「正しく伝えている。でも、なぜか残念な結果を招いた…」
というシーンが、脳裏にたくさん浮かんできて、
「そうか、理由は、感情にあったんだ」
答えが見つけた1冊です。
『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』(戸田 久実,かんき出版)
http://www.amazon.co.jp/dp/4761270896/takahashimasa-22/ref=nosim
この本を読んでいて、こんなことを考えていました。
伝え方には2種類ある。
情報を伝える。
感情を伝える。
そして、私たちが通常「伝え方」という場合、「情報を正しく伝える」「情報を魅力的に伝える」ことを意味します。そして、情報を伝えるための技術は、書店に行けば、たくさん手に取ることができます。
でも、「感情を伝える技術」となると、あまり目にしたことがない…。
「だから、いつも、感情を伝えることができずに地雷を踏んでいた可能性が大きい」
ということに気づいたわけです。
そして、この「感情を伝える技術」を教えてくれた本書を通して、私自身、もうひとつ「大きな許可」をもらったことが、ほんとにうれしかった。というのが正直な気持ちです。その「大きな許可」とは、
「怒ってもいいんだ!」
ということです。
「思えば、ずっとおさえこんできたのかもしれない…」
「怒りというものを…」
大人だから、表面的にはポーカーフェースをするのも上手になった。でも、ときにおさえこんできた「怒り」をおさえきれずに「爆発」させてしまい、それが原因で、大事にしてきたモノや未来が手からすり抜けてしまう…。そんな経験をたくさんしてきました。
そう思うと、今日1冊は、「怒り」をおさえずに「爆発」させてしまい、すべてを台無しにしてしまったあのときの自分に贈ってあげたい1冊です。
この本は、「怒り」のエネルギーを「建設的な未来」へと転化させる「伝え方」の技術を、明日からすぐ使えるように丁寧に解説してくれています。例えば、
・怒りは二次感情
・怒りは我慢しなくていい
・怒りはキャッチボールで伝える
・苦手な相手と仕事をしなければならないときには…
・メールを送る際に心がけたい8つのポイント
・ムカムカがとまらないとき、どうすればいい?
など、いつも素通りしていた「大事なコト」が、ページをめくるごとに次々と顔を見せます。
本書のページをめくりながら、「怒らない伝え方」の一本道を歩んでいると、ふと、「そうか!」と深く心に染みこんでくる気づきがありました。
それは、
「怒り」のコインの裏側には「恐れ」があって、
「恐れ」と「怒り」が交錯してしまい、ありのままの自分で
いられないことほど、つらいことはない…。
その「つらさ」に正面から向き合うのではなく、それは「技術」でクリアできる。ということ。
具体的には、即効性があり、かつ、まるで漢方薬のようにこれからの人生にわたって長きにわたって、「人生の体質改善」につながるような「1つの技術」が、
「感情を伝える言葉の引き出しをたくさんもつ」
ということ。
その人を知りたければ、その人が何に「怒り」を感じているのかを知ればいい…。
でも、ここでひとつ問題が発生します。それは、人は自分がイライラしている「怒り」の正体を見抜き、その「怒り」の「感情」をうまいこと「言葉」にして、自分の心から取り出す術をもっていないということです。
そして、「言葉」として自分の外側に取り出されることなく、その「怒り」は、心の深層をうごめく暗雲のように溜まっていき、ストレスとなり、まわりの人との関係性がギクシャクしてしまう…。
そんなストレス、ギクシャクに、スッと効くのが、本書で紹介されている「怒らない伝え方」です。
私なりに解釈した、「怒らない伝え方」とは、「怒り」の「感情」を「言葉」にして、自分の外側に取り出すことで、自分も、相手も、まわりも、「本音」でつながれる豊かな人間関係を紡げる人生の技術です。
追伸
人生の味わいのひとつに、嫌いな人、怖かった人と、距離がグッと近づき、その人との間にあった「人生の価値」に気づく。というのがあるような気がします。
私たちの心の中にいるたくさんの感情の中で、つい嫌ってしまったり、怖かったりする感情、それが「怒り」の感情。でも、嫌いな人や怖かった人が「人生の価値」を運んでくれるように、「怒り」の感情との距離感のとり方を学ぶと、私たちは、きっと、そこにある人生の深い味わいに触れる。のかもしれません。
最後に、この本の深層に流れる2つのパラドキシカルな「問い」を考えると、さらに人生の深き味わいに触れることができるのかもしれません。その2つの問いとは、
「人はなぜ、愛するのか?」
「人はなぜ、怒るのか?」
じっくり時間をかけて、謎解きを楽しめそうですね。
こんな問いに巡りあわせてくれた1冊に感謝です。
『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』(戸田 久実,かんき出版)
http://www.amazon.co.jp/dp/4761270896/takahashimasa-22/ref=nosim