コーダ(CODA)とは、Children of Deaf Adultsの事。耳が聞こえない親を持つ子供を言う。
221回目は
「コーダ あいのうた」
耳が聴こえない家族の中でただ一人聴こえる、少女の現実と夢の葛藤の話。
シアン・ヘダー監督。2021年公開。
米、マサチューセッツ州、グロスターに住むルビー(エミリア・ジョーンズ)は女子高校生。
早朝に起き、父フランク(トロイ・コッツァー)、兄レオ(ダニエル・デュラント)の漁 を手伝う。母ジャッキー(マーリー・マトリン)を加え4人家族だが、父母、兄は聴覚障害者、ルビーだけが健聴者だった。
漁をするには必ず1人、耳の聴こえる者が乗っていないといけないため、ルビーはいつもサポートしていた。
一家は明るい 街の中でも有名だった。手話で語り合い、ルビーが皆の耳となっていた。
ルビーは合唱部への入部を決めた。歌うことが大好きだった そして、想いを寄せるマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)がいたからだった。
家族の中で育ったルビーは「言葉が変だ」と言われた事があり、物怖じしてしまう
そんなルビーに顧問のV先生(エウヘニオ・デルベス)は、「上手い下手ではない、何が伝えられるかだ」と説く。
V先生はルビーの歌の才能に気付く。発表会ではマイルズと組ませる事にする。
そして、ボストンのバークリー音大への進学を勧めるのだった。
漁師達は魚の値が下がり不満が募っていた。フランクとレオはルビーに手話を介してもらいながら訴える。
結果、漁師協同組合を立ち上げ、自ら魚を売る事に。仲間も一緒になって。
しかし、ルビーの負担も大きくなる。
V先生の家で受けていたレッスンにも遅刻する。苛立つV先生
歌の道へ進みたいと家族に打ち明けるルビー。しかしルビーなしでは、一家は成り立たないのだ。
翌日、ルビーは漁に同行するのを放棄した。そして運悪くその日は監視員が乗船。
2人の耳が聴こえない事がわかり、警察に通報されてしまう
漁を続けるためには、健聴者の同行と罰金の支払いを求められる。
ルビーは、進学は出来ないとあきらめるのであった・・・。
家族の中で自分だけ耳が聴こえる。そして皆の耳にならなければならない。どれだけ負担が大きいだろう。自分の夢は諦め、一生家族のために尽くさなければならないのかと、苦悩するだろう
しかし物語は終始明るかった。兄のレオが妹の気持ちを押し、父のフランクは娘が歌う喉に手を当てその響きを感じる。母は発表会のために真っ赤なドレスをプレゼント。
その発表会の途中、無音状態になる。そう、家族には周りの様子で皆の感動は分かっても、これが現実なんだと突きつけられる。
あえて無音を描いた事が心に刺さった。
結局、音大の試験を受けに行き、ルビーは家族の前で手話を交えて「青春の光と影」を歌う。そのシーンには涙。
そして合格。未来が開かれる
ルビーに頼り切りだった家族が今後、どうするのかという疑問は残ったが。
父、母、兄役の3人は、本当に聴覚障害者の俳優さんだった。それを知らずに観たのだが、だからリアルさを感じたのだと思った。
ルビー役のエミリア・ジョーンズはとてもキュートだが、歌に手話そして難しい役どころを演じ切ったと思う。
温かい家族の物語だった。幸あれと思う。
です。
じゃ、また