Operaen @ Norway
ノルウェー オスロにあるオペラハウスは、オスロとニューヨークに拠点をおくSnøhettaという建築設計事務所による作品です。
オスロ駅から外に出ると直ぐに存在を確認できます。
オスロ・フィヨルドに面して建っており、建築のプロポーションとなっている巨大なスロープは海へと繋がりランドスケープとしての性質も併せ持つ建築といえます。
このスロープから作り出される建築のファサードは、流氷の様にも見える非常に彫刻的な印象を持ちますが、訪れた人々がスロープを上がって建物の上部から風景を見る等、形態だけを重視している訳でない事が解ります。
実際にスロープを歩くと、大理石で作られたスロープの表面処理は多角形に折れ曲がる毎に微妙に変化が付けられています。
一枚の大理石でも２種類の表面処理を施すなど、非常に設計レベルの高さが伝わって来ます。
また、設計者の意図を現場も叶えていることが素晴らしいです。
屋外だけでも非常に素晴らしい建築ですが、内部に入ると更に建築の奥深さが伝わって来ます。
それは、様々な素材とディテールを駆使して作られているのですが、どれもしっかりと馴染んでいてアンバランスな場所がありません。
玄関にはOlafur Eliassonによる光の壁が現れます。
菱形を少しずつ崩しながら面を作っており、流動感を持たせるデザインが施されております。
Snøhettaの凄さを感じさせられるのは、全てのデザインを自分達が行うのではなく、アーティストと協同しながらも、しっかりとひとつの空間へとまとめ上げている点です。
他にも間接照明を兼ねたポールなど、様々なところに建築設計の手がかりとなるボキャブラリーが散りばめられています。
ホールへのアクセスは木で覆われたスロープ状の通路となっています。
通路幅に変化を与えつつオスロの街が見える視線の抜けを作ったりと、空間の変化を繊細に加えており、非常にバラエティに富んだ心地よい空間体験をさせてくれます。
大ホールに入ると馬蹄型をしたプランで、木が多用されているせいか非常に重厚感な印象を持ちます。
ファサードを含め非常に現代的なデザインであるのに対して、このホールはコンサバな印象を受けます。
こういった対比からヨーロッパにおけるオペラのあり方が如何に重要であるのかを伺うことができます。
構成としては馬蹄型をした大ホールから、それを囲う様に曲面を多用したスロープがあり、大きな吹き抜け空間を介して、直線的な外壁があります。
こういった空間効果の演出が様々なプログラムをたくみに操っている印象を持ちました。
オペラハウス見学ツアーに申し込み裏方も見る機会に恵まれました。
練習場には大開口が空けら雄大な自然を見ることができるなど、ダンサーや様々なスタッフに対する配慮がなされています。
また、オペラハウス専属の舞台制作の工房や、衣裳制作の工房、練習場等非常に多くの居室が入っており、オペラハウスという建物は舞台だけではなくオペラを制作する全ての用途を含んだ建物だと分かりました。
近頃はどんな建築を見てもなかなか心が動くことはなかったのですが、オペラハウスは非常に感動しました。
僕が設計を通して常に考えている身体と建築の関係について、この建築は非常に多くの参考例が有り、ヒントが詰まっていました。
細かなディテールや仕上げへのこだわりが、このスケールでもしっかりと成し遂げられていることに驚愕すると共に、世界の広さを感じた出来事でもありました。
帰り際に山中悠嗣と兄弟で記念撮影。
GENETOをはじめて色々な出来事を経験し10年が経ちました。
今回はストックホルムでの作品展から始まり、レクチャーとワークショップという仕事までできたことは我々にとって非常に幸運であり、今後への大きな糧となる出張でした。
出張の機会に立ち寄ったオペラハウスは、我々に次へのステップを見せてくれた様に感じました。
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山中コ～ジ
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