中学受験の目的の一つとして、「高校受験で必要な内申書、要は他人からの評価を気にせずに伸び伸びとした中高6年生を送らせてあげたい」を挙げる方は多いと思います。
が、「内申書」を回避できても、小学生のうちから塾のクラスの昇降に過敏にならざるを得ない環境に長期間晒し続けるのは好ましいと言えません。
「伸び伸び」どころか、公立中学に行った場合以上に、他人からの「評価」ばかりを気にする人格が形成されてしまうおそれがあります。
あとは、勉強のやり方。
中学受験によって、常に他から強制されていないと何もできない人格が形成されてしまうというリスクは、何としてでも避けなければなりません。
私見ですが、大学受験の勉強方法なんて自分で決めるべきものだと思っています。どの塾でどの授業を選択しどう勉強するかといった「自分なりの感覚」は、高校受験がない中高一貫校生の方が本来ならば身につけやすいはずです。
ところが、最近では、大学受験も中学受験と同様の重課金を受けて、言われたことを言われた通りにやるのが当たり前と思っている中高一貫校生が増えているようです。
先日、こんな記事が掲載されていました。
https://www.moneypost.jp/1034537
簡単に言えば、2人のお子さんを私立の中高に通わせているのに、2000万円あった年収が半減してしまったという記事です。
その年収で、子ども二人を私立に通わせるのは大変厳しいというのは分かります。
- 中学受験時は、SAPIX通塾の他に家庭教師もつけていた
- 今現在、御三家に通学している上の息子は、東大進学塾にも通塾し、家庭教師もつけている
- 「課金」に頼りすぎると親の年収が減った時にリスクが大きいので、やり過ぎはやめましょう
というよりは、
- 中学受験、そして中高6年間を通じ、自ら試行錯誤して勉強方法を編み出せる環境を提供することが大事 (手段を選ばずに偏差値が高い中学に入れることを第一義とするのは、必ずしも正しいとは限らない)
という話だと思うのです。
- 両親ともに東大出身で父親は外資系勤務、世帯年収は2000万円超で、港区内のセレブマンションに在住。
- 子どもに月20万円課金して、自宅近くにある麻布を目指していたが、結局中堅校にしか行けなかった
公立高校から難関大を狙う場合、重課金をデフォルトとする受験生なんてまずいません。大手の個別指導塾の広告(合格報告)を見ていると、その大半が中高一貫校の出身者で、公立高校生はほとんど見かけません。親の経済力の差もあるのでしょうけど、それ以上に大学受験に対するスタンスが異なっていると思われます。
中学受験のせいで、言われたことを言われた通りにしかできない指示待ち人間になってしまったというオチは避けなければなりません。
ましてや中学受験のせいで子どもの人生が狂ってしまったのでは本末転倒です。狂うパターンはいくつかありますが、大半は「やりすぎ」が原因です。
個別や家庭教師等の「課金」をしなくても、大手塾に通塾しているだけで「やりすぎ」になってしまう場合もあります。何度も言っております通り、大手塾のカリキュラムそのものがオーバースペックだからです。それを認識せずに、親がマンスリーの成績や宿題とかにこだわりすぎると、子どもを潰してしまう場合があるので注意が必要です。
そのような「副作用」を回避できる中学受験のあり方が求められていると思います。