリー      モリー        アイリス

 

 ハリーが運転するポンコツの車で地方を回り、ともするとギャラは値切られる。万年金欠だった。

食事はジャンクフード、宿泊は安いモーテルだった。

 車の暖房は使わない。アイリスとモリーはトレーニングのため、ハリーの車に沿ってダンベルを持ちながら走るのだった。

 

 日本から来たタッグチームには勝ったものの、ギャラは値切られる。

 

 「トレドの虎」と呼ばれるチームとの試合はリングなどなく、泥の中でのレスリングだった。ドールズは拒否するが、ハリーはギャラのため説得。

上半身あらわになり、観客は大喜び。

 

 試合後、怪我をして血を出し怒り泣き出すアイリスを、ハリーは慰める。

 

 しかし、プロレス雑誌には期待の新人と掲載され、人気ランキングは3位に。皆で歓ぶ。

 

 「トレドの虎」は反則プレーばかりのチームだった。

 

 そしてワールドカップ試合の前座で出場する事になる。「トレドの虎」との対戦だった。

反則を繰り返す虎チーム。レフリーは買収されており反則を見ないふり。会場は異様な盛り上がりでドールズを応援する。

 

 1本勝負の30分が迫っていた・・・。

 

 

 プロレスはショーだから、始めから勝敗はある程度決まっている。そこにお金が絡んでくる。ハリーはカジノなどでお金の工面をし、盛り上げる工作をし二人を励ます。ハリーの夢でもあるのか。スポ根物?

 

 アイリスとモリー役はプロレスラーかと思ったが、女優なのだ。

どこがスタントかわからない。全部本人が演じているのでは?と思ってしまう。

この映画のために練習したのかと思うと脱帽。

 

 ラストの試合のシーンは本物を見ている様で引き込まれてしまった。もう、ショーではない。自分もドールズを応援している。

 

 あくまでも、泥臭く、熱く、人生を賭ける瞬間があるんだなぁと、しみじみと感じた。

 

 ピーター・フォーク、軽妙なコロンボ刑事とは違った味を見せてくれた。

 

 B級映画かと初めは思ったけど、結構感動してしまったキラキラ

 

☆☆☆★3.75です。

 

 じゃ、またバイバイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 重い作品なのだろうと予測はしていた。きついシーンもあるだろうと。

キャストは特別ファンではないが、惹かれるものがあって、先週より公開中の映画を観てきた。

 

259回目は

「愚か者の身分」

 

 闇ビジネスに手を染めた3人の若者の運命を描いた3日間の話。

永田琴監督は全く知らなかったが女性と分かって少し驚く。西尾潤氏の同名小説が原作。「ある男」の向井康介氏が脚本。

 

 タクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)は、戸籍売買で報酬を手に入れていた。

パパ活をする希沙良(山下美月)に加担してもらい、事情を抱える男性の話を聞き、戸籍を売買する。戸籍は戻るというが、それは詐欺だった。

 

 シェアハウスで出会ったタクヤとマモル。

タクヤは弟の手術代の為闇バイトに手を出したが、弟は死んでしまい、報酬は葬式代になってしまった。

マモルは家族に恵まれず、タクヤを慕う。

 

 タクヤをこの道に誘ったのは、裏社会の運び屋、梶谷(綾野剛)だった。梶谷はキックボクサーから転落していった。

 

 3人の裏には戸籍売買を指示する集団がいた。その集団は臓器売買にも手を出していたのだった。

 

 タクヤの眼球が奪われ、臓器までもが・・・。

タクヤを運ぶ事を頼まれた梶谷だったが一転、逃走劇が始まったのだった・・・。

 

 

 芝居と分かっていても、ホラーのようなシーンに正直気持ち悪くなった。

闇ビジネス、臓器売買、自分にとっては遠い世界に思えるが、簡単に入り込んでしまう若者達。そして、トカゲの尻尾切り。

実際はどれだけ闇が深いのだろう。抜け出せない。身震いするような現実が本当にあるのだろうか。

 

 チラシでは3人が都会の光をバックに並んで笑っている。

心底悪人の3人ではない。この後救われてほしい、そう思わずにはいられなかった。

 

 3人の視点が交錯するので途中、時系列が混乱するが、話としてはシンプルであり見応え充分である。

 

 生きる価値は誰もが平等だ。

温かいご飯、味噌汁があって、アジの煮付けが美味しくて。

そんな日常を皆、過ごすのですよ、自分のために。

 

☆☆☆☆です。

 

 じゃ、またバイバイ

 もう、8年も前になるのか、宮﨑あおいさんが葛飾北斎の娘、お栄を演じたNHKドラマ、「眩(くらら)~北斎の娘」が、ずっと記憶に残っていた。

その影響もあり、比べるつもりはないが、現在公開中の映画を観てきた。

 

258回目は

「おーい、応為」

 

 葛飾北斎の娘、お栄の人生を描いた物語。

「日日是好日」、「星の子」の大森立嗣監督。脚本も。

 

 冒頭いきなり、北斎の娘、お栄(長澤まさみ)は嫁ぎ先を出て行く。絵師の夫を見下したのだ。北斎(永瀬正敏)の元へ出戻る。

 

 ぼろぼろの長屋で物が散乱している。汚い。

 

 北斎の妻でありお栄の母、こと(寺島しのぶ)は、病を抱える娘と別に暮らしていた。

 

 北斎の弟子であり美人画を描く善次郎(髙橋海人)や、お栄がひそかに心を寄せる初五郎(大谷亮平)との交流。

 

 

 捨てられていた仔犬を拾い、さくら、と名付ける。

 

 そんな日々の中、お栄は次第に絵の才能を発揮していく。父から「葛飾応為」という名を授かる。いつも「おーい」と娘を呼んでいた事からだ。

 

 長屋を転々と引っ越し、その度に散らかり、ある時近くで火事が出る。

描いた絵は救い出せない。

 

 そして父と娘は富士山を目指す。北斎の境地だった・・・。

 

 

 ひたすら坦々と進む物語。大きな波は無い。途中、少々眠くなってしまったあせる

 

 お栄の長澤まさみさん、着流し姿が男性の様で、所作と共にカッコいい。男前に見えてしまう。父を「鉄蔵」と呼び捨てにし、自分の事は「おれ」と言う。

ガラが悪く、父を邪険にするも絵においては尊敬し、見捨てずついてゆく。

 北斎を演じた永瀬正敏さんは、一体今、何歳なんだ?と思うくらい仙人の様に形は老いてゆくが、絵への情熱は消えない。

父娘の関係はお互いかけがえが無かったのかもしれない。

 

 北斎は、1849年、90歳まで生きたという。長命だった。

父を支えたお栄こと応為、その後は諸説あるが不明らしい。

 

 応為筆の「𠮷原格子先之図」、陰影が素晴らしい。人の形の黒色や影が、灯りを際立たせる。

 

 太田記念美術館所蔵であるので、一度見たいと思った。

 

 世界的にも評価されている浮世絵。

それを描いた人物にもその時代を生きた日々があったのだと改めて思う。

苦しみや歓びとともに。

 

☆☆☆★3.75です。

 

 じゃ、またバイバイ

 

 

 ABBAは中学、高校生の頃大好きだった。歌詞の意味など分からず、ラジオから流れてくるノリのいい美しいメロディーに聴き入っていた。

そのABBAの曲にのせたミュージカル映画。

 

257回目は

「マンマ・ミーア」

 

 結婚式を控えた、シングルマザーに育てられた娘が巻き起こす騒動と母の気持ちを描いたコメディ映画。ブロードウェイミュージカルであり、日本でも劇団四季が舞台化している。

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」のフィリダ・ロイド監督。2008年公開。

 

 エーゲ海のある島でホテルを経営しているドナ(メリル・ストリープ)とその娘ソフィ(アマンダ・セイフライド)は仲良く暮らしていた。ドナはソフィを一人で育てた。

 

 ホテルは老朽化してだいぶ傷んでいた。

ソフィは明日、スカイ(ドミニク・クーパー)と結婚式を挙げるベル 招待客は島に到着し始めていた。

ドナの古くからの友人、ロージー(ジュリー・ウォルターズ)、ターニャ(クリスティーン・バランスキー)もやって来る。3人は元バンド仲間だった音譜

 

 ソフィはある計画を立てていた。母の若い頃の日記を盗み読みし、自分の父親かも知れない人物は3人いる事を知った。

ドナに内緒でソフィは母の名前で招待状を送るメール ソフィは3人に会えば父親が誰か分かると確信していた。ヴァージンロードを一緒に歩いてもらいたかったのだ。

 

 その3人、サム(ピアース・ブロスナン)、ハリー(コリン・ファース)、ビル(ステラン・スカルスガルド)は偶然出会いハリーのヨットで島へ船 3人はドナに娘がいる事は知らなかった。

 

 

 果たして父親は分かるのか?ドナの過去のいきさつとは?

そして、ドナと男性3人は21年ぶりに再会し、どうなるのか・・・?

 

 奔放な母親の行動が起こした顛末により生まれたソフィだが、明るく素直な女性に成長できたのはドナが懸命に育てたからだろう。光り輝くエーゲ海が舞台であるなら深刻になる事もないか。

 

 ABBAの楽曲が次々と展開され楽しい音譜

 

 以前職場に、この映画が大好きという人がいた。好みは人それぞれ。

父親が分からないなんて根本は深刻なんじゃないの?と思うけど、ひたすら明るいストーリーに救われた。ミュージカルだしね。あまり深く考えてもねウインク

 

 いつも思うがメリル・ストリープは本当に何でもやってしまう。彼女の演技力にはいつも引き込まれるが、歌って踊る事もこなしてしまうのだと感服してしまう。流石キラキラ

 

 「ダンシング・クイーン」は今でも私は大好きだ宝石赤

 

☆☆☆★3.75です。

 

 じゃ、またバイバイ

 

 

 

 

 ロバート・レッドフォードが亡くなった。幼い頃から知っていて、ハンサムで優しい顔の俳優だった。

私のブログでも4作品程取り上げ、ポール・ニューマンとの共演の「明日に向って撃て!」、「スティング」は大好きな作品だ。その他、「リバー・ランズ・スルー・イット」、「モンタナの風に抱かれて」等、監督としての作品も残した。

TV放送を録画し未鑑賞のものがあったので、若き日の彼を観て偲んだ。

 

256回目は

「ホット・ロック」

 

 ダイヤモンド強盗を企てるが、てんやわんやとなるコメディ映画。

スティーブ・マックイーン出演の「ブリット」等のピーター・イェーツ監督。1972年公開。

 

 出所したジョン(ロバート・レッドフォード)は泥棒。道を歩いていると車が近づいてくる。

妹の夫で錠前屋のケルプ(ジョージ・シーガル)だった。早速仕事(泥棒)の相談。

中央バタウィ国の永世国連大使アムーサ博士(モーゼス・ガン)の依頼により、博物館に展示されているサハラの石と言われるダイヤモンド宝石白 を盗んで欲しいというのだ。

              ジョン              アムーサ博士

 

下見で、ダイヤモンドが展示されているケースは強化ガラス、錠前は簡単に開くが警報装置は付いていないと分かる。その分監視が厳重。

派手な陽動作戦で行く事を決め、実行に移す気になったジョン。

車に詳しいスタン(ロン・リーブマン)、爆発物専門のアラン(ポール・サンド)が加わる。

アラン         ケルプ            スタン

 

 夜、博物館の外でスタンが車の事故を起こし、横転、爆発音がする。

それを聞いた警備員達が出て来て、血まみれ(ウソ)のスタンを助け出す。

その隙にジョンとケルプが警備員の格好をして忍び込む。ケルプがなんとか錠を開けダイヤを盗み出す事に成功!しかし、警備員達が戻って来て見つかってしまうガーン

逃げ出すが、その際ジョンからダイヤを投げられたアランは追い詰められ、とっさに飲み込んでしまう宝石白 そして逮捕される。

 

事故を起こしたスタンは救急車から逃げ出す救急車ダッシュ

 

 アランが飲み込んだダイヤはどうなった?ジョン達はアランを拘置所から助け出し、ダイヤを隠した警察署のある場所へ忍び込むため、屋上へ着陸しようとヘリコプター🚁を飛ばすのだった。運転した事もないスタンが操縦してガーン

 

 アムーサ博士は報酬の他、莫大な経費?を要求される。

アランの父親で弁護士のエイブ(ゼロ・モステル)が登場し、事態は混乱もやもや

エイブ

 

 果たしてダイヤはどこへ行った!?

 

 

 ジョンは凄腕の泥棒という設定で、ま、カッコいいんだけど、ほとんどドタバタコメディ笑い 全くスタイリッシュじゃない。

半分頼りないような、それでもどうにかしちゃうんだな。笑ってしまう笑い

コミカルな劇伴を入れれば、もう少し軽快になるんだけど、敢えてなのかな?

 

 ヘリを飛ばしている場面はハラハラ。建設中のワールドトレードセンターが見えた。何とも言えない気持ちに。

 

 なぜジョンは胃薬飲んでいたのかな?凄腕と言われながら、実行に移すとなると胃炎になってしまう?

 

 気楽に観られる作品だった。

 

 ロバート・レッドフォード。私にとって、ジェームズ・スチュアート、ポール・ニューマンについで、永遠に心に残る俳優になってしまった2025年9月だった。

 

☆☆☆★3.5です。

 

 じゃ、またバイバイ

 

 

 

 

 

 観なければいけない作品の様に感じた。ドキュメンタリーである程度は知っていたつもりなのだ、自分は。沖縄の人々の苦しみを描いた映画はあっただろうか?

先週より公開中の映画を観てきた。

 

255回目は

「宝島 HERO’S  ISLAND」

 

 戦後の沖縄を生きた若者に焦点を当て、社会の実情を赤裸々に描いた話。

真藤順丈氏の同名小説が原作。「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督。

 

 沖縄がアメリカ統治下だった1952年。米軍基地に入り込み物資を盗み、住民達に分け与えていた「戦果アギヤー」と呼ばれる若者達がいた。

 

 リーダー格のオン(永山瑛太)、その弟レイ(窪田正孝)、オンの親友グスク(妻夫木聡)らだった。

 

 オンには恋人のヤマコ(広瀬すず)がおり、金網の中には入れず見守るだけだった。

 

 しかしある時見つかって失敗、皆で逃げ、3人もバラバラになる。

レイは米兵に捕まってしまい、グスクは逃げ切る。しかしオンはそれきり行方不明になってしまった。

 

 1958年、グスクは刑事になっていた。オンを捜すためでもあった。

 

 レイは刑務所に入れられ、その後ヤクザになっていた。

 

 ヤマコは恋人のオンを待ち続け、やがて教師になった。

 

 米兵による交通事故や婦女暴行、殺人事件が起きても沖縄の警察は逮捕出来ない。

グスクはそんな現状がやり切れない。レイは暴力に走る。

そして、ヤマコが教師をしていた宮森小学校に米軍の戦闘機が墜落。破壊され、生徒、住民に死者が出る。

 

 それ以降、基地反対と本土復帰へのデモが頻繫に行われる様になる。

そして、米兵による交通事故に端を発した、「コザ暴動」に発展するのだった・・・。

 

 オンは、どこにいるのか?

そのカギは、ウタ(栄莉弥)というハーフの青年が握っていた。意外な結末だった・・・。

 

 

 

 昔から言われている日米地位協定の問題。

特に基地の多い沖縄では米兵による事件や米軍の事故が後を絶たず、怒りを覚えた事も多い。戦後80年経つのにだ。

ベトナム戦争では、沖縄から戦闘機が飛び立って行った。

 

 沖縄の戦後の歴史を描き、その上でオンの行方を探っていくストーリー。

オンはどこでどうしているのか、ミステリーだった。

その分、実はこうだった、の部分が、少し拍子抜けした感じだった。

 

 4人のキャストの演技は圧巻だった。妻夫木さんのやるせなさ、瑛太さんのボロをまとっていてもなおの格好良さ、窪田さんの狂気、すずちゃんのなりきり方。全て表情から伝わってくる。

コザの暴動のシーンも迫力。

 

 しかし、191分は長かった。もう少し、あと30分どうにかならなかったかと思う。

緊迫した場面ながら長尺に少し飽きてきたり、セリフが聞き取れなかったり、ストーリー展開がよく分からなかったり。

監督がどうしても描きたくて、この長さになったのだろうが。

エンターテインメント作品として捉えるべきだろう。

 

 沖縄の海は美しい。そこにどれ程の血と涙が流れて行ったのか。

私達は忘れてはいけない、人はそこで生きているのだ。破壊、殺戮していく戦争は何も生まない。正義のための戦争などない。

悲しみを、置いていくだけだ。

 

☆☆☆★3.75です。

 

 じゃ、またバイバイ

 

 

 

 この映画を観るといつも、真相は?と、もやもやした思いになる。

ヒッチコック監督の作品の中でも、名作に入るようだが、私は「めまい」が好きだ。

 

254回目は

「裏 窓」

 

 一人の男性が足を骨折し車椅子生活を送る間、アパートの部屋から目撃した事件?をめぐる顛末を描いた話。サスペンスなのだが、コメディの要素も。

アルフレッド・ヒッチコック監督。1954年公開。

 

 写真家のジェフ(ジェームズ・スチュアート)は、撮影中の事故により左足を骨折し、マンハッタンのアパートで療養中だ。

看護師のステラ(セルマ・リッター)が世話をしに来てくれ、恋人のリサ(グレース・ケリー)も度々訪れる。

 

 

 暑い季節、窓から見える向かいの部屋の窓は、どの家も開け放しており、丸見え。

ジェフはあちこちの部屋の様子を覗く。暇を持て余した悪趣味ではあるが。

ピアニストの部屋には人が大勢集まる。

暑さのためかベランダで寝る夫婦は、飼っている小型犬をカゴで中庭へ揚げ降ろししていた。

ほぼ下着姿で踊る女性ダンサー。

「ミス・ロンリーハート」と名付けた孤独な女性。

 

 そして、具合が悪い妻?を看ている男性の行動が気になりだす。夜中に夫は何度も雨の中を外出する。それをジェフは目撃。しかし翌朝に妻は居なくなっていた。実はジェフが車椅子で寝ている間、夫は女性を連れて出て行っていた。それは見逃していた。

 

 ジェフは双眼鏡や望遠レンズで様子を覗く。夫が大きな刃物を包んでいるところを見てしまう。また、大きなトランクを業者に運ばせていた。

 

 その事からジェフは夫が妻を殺害したと確信!その話を相手にしなかったリサとステラも段々その気になっていく。

 

 ジェフは友人の刑事ドイル(ウェンデル・コーリー)に連絡し、自分の推理を話すが、妻は別の場所に滞在しているとのこと。

 

 その夫はソーワルド(レイモンド・バー)という名前である事を電話帳から割り出し、ジェフは益々深みにはまっていくのだった・・・。

 

 

 こちらが他の家の様子を覗いている、という事は逆に見られているとも考えられるが、そこはストーリー上回避。最後に見られていたと知ったソーワルドが襲ってくる。その場面は怖い。そして、ジェフを窓から落とそうとするが・・・。

そこまでする理由が今一つ分からない。本当に妻殺しなのか?というか妻だったのか?

中庭の花壇を夫婦が飼っていた犬が掘り返すが、何があったのか?その犬は死んでしまう。

はっきりせず謎のまま。観る側の想像力に委ねられたストーリーだ。

 

 カメラワークは見事であり、アパートのセットもよく出来ている。舞台劇を観ている様。

 

 とにかくグレース・ケリーの美しさが際立つ。とっかえひっかえファッションショーのよう。まだまだ衣装を楽しめる。半分は彼女のための作品?

 

 テンポ良く、ラストは落ちまでついた、色褪せない作品である。

細かい点を突っ込めばきりがないから気にしないでね。それも計算済みか。

 

☆☆☆★3.75です。

 

 じゃ、またバイバイ