今回も、2009年に書いたわしのmixiレビューより抜粋及び加筆修正や!



まいど、あつしです。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 


西暦1988年(悪魔暦紀元前11年)発布の五枚目の大教典(アルバム)である。
現構成員になり、ガラリと雰囲気を変えた前作であるが、その前作からまた更なる進化が見られる。前作はより純粋にハードに、技巧的にという色があったが、今作はより聴きやすさを重視し、しかも音楽的な遊び心も満載に盛り込まれた作品に仕上がっている。ポップになりつつも、またジャズなどの奇抜な要素をとり入れつつも、ヘヴィーメタル・ハードロックバンドであるという軸は全くブレていないので、安心して楽しむことが出来る。

「WINNER!」
ルーク篁作曲の作品。一曲目から意欲作で、聖飢魔II初のメジャー(長調)の明るい曲。小教典化されている。正のパワーに満ち溢れており、インパクトの強い作品。明るい曲でも充分勝負出来ることを見せ付けた革命的な曲である。

「LOVE FRIGHT」
一曲目で今までの聖飢魔IIとは違うと感じ、二曲目で更にそれを感じるであろう。いきなりのジャズっぽい雰囲気に驚かされる。またデーモン小暮の歌唱も怪しい外国人風で、曲に非常にマッチしている。

「RATSBANE」
ルーク篁作曲の作品。軽快なハードロック曲である。この曲の聴き処は、なんと言っても間奏である。軽快なハードロックだと思ったら、突如ジャズに変わる。ジャズ心満載のベースとドラムに、ジャズピアノが乗せられる。そして、エース清水のジャズギターソロが始まる。しかし、それだけでは終わらない。エース清水のジャズギターソロと、ルーク篁のハードロックのテクニカルギターソロが交互に演奏されるのだ。また、勿論のことではあるが、その度にリズム隊がジャズからハードロックに切り替わるのは見事の一言である。聖飢魔IIの演奏力の高さと音楽性の広さを、まさに体現した秀作である。

「害獣達の墓場」
エース清水作曲の作品。「けものたちのはかば」と読む。聖飢魔IIが得意とする、悪魔の視点から、人間社会を痛烈に風刺した曲。「人間は自分たちの愛を守るために、地球規模で数々の生き物を殺戮してきたではないか。」と言ったメッセージが読み取れる。曲調は、比較的ローテンポな重いハードロックである。キーボードの使い方が巧みで、Bメロに凄まじいインパクトを作り出している。歌唱に於いては、悲しみの叫びのように、非常に凄まじい声量で歌い上げている。

「RENDEZVOUS 60 MICRONS'」
エース清水作曲の作品。アップテンポの曲だが、イントロの奇妙なメロディーに拒否反応を示しそうになる。しかし、歌メロディー自体はキャッチーでポップで聴きやすい。

「THE EARTH IS IN PAIN」
ルーク篁作曲の重いハードロック曲である。非常に力強さの感じる曲で、かっこいい。この曲は特にデーモン小暮の歌唱が、大地から湧き出るような非常に力強いものであり印象的である。特にサビのシャウトは圧巻である。

「LUNATIC PARTY」
エース清水作曲の作品。凄くポップできらびやかなハードロック曲。サビと言っても良いくらい印象的なAメロは、あまりにきらびやかで明るいから、今までの聖飢魔IIから考えるとまぶしくて目をつぶってしまいそうだが、その他は意外にマイナー調でしっとりしている。また、「長官節」と言われるエース清水独特のメロディーも表れている。

「5000光年の彼方まで」
ゼノン石川の作曲の作品。アップテンポのハードロック曲である。ギターソロが印象的だが、個人的にはあまり思い入れがない。

「不思議な第三惑星」
デーモン小暮作曲の疾走曲である。この曲は何といっても歌詞である。全て対訳のついた文法的にも立派な英語なのだが、全て日本語に聞こえてしまうのである。その空耳な日本語は、とてもくだらないので、かなり笑える。歌いこなせればの話だが、カラオケでは確実に受ける。歌にそれなりの自信があって、しかも笑かしたければ、ぜひマスターしてほしい曲である。曲調も疾走系の曲でかっこいい。

「THE OUTER MISSION」
エース清水作曲の本教典表題曲である。四分の四拍子と四分の三拍子を一小節ずつを一つの単位とした変拍子の不思議な感覚を覚える曲である。また歌と歌の間などの、つなぎの演奏が豊かである。そのつなぎの部分が、曲に彩りとインパクトを与えていると言っても過言ではない。ゆったりした曲に聞こえるが、実はテンポが160以上ある。四分の四拍子に統一されるBメロに於いてのみ、テンポ相応の疾走感を感じることが出来る。ところが、サビは再び変拍子になり、ゆっくりになる上に、コード進行が今までにないような個性的な進行となっており、少し引っ掛かる感じがする。しかし、反対にそれがこの曲に、古文調の歌詞と相まって高尚な印象をあたえているのだろうと思われる。



このように、曲作りに磨きがかかっており、全曲小教典化(シングル化)が出来るのではないかと言えるくらいクオリティーが高い。非常に柔軟性の効いた聖飢魔IIの懐の深さを大いに感じさせてくれる。まさに「最高傑作」と言える作品である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ボン。