電気を消したのは、爆破装置のセットを、中止させる係りのストーンさん、隊長さんには、停電させるってことは前もって話していたので、隊長さんは、驚くことはなかった。ストーンさんは、赤い地球のガーディアンさんだから、ちょっと特殊、真っ暗中でも平気だし、隊長さんは、僕らの毛を手に植えつけてからは、いろいろなところが超人間になっていて、真っ暗中でも、困ることはなかった。

ストーンさん的には、悪魔の仲間は、きっと特殊な能力を持っていて、暗い中でも作業を続けるんだろうって思っていたのが、ちょっと拍子抜けした感じだった。

でも、悪魔の仲間は、やっぱり悪魔だから、慌てたのはほんの一瞬で、すぐに誰かが、

『落ち着け、慌ててドジを踏むな。目を閉じろ、すぐに暗闇に慣れる』って、言うと

『そうさ、俺達は、悪魔なんだから。闇の中は、俺達の世界だ』

『騙されるな、それよりも、消えた血のパックを捜せ』

『人間は、どうせ爆破して、チリになるんだったから、構わないが、血は別だ。あれがなければ、俺達は、生きていけない』って、

その言葉を聞いたとき、隊長さんもストーンさんも、同じことを思った。『悪魔は、吸血鬼』なんだって。でも、それとは別にこんなことも思ったんだ、自分たちが思っていてる吸血鬼と、ここに居る悪魔が本当に吸血鬼だとしたら、何か違うって、どう違うのかって言うと、この悪魔達は、昼夜を問わず外に出ても平気でいる。確かに天気は、嵐で最悪だけど、昼間は昼間だって。

悪魔達が、血をどう使うのかってことは、さて置き、冷静さを取り戻した悪魔達は、すぐに電気を点けた。そして、壊されている爆破装置を見て、

『くそ、やられた。急いでやり直すぞ』って、一人が言うと

『脱出のルートを確保しておけ、こっちは、すぐにセットをし直すから』

『了解』って、答えた悪魔が

『エレベーターは、駄目です』って、言うと、

『階段も駄目です』って、違う悪魔が言う。

そうりゃあそうさ、隊長さんが、エレベーターと階段を壊していたんだから。


        つづく

『酷い扱い方をする。人間をなんだと思っているんだ』って、隊長さんが、怒りで顔を赤くしながら言うと

『きっと、悪魔達からすると、人間も動物も生きもの全てが、物なんじゃないのかな。それも、用がなくなったら捨ててしまう』って、リッちゃん

『リッちゃん』って、アッちゃんが言いながら、黙ってリッちゃんの鼻の頭を舐めた。

『二人とも、そろそろ終わりそうだよ』って、ストーンさんが

『悪魔の仲間は、私とストーンさんで、アッちゃんとリッちゃん、犬さんも、取り掛かろう。くよくよしている場合じゃないよ。戦うんだよ』って、隊長さんは言って、アッちゃんとリッちゃんの頭を撫でて、

『さー』って、掛け声を、その掛け声に合わせて、リッちゃんは、血液の入ったパックが詰められたダンボールの箱の前に、アッちゃんと赤い毛の犬さんは、血を抜き取られて、ガリガリになってしまって、まだ生きているのに、まるでゴミのように集められた人たちの前に、隊長さんは、作業を終えて地下から脱出しようと、エレベーターの前に集まってきた、悪魔の仲間の前に、ストーンさんは、最後にここを爆破するのに、時限爆弾をセットし始めた、悪魔の仲間の前に、姿を現さずに立った。

そして、隊長さんが、声だけは悪魔の仲間達にも聞こえるように

『ゴー』って、

それと同時に地下から、血液の詰められたダンボールの箱の山と、ゴミのように酷い扱いを受けた人たちが、一斉に消えた。

血液のパックは、リッちゃんが、血を抜かれて瀕死の人たちをアッちゃんが、フューチャーちゃんちへテレポーテーション、事前に、空君に連絡を入れていたので、向こうでも急きょ準備をしてくれているみたいだ。

『おい、なんだよ』

『血液の箱が、消えた』

『死体が消えた』

『あっ、エレベーターが止まった』

『何があった』

『もしかしたら、猫か』

『馬鹿言え、猫にこんなことが出来るか』

『さっき、悪魔が消える前に言っていたじゃないか、天界からの猫がどうかしたって』

『静かにしろ、誰か居る』

『俺達以外に、誰も見えない』

『あっ、時限装置が』

『どうした』

『あっ、電気が消えた』

『早く、自家発電に切り替えろ』

『ゲェ、ウッ』

『どうした、あっ、なんだ』

って、真っ暗になった地下で、悪魔の仲間たちが、騒ぎ出した。


        つづく



目茶苦茶むかついて、悪魔の言いなりになるのが、すごく癪にさわったんだけれど、やっぱりこのままでは、どうにも戦うことが出来ないので、悪魔のことを放すことにした。けど、そのまま放すのは、どうしても納得がいかなかったので、悪魔を放すのと同時に、僕は瞬間的に向きを変えて、思い切り攻撃ウンチ(肛門線)を掛けてやった。

これは、かなり悪魔にダメージを、与えることが出来た。だって、掛けた僕自身も、臭いって臭ったもの。で、攻撃態勢になって思い切り膨らんでいる、僕の尻尾の毛を目にも留まらない速さで、シュシュシュって体中に突き刺してやった。

悪魔は、最初、臭いに気をとられていたから、上手く僕の毛を、交わすことが出来なかったんだけれど、すぐに気を取り戻したらしく、体に突き刺さった毛を、全身に力を入れて跳ね返した。

そして、そこから、僕と悪魔の戦いが、始まった。

その頃、地下では、悪魔の仲間たちが、今までそこに居て、『天界から、妙なやつらが来ているから、みんな十分気をつけろ』って言っていた、悪魔が、突然、姿を消してしまったのだから、

『どうしたんだ、どこに消えてしまったんだ』

『ドクターが居ないと、どうすればいいんだ』

『取り合えず、パックを急いで集めろ。パックは、持って帰らなければ』

『人間は、どうする』

『パックを、運び出したら、ここは、爆破するから、一箇所に集めろ』

『でも、生きている。それに、上の階には、猫や犬が居る、それに子供も』

『かまうものか。もう、この国には、用がないんだから、ここの生きものなんか、消えてしまえばいいんだ』

『海は、どうするんだ』

『それは、自分たちの係りじゃない。海は、海でなんとかするだろう。ドクターは海かもしれない』

『そうだ。自分たちは、自分たちの仕事を、早くしろ』って、

あっち、こっちで怒鳴りながら、もう、自分たちの持ち場で仕事を、淡々とこなしている場合じゃなくなって、慌ててそこら中にある血液の入ったパックを、大きなダンボールの箱に詰め込んでいる者や、この国の人たちを一箇所に集めている者達。

アッちゃんたちは、少しの間、その様子をじっと見ていたんだ。


        つづく