僕は、僕のお願いを聞いてくれて、わざわざ深海から出てきてくれて、多くの人たちを、海の深いところに吸い込まれないように、食い止めていてくれる、さかなさんたちに、心からの感謝をこめて

『さかなさんたち、本当にありがとう。もう少しの間、この人たちを助けてあげていて、僕、急いで悪魔をやっつけるから』って言うと、さっきの、さかなさんが、

『ああ、任せておいてくれ、闇の中を彷徨っていた猫さん』って、えぇ、ここに居る、さかなさんたちは、僕のことを知っているんだ。

『悪魔に、恩知らずなんて言われるような、人間は、いないよ』って、僕が言うと

『そうかな、猫だって、いろんな人間を見てきたんだろう』って、悪魔は意味ありげに言った。

確かに、僕は悪魔の言うように、いろんな人間を見てきたし、人間に裏切られ続けた、動物たちも、いっぱい見てきたから、否定することが、すぐに出来なくて、ちょっとだけ黙っていたら、

『なんだ、猫、そんなことはないって、すぐに答えられないのか』って、悪魔に言われてしまった。

『でも、だからって、あんな風に血を抜いたりして良い訳がないし、こんな風に人の心を奪って、虫けらのように働かせて、人の蝋燭の炎を奪って良い訳がない。それも、自分たちが生きて行くために、つつましく、平和に暮らしている、何の罪もない国の人たちを騙して、悪魔の世界に引き込むなんて、絶対に許さない』って、悪魔の首の皮を、歯に引っ掛けながら、ちょっと言いづらい感じで言うと

『猫、正々堂々と戦えないのか。何が、天界から来た猫だ、こんな卑怯なマネをしていて、よく言うよ。正義が笑わせる』って、僕に首根っこを銜えられている悪魔が、僕のことを挑発してきた。

僕も、ちょっとだけそのことは気にしていたので、

『いいよ、外してあげても。でも、僕には見えているよ。僕が、悪魔のことを自由にすると、ここの人たちのことを人質にして、一人だけ、北の国に逃げて行く悪魔の姿が』って言うと、

『それでも、お前は、私のことを自由にする。そうしないと、お前は私と戦えないから、それが天界からの猫だから』って、

くそー、悪魔は、僕のことをよく知っている。僕が、あまり卑怯な形では、戦えないことを。


        つづく



リッちゃんに僕らの、毛を抜いて手に付けるようにって言われて、隊長さんは

『ああ、分かった、しかし、付くのかな?接着剤がなくても』って言いながら、僕らの毛を手に

『おお、付くよ。どうなっているんだ。こんなもんでいいかな。しかし、なんだか妙な感じだな、ここだけ毛深くて、それも猫の毛と犬の毛が、混じって生えているって言うのは』って、僕らの毛のくっ付いた、自分の手を見ながら、そして

『何か、いつもの自分の手と違うって、あれ、指が変化してきた。なんだ、その、猫の手のような犬の手のような、爪も伸びてきて』って言いながら、まじまじと変化していく、自分の手を見ている。

そう、僕らの毛を付けた、隊長さんの手は、猫と犬の手をミックスしたような手に変化したんだ。

『これで、隊長さんにも、力が付いたよ。悪魔の仲間とだって、戦える』って、アッちゃん

『うん、基本的には、隊長さん、強いんだし』って、僕

『しかし、元に戻るのか』って、ストーンさんが心配そうに言う。

『このままの手だと、人間社会には、戻れないな。まだ、人間社会に未練があるんだけれど。結婚もしていなしな』って、少し淋しそうに、隊長さんが言ったので

『ちゃんと、後で元に戻しますから、今は、その手の方が、絶対いいから。分かれて開始しますよ。まずは、僕が悪魔を地上に連れ出しますから、そうしたら、みんなも始めてね』

僕は、それだけ言うと、息を止めて、悪魔の後ろに近づき、首筋に思い切り噛み付いた。そして、焦ってもがく悪魔を銜えて、テレポーテーションして城の外へ。初めは、ただ地上に連れ出そうって、そして地上で戦うつもりでいたんだけれど、テレポーテーションした直後に、海のトンネルのことが頭に浮かんだので、海に連れて行くことにしたんだ。

僕と悪魔が、海にテレポーテーションしてくると、荒れ狂っている海の中に、吸い込まれている人たちを、さかなさんたちが網のようになって、遠くに流されたりしないように食い止めていてくれた。

その、さかなさんたちを見て、悪魔が

『馬鹿なさかなたちだ。どんなに、人間の命を助けても、恩知らずの人間は、海を荒らして自分たちのことを、胃袋の中に入れてしまうのに』って

それを聞いていた、一匹のさかなさんが

『私たちは、普段、人間の来ることの出来ない深海に住んでいるから、人間の口には、入らないんだよ。おそらく、私たちのことを見たことのある人間は、いないはずだよ。どんな図鑑にも、載っていない筈だよ』って、言った。


        つづく

『元ちゃん、フューチャーちゃんのところに、この人たちを移動するのは、いいとして、バラバラに置かれていて、この人たちの周りには、悪魔の仲間がいるんだよ。この連中をなんとかしないと』って、隊長さんが言うと、

『そうだよ、いくら、向こうには、空君たちが居るとは言っても、不味いよ』って、アッちゃん

『この連中は、生きているのか死んでいるのか分からない、私と隊長さんで、なんとかしましょう』って、ストーンさん

『いいでしょう、何とか、この連中の気を引いて、この人たちから、遠ざけることにしよう』って、隊長さん

『じゃあ、僕は、悪魔を地下から、地上に。アッちゃんとリッちゃんは、山積みにされている、大事なこの国の人たちを、フューチャーちゃんのところへ、勿論、犬さんも、二人の手伝いをお願いします』って、僕が言うと

『ええ、戦うことは出来ませんが、この人たちを、助けたい気持ちは、みなさんと同じですから』って、赤い毛の犬さん

『けど、どうする』って、リッちゃん

『僕は、悪魔を銜えて地上にテレポーテーションする。ストーンさんと隊長さんは、姿を見せて、ここの連中を一塊にして』って、ここまで言うと

『その後は、打ちのめしましょう』って、ストーンさんが隊長さんを見た。

『そういうことなら、任せて欲しいな』って、隊長さん

でも、よく考えてみると隊長さんは、基本的には、まだ、そんなに力を持っているわけじゃないんだよなって、ちょっと心配かなって思っていると、隊長さんが

『元ちゃん、私だって一人で、何とかテレポーテーションする力が付いてきたんだから、そんなに心配しなくても、大丈夫だよ』って、

『ああ、バレバレだった』って、僕が言うと、ニャって笑って見せたけれど、隊長さんの動悸が、僕には聞こえてきていた。だって、相手は、悪魔の仲間なんだから

『元ちゃん、僕らの毛を、隊長さんに』って、アッちゃんが言った。

『そうか、僕らの毛だ。なんで、そんなことを忘れていたんだ』って、僕が言うと

『そんなもんだよ』って言いながら、リッちゃんは、隊長さんに

『僕らの毛をね、少しづつ抜いて、手に付けて、接着剤がなくても、着くから。僕らからの、お守り』って、


      つづく