僕は、僕のお願いを聞いてくれて、わざわざ深海から出てきてくれて、多くの人たちを、海の深いところに吸い込まれないように、食い止めていてくれる、さかなさんたちに、心からの感謝をこめて
『さかなさんたち、本当にありがとう。もう少しの間、この人たちを助けてあげていて、僕、急いで悪魔をやっつけるから』って言うと、さっきの、さかなさんが、
『ああ、任せておいてくれ、闇の中を彷徨っていた猫さん』って、えぇ、ここに居る、さかなさんたちは、僕のことを知っているんだ。
『悪魔に、恩知らずなんて言われるような、人間は、いないよ』って、僕が言うと
『そうかな、猫だって、いろんな人間を見てきたんだろう』って、悪魔は意味ありげに言った。
確かに、僕は悪魔の言うように、いろんな人間を見てきたし、人間に裏切られ続けた、動物たちも、いっぱい見てきたから、否定することが、すぐに出来なくて、ちょっとだけ黙っていたら、
『なんだ、猫、そんなことはないって、すぐに答えられないのか』って、悪魔に言われてしまった。
『でも、だからって、あんな風に血を抜いたりして良い訳がないし、こんな風に人の心を奪って、虫けらのように働かせて、人の蝋燭の炎を奪って良い訳がない。それも、自分たちが生きて行くために、つつましく、平和に暮らしている、何の罪もない国の人たちを騙して、悪魔の世界に引き込むなんて、絶対に許さない』って、悪魔の首の皮を、歯に引っ掛けながら、ちょっと言いづらい感じで言うと
『猫、正々堂々と戦えないのか。何が、天界から来た猫だ、こんな卑怯なマネをしていて、よく言うよ。正義が笑わせる』って、僕に首根っこを銜えられている悪魔が、僕のことを挑発してきた。
僕も、ちょっとだけそのことは気にしていたので、
『いいよ、外してあげても。でも、僕には見えているよ。僕が、悪魔のことを自由にすると、ここの人たちのことを人質にして、一人だけ、北の国に逃げて行く悪魔の姿が』って言うと、
『それでも、お前は、私のことを自由にする。そうしないと、お前は私と戦えないから、それが天界からの猫だから』って、
くそー、悪魔は、僕のことをよく知っている。僕が、あまり卑怯な形では、戦えないことを。
つづく