長のおじさんは、自分のしていた事を、心から悔やんでいるっていうのが僕と隊長さんに伝わってきた。

そして、その後悔が本当の証に、悪魔の国王が、おじさんに向って、怒りをこめて

『死ね』って、一言言うと、おじさんは、あっという間に、嵐の海の中に吸い込まれて行った。

ああぁ、なんてこと、僕がちょっと気を、隊長さんとトンネルのことで、いっぱいになっていたせいで、おじさんが、嵐の中に吸い込まれてしまったことで、隊長さんと悪魔との、話は、当然

『私のことを、裏切ると長のようになる。でも、私に忠誠を誓って、私の言うとおりに働くと、お前が一生かかっても、手にすることの出来ない富を得ることが出来る。それも、短期間で』って、悪魔が言い終わる前に

『悪魔め、なんってことをするんだ。人の命を、生き物の命を、お前は、なんだと思っているんだ』って、隊長さんは、切れた。

『フフ、そんなことだと思った。お前は、何者だ、ただの人間なのか』って、隊長さんに聞いてきた。

『ただの人間じゃないよ。隊長さんは、悪魔の国王とは、全く違うピユァな心の人間だよ』って、僕が言うと

『お前は、どこから来た猫だ。人間の言葉を操る猫、怪しい猫だ』って、悪魔

『僕は、どんなに悪魔のおじさんが頑張っても、行くことの出来ない天界から来たんだよ。悪魔は、静かに眠っていなきゃいけないんだ。僕が、案内してあげる』って、僕

『ほー、おもしろいことを言う猫だ。そして、さっきから、ずっと、私のことを悪魔と呼んでいるが、私は悪魔なんかではない、ただの人間だよ』って、悪魔

『それなら、お前の国の人間は、みんな悪魔だ。自分たちの為に、他の国の人たちや動物が苦しんだり、命を亡くしてしまうことが平気なんだから』って、隊長さん

『私たちの国の国民が生きていくために、よその国の人間が犠牲になることは、仕方のないことだ。自分の国の国民を、守れない長が悪いんだ。そして、あの長は、欲にも目がくらんだ。そんなことより、お前達が連れ出した、猫や犬や、子供たちを返せ。そうしたら、お前達の命は、奪わないから』って、悪魔

『言ったでしょ。僕らは、天界から来たんだって。だから、命は奪えないよ』って、僕は、隊長さんも天界から来たんだって、ちょっとだけ嘘をついた


         つづく

『意気地のないやつだ』って、悪魔の国王が鼻で笑うように、長のおじさんに言った。

僕も、隊長さんも、きっとみんなも、そう思っていると思うんだけれど、国王のこと、悪魔なんだから、絶対に、それはそれは、恐ろしい顔をしているんだって、そして、格闘家の人みたいに、体なんかも筋肉がもりもりって。

けどね、僕らの前に、立っている国王って、何か悪魔っぽくないって言うか、もし、悪魔なんだって分かって見なければ、すごくカッコいいイケメンっていう感じ、僕のお母さんやアッちゃんのお母さんのれいちゃんが見たら、ファンになってしまいそうな、目茶苦茶いい感じの悪魔なんだ。

そして、その悪魔の国王が、隊長さんの目をじっと見て、すごく優しく、それでいてなんか高圧的に

『どうだい、私と手を組まないかい。君は、この国の人間ではないんだよね。だったら、特に、この国の人間が苦しむことには、それほど後ろめたさは感じないだろう。君は、見るからに腕っ節が強そうだし、いい条件で雇うよ。どうも、その男は使いもにならない。気が弱いくせに、金だけは、人一倍欲しがる、困ったもんだ。おまけに、すぐに善人面をして、この私のことを裏切る。それと、君は、猫の扱いに慣れているみたいだし』って、言った。

僕は、隊長さんに抱かれながら、

『隊長さん、悪魔の目を見ちゃ駄目だよ』って、隊長さんの心に話しかけていたんだけれど、隊長さんは、僕のその言葉に

『大丈夫、私は、いろいろな訓練を受けているし、それに今、悪魔の目から目をそらすしてしまうのは、不味いよ。少し話しに乗った振りをしてみよう。まだ、元ちゃんのことは、ただの猫だと思っている見ただし』って、

『うん、分かった。ああ、じゃね、僕、隊長さんの胸のところに、爪をちょっと立てるけど、我慢して。僕が、悪魔の目から、隊長さんのこと守るから、しっかり、悪魔も目を見て話して』って、僕は、隊長さんに言って、隊長さんの胸に爪を立てた。

こうして胸に、爪を立てておくと、僕の爪の痛さが心に伝わって、目は悪魔を見ていても、心は悪魔を見ていないから、悪魔に心を奪われる心配はない。

『了解、元ちゃん、海のトンネルの方も頼んだよ』って、隊長さん

そして、隊長さんは、悪魔に

『あんたと手を組むと、どんな良いことがあるのかな』って言うと

『止めろ、こんなやつをてなんか組んじゃいけない』って、長のおじさんが、隊長さんに言った。



悪魔の国王に、裏切り者って言われた、長のおじさんは、僕と隊長さんの居ることを思い出したみたいに、はっとした顔をしたのを僕と隊長さんは見逃さなかった。けど、僕らは、何も聞いていなかったって装うことに決めていたので、何も気づかない顔をしていたら、おじさんが、

『あれが、悪魔です。私の国民を、苦しめている悪の根源です。早く、殺してください。あいつは、口からでまかせに何でも言うんです。悪魔の言うことなんか、信じないでください』って、その言葉を聞いた、悪魔の国王が

『長、お前は、ばかか。その猫と人間の顔を、よく見てみろ、お前のことなんか信じていないぞ。疑いの眼で、見られていることも分からないのか。そいつらが、私に勝てると、本気でお前は思っているのか。私を、誰だと思っている、全知全能の悪魔だぞ。この地球を、動かすことの出来る悪魔だぞ』って、

『何を言う、私は、この国の長だ。その長が、悪魔の仲間の訳がないだろう』って、おじさんは、自分が何を言われても、決してうろたえたりしないんだって、目いっぱい虚勢を張って言った。でも、悲しいことに、おじさんの手足、それに唇がブルブル震えていて、それが嘘だって分かってしまう。

『長、何をそんなに震えているんだ。お前が、本当に、この国を、この国の国民を思う、立派な長なら、そんなに震えることはないじゃないか。いいのか、そんなわけの分からない猫や人間といて、後から自分が間違っていました、もう一度仲間にしてほしいと言ってきても遅いんだぞ。今なら、許してやってもいい。その代わりに、逃がした猫や犬に子供たちを連れ戻せ』って、悪魔が、そして、大きな声で

『早くしろ、長、その猫とその男を、捕まえろ』って言われて、長のおじさんは、僕と隊長さんの方を見て

『わたしは、私は・・・』

『早くしろ』って、さっきよりも、もっと大きな声で言われると、おじさんは、真っ赤な顔になり、悪魔の方を見て

『もう嫌だ、もう嫌だ。私は、もう嫌だ』って、叫んで泣き出した


         つづく