小田玄紀です

 

 先ほど、リミックスポイントの業績修正を開示しました。開示資料にある通り、売上133億円、経常利益31億円と大幅な上方修正となります。業績修正の主な要因は子会社であるBITPointの寄与が大きくなっています。

 

 ここ最近の仮想通貨に対する逆風を感じますが(といっても経営において逆風が吹かないことはほとんど無いので、そうした意味ではいつも通りの風ではあるのですが)、一つ仮想通貨の可能性を株式市場にも示すことが出来たのではないかと考えています。

 

 現在は上場会社の子会社として仮想通貨事業を本格的に展開している企業は極めて少なく、また、仮想通貨交換業者は決算数値や財務資料を開示しないところが大半のため(本来的には資本金5億円以上の場合は決算公告義務はあるはずなのですが)、恐らくは今回の当社の開示資料を多くの仮想通貨関連事業者や仮想通貨市場に参画を検討している企業が注目すると考えています。

 

 そこで何点かBITPointおよび仮想通貨事業について注意すべき点をこの市場を正しく理解してもらうためにも説明させて頂きます。

 

 まず、今回の開示資料をみて多くの人が「仮想通貨事業は儲かる事業だ!」と思う可能性があります。これは先日のコインチェックさんに関する報道もあり、仮想通貨事業が月数百億円儲かる!という先入観が入っていることもあり、こうした結論に至る人が多いのは仕方が無いことです。

 

 ただし、それは間違いです。

 

 これまで自分自身で多くの事業を立ち上げてきました。業種だけでも2030業種を超える事業の立上げをしてきました。数年前に立ち上げたのが電力事業。これも東京電力など大手電力会社や既存の新電力など非常に強い競合がいる中ではじめた事業であり、軌道に乗せるまでのハードルは極めて高い事業でした。

 

3年間の取組の結果として、電力の高圧市場において上位企業にまで入ることが出来たのは電力事業部の創意工夫と営業努力の賜物です。特に夏や冬は電力料金が高騰すると単月で赤字になることもあり、この事業を継続して本当にいいのか・・・という疑問がよぎることもありましたが、結果的にリミックスポイントの主力収益事業にまで育てあげることが出来たのは日々生じる課題を解決した結果です。

 

 その経験が霞んでしまう程、仮想通貨取引所の経営は大変です。

 

 まず言えることとして、FX会社や証券会社の感覚でこの市場に参画すると痛い目にあいます。仮想通貨自体の市場が未整備・未成熟であり、FXなどにおける常識が通用しないことが多々あるからです。

 

 たとえば、コインチェック社のNEM流出の際に多くの経済評論家が仮想通貨取引所は手数料だけで儲かる・・・という見解を述べていましたが、それは仮想通貨市場が成熟しており、FX市場同様にインターバンク市場が存在していることを前提とした間違った考えです。

 

 FX市場の場合はFX会社が多数のカバー先を有しており、また、インターバンクを介して取引が出来るため、「spread cost =利益」という構図が成り立ちます。

 

仮想通貨市場においては流動性が確保できるカバー先がまだそこまで多くなく、また、常にカバー先の取引量や状況が変わります。また、国内外の大手取引所でもサーバーダウンやシステム障害が多発します。これではカバー先としての機能を果たすことが出来ません。

 

 つまり、取引量が多くても自社取引所だけでサービスを完結させることは困難であり(仮想通貨特有の事象なのですが、買い傾向が強い時は市場全体が買いに傾くため、自社取引所だけでやると価格が異常値になる可能性が強くあります)、かといって取引量が急増した際に仮想通貨の現物を調達することも一定量になると非常に大変です。

 

 しっかりと分別管理を満たして事業を展開するには

 

 「Spread - cost =利益」

 

 ではなく

 

 「Spread - volatility risk - cost =損益」

 

 となることを意識して事業を展開していく必要があります。

 

 なお、BITPointでは海外を中心として多数のカバー先を開拓しており、また、証拠金を分散管理しています。また、市場が未成熟であるが故にシステム依存の取引はリスクがあります。そのため24時間365日でディーリングを管理する態勢が必要になります。

 

 言葉でいうと簡単かもしれませんが、これをしっかりとマネジメントする組織及び管理態勢を創れるかどうかが何よりも重要になります。

 

 また、仮想通貨の市場自体が2~3か月で大きく変わります。そのため、市場変化に合わせて適したビジネスモデルに変えていく必要があります。

 

 取引量、価格のボラタリティ、国内外の仮想通貨の価格差、取扱仮想通貨の増減、各国の規制およびそれに伴う主要取引所の流動性、セキュリティリスク・・・。様々なパラメーターがあり、その1つが変化すると収益構造も大きく変わるため、常に市場動向に応じてシステムや態勢、そしてビジネスモデルを変化させていく必要があります。

 

 つい先日までは成り立っていたビジネスモデルを2~3か月で変えていかなくてはいけない。なかなかこれは大変なことであり、当社のような上場会社は3か月毎に決算開示が必要となるため、これはまた非常にメンタルが鍛えられます(笑)。

 

 こうした市場変化がある中で如何に変化を楽しみ、適切なビジネスモデルを構築していけるか、それが仮想通貨事業の経営には求められます。これから仮想通貨事業を検討している経営者の方はサービス開始の前に相談来て頂ければ、少しは参考になる話できるかと思います。

 

 今年もこれから、仮想通貨に対するgood newsbad newsが多く出てくると予想されます。時に追い風、時に向かい風。どのような風が吹いてこようと「安心・安全な仮想通貨取引所」としての誇りと「仮想通貨を活用したお得で便利なサービス」を創出するという志を持ちながら、この業界に新しい価値を提供していきます。

 

 まずは2018年3月期の結果、そして来期のリミックスポイントおよびBITPointの取組みを楽しみにしていてください!

 

2018年2月13日 小田玄紀

 

 

 

 

 小田玄紀です

 

 Facebookに投稿した内容と重複しますが、Blogでも掲載をして欲しいという要請があったためBlogにても記載させて頂きます。

 

 先週より仮想通貨取引所のセキュリティについて多数のマスコミから取材を頂きました。昨日、ビットポイントジャパンのセキュリティ管理態勢についてもリリースをしましたが、大事な点をいくつか補足させて頂きます。

 

●リリース:ビットポイントジャパンのセキュリティ管理態勢について

https://www.remixpoint.co.jp/corporate/news/2018/3842

 

 まず、最も大事な前提として完璧なシステムはありません。システムとそのシステムを使う人、管理態勢これが最も重要です。ビットポイントを立ち上げたのが2016年3月だったのですが、この際は多くの人が「仮想通貨=不安・危ない」と思っていました。そこで、「安全・安心な仮想通貨取引所」を展開していくことで仮想通貨に対する負のイメージを払拭できるのではないかと考えました。「安全・安心」というのは人によって基準が違いますが、仮想通貨といっても金融商品なので証券会社・FX会社水準のシステムを構築しようということで元証券会社CTOの方に参画して頂きました。

 

 正直、多額な費用がかかりましたし、前期などはまだ創業間もなく収益も中々上がらない中で毎月出ていくシステム投資と運用保守費用。本当にこのまま続けていくことで採算性が取れるのかという懸念もありましたが、結果的にはこの投資が功を奏して既に決算情報を開示させて頂いている通りビットポイントは収益化が実現できています。

 

 証券会社水準のシステムに加えて24時間365日の監視体制でサーバー負荷やシステム障害を監視すること、ここに意識を向けることが重要です。何よりも大事なことは「完璧なシステムはない」という自戒を持つことだと考えています。システム増強は日々改善していくことが大切です。

 

 このことに関連しますが、ここ最近の報道ではホットウォレットは危険でコールドウォレットは安全ということが言われています。これは事実でもあり、誤りでもあります。

 

 コールドウォレットもその管理方法が弱いと物理的盗難やコールドウォレットからホットウォレットに移行する際にリスクがあります。実際に海外の取引所ではコールドウォレットからの流出もされています。

 

 他方でホットウォレットでもハッキング対策を行う手立ては多々あります(細かい点はセキュリティ観点から開示できませんが、いくつか参考情報は上記リリースに記載されています)。

 

 今回のコインチェックさんの件を受けて、仮想通貨はコールドウォレットで管理するべきという風潮もありますが、行き過ぎたコールドウォレットでの管理は仮想通貨市場の健全な発展を考えた場合には正しくないと考えています。

 

 以前より発信していますが、仮想通貨の本質的価値は投資・投機ではなく送金・決済・スマートコントラクトなどにあります。

 

 既存の金融機関とは異なり、低コストでスピーディにサービスが実現できることが仮想通貨の価値であり、この価値が注目されて仮想通貨の価格が形成されてきます。

 

 仮に仮想通貨取引所がコールドウォレットにて全てまたは大半の仮想通貨を管理することになったら、送金に時間がかかりコストがかかることになってしまいます。

 

 当社を含めてですが、現状では大半の仮想通貨取引所が投資・投機による収益が大半です。そのため、仮想通貨の投資・投機のところにのみ意識がいきがちですが、それだけだと結果的には仮想通貨市場の健全な発展を毀損してしまうと考えています。

 

 大事なことはバランスです。

 

 規制することは重要です。ルールを守り、そのルールの中で適切な事業を行っていくことが何よりも大事です。しかし、仮想通貨の本来の価値は決済手段として使えることであるため、この点を見失ってはいけません。現に仮想通貨取引を取り締まる法律は改正資金決済法です。

 

 ①セキュリティを高めること

 ②仮想通貨の使いやすさを高めること

 ③収益を上げること

 

 この3つが仮想通貨取引所の経営にはこのバランスが求められています。

 

 ビットポイントは利用者保護を第一にしながら、仮想通貨を使うことで多くの人が「お得で便利」を実感できるようなサービス創出に動いていきたいと思います。

 

 それと、今回様々な評論家の方が仮想通貨取引所が手数料だけで儲かるといっていましたが、実際はこんな簡単じゃありません(笑)。四半期決算前なので詳細は現時点では開示できないのですが、分別管理を適切に行うためには客の注文が買いに傾く場合にはカバーヘッジで調達が必要ですし、通貨単位での調達・管理が求められます。

 

 FX会社の感覚で参入すると上手くいかないですし、また、ネットベンチャーの感覚で参入しても大事なことを見落としてしまう。市場自体が変化するため、市場の変化を楽しみながら適切にビジネスモデルを変化させていくことが大事です。このあたりは決算発表後に改めて説明させて頂きますが、手数料だけで儲かるとしたらそれは分別管理が出来ていない可能性があるので注意が必要ということのみここでは述べさせて頂きます。

 

 2018年1月30日 小田玄紀

 


 小田玄紀です

 先程のコインチェック社から記者会見がされた通り、コインチェック社にて管理されていた仮想通貨の一部が不正アクセスにより外部流出されました。

 600億円規模の被害ということで、仮想通貨市場に大きな影響がまたありそうです(ただし相場は今のところ冷静ですが )。

 今回、コインチェック社としても急な事であり、現時点では正確な情報を把握しきれていない中での記者会見だったために限られた情報ではありましたが、仮想通貨についての偏見や誤解が広まることを防ぐためにいくつかコメントを残させて頂きます。

1.今回の問題は仮想通貨全体の問題か
 今回は総額600億円近い被害であり、被害額からすると過去最大規模になります。しかし、被害規模が大きいからといって仮想通貨が全てダメかというとそうではありません。

 今回流出したのはNEMという仮想通貨ですが、流出原因がNEM特有の問題かコインチェック社の管理態勢によるかはまだ明らかではありませんが、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の根本技術に問題あって外部流出した訳ではないことは明らかです。

 2014年にマウントゴックスの破綻があった時にも「だから仮想通貨は信用できない」という風潮がありましたが、それは両替所が潰れたからといって為替が成り立たないと思ってしまうのと同じくらいに誤解に基づく考えです。

 今回の件はあくまで1つの取引所が起こしたトラブルになります。

2.ホットウォレットにあったから問題なのか
 今回、多くの記者の方がNEMがホットウォレットにあったことを問題視していましたが、実はホットウォレットにあるから危なくてコールドウォレットにあると安全という訳でもありません。

 一言でホットウォレットといっても、様々なレベルでセキュリティの堅牢性を保つことは出来ますし、市場の動向によっては顧客の買い気配が強かったり送金需要が高かったりする際にはコールドウォレットにて管理することでサービスが止まってしまうこともありえます。

そうした意味ではホットウォレットとコールドウォレットのバランスは取引状況をみて適切に分けていく必要がありますし、ホットウォレットでも入口対策や出口対策などをしっかりと講じて管理することでセキュリティレベルをあげることもできます。

このあたりはブロックチェーン技術は関係なく、システムセキュリティの強固さや管理態勢をどう強く持つかということになってきます。

証券会社や金融機関はこの点において相当の態勢で臨んでおり、ビットポイントも証券会社のCTO経験者が金融会社水準の態勢を敷いているため、これまでサーバーダウンや重度なシステムトラブルは生じることがありませんでした。

システムだけでなく、管理態勢と意識をどこまで強く持つか、それが一番大事な点になります。

3.補填はされるのか?
 今回の被害総額が600億円近く、多くの人の関心がここにあると思います。NEMを持っている人はコインチェックユーザーの中でも一部だとは思いますので、この点は非常に難しい判断になってきます。

 選択肢としては
 ①補填はしない
 ②故意または重過失がある場合にはその範囲で補償する
 ③全額補填する
 という選択肢であり、②と③についてはその補償・補填方法が問題になります。

 特に補填方法として日本円での返済かNEMで返すか、補填する金額は本日の時価か顧客の取得価格か補填時の時価か(この場合は被害額が一気に小さくなる可能性があります )など様々な選択肢が考えられます。

 また特に多くの記者や顧客が懸念しているのは600億を補填したら破綻してしまうのではないかということだと思います。

 この点に関しては、コインチェック社の経営判断に委ねるべきであり、部外者がとやかく言うことではないことは承知しているのですが、NEMの保有者がコインチェック社の一部であり、また、コインチェック社がNEM以外の仮想通貨も扱っていることから、一部の方の補填が全体の顧客の被害拡大につながってしまうのであれば、破綻という選択肢を選ぶことは限りなく低いのではないでしょうか。

 マウントゴックス社の場合はビットコインのみであり、このビットコインの大半が流出したために破産になりました。この点からもコインチェック社とマウントゴックス社を同一に比べることは出来ないと思います。

 いずれにせよ、他のアルトコインの対応などを含めてコインチェック社としての判断を見守る必要がこの点においてはあります。



 今回のコインチェック社の件で多くの問い合わせが同社の顧客やマスコミの方から頂いています。

 コインチェック社はビットポイントよりもずっと前から仮想通貨取引所を展開しており、様々な点で勉強させて頂いたり、参考にするべき点がありました。

 同じ仮想通貨交換業者としてコインチェック社やその顧客のために出来ることは惜しまずやっていきたいと思います。また、今回の件で仮想通貨市場が誤解に基づくバイアスがかからないようになるべく発信出来る点は発信していきたいと思います。

 以前から発信していますが、仮想通貨の本来の価値は投資・投機よりも決済・送金やスマートコントラクトなど実務における利用です。これらが実用化されて初めて仮想通貨の価値は問われます。淡々とこの実現に向けて動いていきますので、今回の問題と仮想通貨の問題を混合しないようにだけは強くお願いしたい点です。

2018年1月27日 小田玄紀