「素直な子」の落とし穴 | アラフィフ親父の戯言

アラフィフ親父の戯言

国立大学文系学部出身です。アラフィフで中高年転職しました。妻と中高一貫校に在学中の娘の3人家族です。

下記記事でも言及していますが、今の受験システムが、最新の技術と情報を駆使した結果、「いかに多くの難しい勉強を、いかに効率的にやらせるのか」という意味において進歩はしているものの、それによって旧態依然たるシステムがますます強固になっているパラドックスが存在するようにも思います。


こうした受験システムが、いわゆる「フェイク学力」につながりかねないことは多くの方が指摘していますし、事実その通りだと思うのですが、 私の懸念は別のところにもあります。

 

目標も方法もそれしかないと思い込み、限界まで努力をしよう、あるいはさせようとした結果、その副作用があまりにも大きすぎるのではないか、という懸念です。

 

抜毛症、チック、起立性調節障害、、、その全てではないにせよ、受験勉強が原因になっていると思われるケースは少なくなく、しかも、そんな状態になってすら、成績が下がるのを恐れ、心と体に鞭打って今と同じ勉強方法をし続けている、なんて話も聞きます。

 

病気になるお子さんが悪いのではなく、そうなっても仕方がないような受験メソッドが間違っているのです。


これは中学受験時に限った話ではないと思います。


ジュクコ先生も

いわゆる世話焼きを謳ったバキバキ系の進学校で、女子の不登校が増える傾向にある」 

と書いていますが、最近気になるのは女子の不登校の増加です。


※この記事は数年前に書いたものに、今回のジュクコ先生のコメントを追加して改訂しています。



中学受験後に燃え尽きてしまい、中学入学後にゲーム依存等で成績低迷→遅刻や欠席が増えた後に不登校、というパターンは今までもありましたし、これは男子に多いように見受けられます。


最近増えているように思われるのは、 中学入学後も真面目に勉強をし続けている子が、ある日突然不登校になってしまうというパターンです。これは女子に多いような気がします。


・既に精神的にも肉体的にも閾値を超えているのに、本人も周囲もそれに無自覚で、ある日突然身体愁訴として顕在化した

・閾値を超えるギリギリの状態のところに、友人関係や成績の悪化等が振りかかって閾値を超えてしまった

等が考えられます。


こういう状態にならなくても、勉強方法を変える時期にさしかかっていた(物量一辺倒のパターン暗記では立ち行かなくなっていた) のかもしれません。が、他の方法を試す精神的余裕がないのです。


自分は周りの言うことに従い、ずっと頑張って勉強を続けてきた。今もその気持ちに変わりはない。だから自分は悪くない。


素直さゆえに、自分で勝手に設置した、あるいは親や学校が押し付けているTo be像と合致しない自分は自分ではないと思い込み、自己肯定感が低くなってしまっています。

  

物量大作戦・効率重視の詰め込み勉強は、失敗から学ぶということが難しいだけでなく、一度躓くとリカバリーが効かなくなりがちで、レジリエンスを高めるという意味においてはむしろマイナスです。


受験勉強とは、あくまでも人生の選択肢を拡大させる手段であり、それを狭める要因にすべきではないと思います。