何回かに分けて人を動かす力である影響力、カリスマ性についてお伝えしています。  

今回は、三つ目の「物語を持つこと」について。

全体を改めて:

1.be vulnerable 欠点と弱さを見せること.
2.be engaged and attentive その場、その人、その瞬間に全力で「関わり」、関心を持つこと、注意を払うこと
3.物語を持つこと
4.話すより聞くこと
5.良い質問をすること ask good quesitions
6.感謝の念をなるべく多く伝えること
ー批判、不平不満を言わないこと
7.Go above and beyond - やりすぎたとしても、過剰であったとしても、常に一生懸命であること

「物語」を持つこと。これは、英語では、
Have a story to tell. 
です。
語るべきストーリーがあること。
これがなぜ大事なのかというと、人はそこに納得できる物語がなければ、聞く耳を持ってくれないからです。

上に立つ人間ならば、その立場を担保する経験や、苦労があること。
若くて、ジュニアな立場にいるなら、自分の夢、それを抱くに至った理由や背景。

物語は、物事の過去、現在、未来を俯瞰して観察し、分析することで作られます。
ある企画について人を説得する時も「ストーリー」が必要です。
その企画を着想した背景、企画をもたらした課題点、その企画がもたらす効果などのメリット、そして未来において、どのようなタイムラインで効果と影響が予測され、どんな変化をもたらすのか。
それらをつなぎ合わせるのが物語です。

それが仕事の企画であっても、面接時に伝えるキャリアの道のりであっても、物語は必要です。
そして、その物語に説得力があるほどに、人に与える影響力が強まります。
物語に説得力は与えるには、以下の点が重要です;

  • 痛みや困難、苦しみから逃げずに、真正面から受け止め、その苦しみから自分が得られる学びやポジティブなことを考えて、くじけずに、乗り越えてきたこと
  • 人の心に真摯に向き合っていること
  • 自分の欠点や課題、コンプレックスやネガティブな部分から目を背けず、注意を払い、掘り下げ、振り返り、反省をし、常にアップデートしていること
  • 好き、嫌い、憎しみ、嫉妬などの感情に突き動かされずに、本当に正しいこと、やるべきことを念頭に行動すること
  • 常に自分、周囲の状況に注意を払い、よく観察し、何がどうして、どういう理由で起きているかを考えること

つまり、日々をどうきちんと生きているか、自分と周囲に向き合っているか、にかかっているのです。

私がおすすめなのは、小さなサイズのノートを持ち歩くことです。モレスキンの一番小さなサイズだと、小さなバッグにも入り、長持ちします。ゴムのストッパーもついて閉じられるし、布紐のしおりもついているし、小さなカードを入れられるポケットもある。
スマホのメモに書き込むのもいいですが、やはり指を動かし、筆圧を感じながら文字を刻んでいく内に、頭や心の中が整理されます。

そうやって自分と向き合っていくと、目が変わっていきます。瞳がだんだんとはっきりしていき、澄んでいき、力が宿ります。
説得力のある目になっていくのです。

そうやって自分と向き合っていくと、行動、身のこなしにも変化が生まれます。
本当は自信が無い臆病な人の多くが、去勢を張って自分を強く見せようとします。
そういう人は、ここぞという場面で落ち着きが無く周囲を気にしてチラチラと視線が動いたり、
動きにも全体的に落ち着きが無くなったりしがちです。

あるいは、感情が爆発してしまったりします。

そういう人は、そういう自分に気がついていません。
なぜなら、普段から自分を振り返る習慣づけが無いからです。
そういう人は、自分が周囲からどう見られているか、という「他人依存」で自分を評価していて、自分自身の物差しで自分をみていないのです。

小さい時から相対評価で人の価値を決めることに慣れさせる日本の教育システムで育つと、「他人軸」ではなくて「自分軸」で自分を評価できるようになるのは、結構難しいもの。

特に、学校や社会の評価で子供の優劣を判断する親、
「何よりもまず自分らしくあっていい、あなたの個性がすばらしい」とまっすぐに自分の存在を肯定してくれない毒親に育てられた人にとっては難しい。

でも、毎日、自分にことあるごとに言い聞かせ、自分軸を取りもどすことは可能です。そのためにはトレーニングが必要です。

人は、あまり人のことを気にしていない、とも言いますが、自分に自信のない人の見せるちょっとした身体の動きやエネルギーに、他人はとても敏感です。
なぜなら、私たちは動物だから。
何が本当の強さで、嘘の弱さなのかは、本能的に見抜くことができます。

自分自身の闇と真摯に向き合い、人間として成長して行き続けることができる人こそ、本当の物語をもち、人を動かすことができるのです。

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