こんばんは!まずは皆さん、乾杯っ!日本酒

 

 

今回は長野県の地酒、「川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒」をご紹介します。日本酒好きの間では「幻舞(げんぶ)」の名前で通っている、あの人気銘柄です。赤紫のラベルに白い筆文字。一度見たら忘れられない、独特の存在感があるボトルです。

 

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒

 

以前から気になっていた日本酒「川中島幻舞」。その「純米吟醸 無濾過生原酒」を、さいたま市大宮の阿波屋酒店で購入しまして、飲んでみたいの気持ちが勝り、たっぷり溜まっている酒の中から先駆けて呑んでみることにしました^^

 

 

阿波屋酒店は、日本酒とウイスキーを中心にレアな酒が豊富に揃う、大宮の頼れる一軒。以前記事にも書きましたが、店内の冷蔵ケースを眺めているだけで時間が溶けていくお店です。この日も「何か面白いものは…」と棚を見ていたら、えんじ色のラベルに白い筆文字の「幻舞」が目に飛び込んできました。入手困難と聞いていた銘柄が普通に並んでいたので、思わず二度見。迷う理由はどこにもなく、そのままレジへ直行しました。

 

 

我が家の冷蔵庫には、いつ飲むか決めていない日本酒が何本も控えているのですが、この一本だけは順番待ちをさせられませんでした。というのも、幻舞はSNSでも頻繁に取り上げられており、女性杜氏が醸す酒で、モダンで甘旨のものが多いということで、とても楽しみにしていたからです。

 

 

しかも今回は「無濾過生原酒」。濾過も火入れも加水もしていない、搾ったままの状態の酒です。生酒は要冷蔵で、開栓後は早めに飲み切る必要があるので、買ったらすぐ飲むのが正解。「だから今すぐ開けるのは正しい」。そんな言い訳も用意して、冷蔵庫の一番手前に陣取っていたこの一本を、いよいよ開けることにしました。

 

 

ちなみに「川中島」といえば、武田信玄と上杉謙信が何度も戦ったあの川中島。蔵はまさにその合戦の地にあります。歴史好きとしても気になる蔵の、気になる一本。まずは幻舞を醸す蔵のことから見ていきましょうウインク

 

 

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒とは?

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒

 

「川中島幻舞」を醸すのは、長野県長野市川中島町今井の株式会社酒千蔵野(しゅせんくらの)。蔵の公式サイトによれば創業は1540年(天文9年)頃で、信州で最も長い歴史を持つ蔵とされています。川中島合戦の折に武田信玄公が千野の酒を召し上がった、という伝承も蔵に残っているそうです。仕込み水は、蔵内の井戸から湧く千曲川と犀川の伏流水。会社としては1963年に有限会社千野酒造場として設立され、2007年に現在の社名になりました。

 

 

この蔵の顔が、杜氏の千野麻里子(ちの・まりこ)さん。蔵元の一人娘として生まれ、東京農業大学で醸造や微生物学を学んだ後、国税庁の醸造試験所で2年間研修し、1992年(平成4年)に蔵に入ります。先代の杜氏のもとで修業を重ね、2000年の春、先代が急病で倒れたことをきっかけに杜氏に就任。以来、関東信越国税局酒類鑑評会や全国新酒鑑評会で金賞を重ねてきました。蔵の掲げる言葉は「和醸良酒」。千野さんは「お酒達には個性がある。私は学校の先生のような存在」と語っているそうです。裏ラベルの「杜氏 千野麻里子」の文字が、この蔵の酒造りの責任の所在をはっきり示していますニコニコ

 

 

酒千蔵野の銘柄は大きく三つに分かれます。代々の味を受け継ぐ「桂正宗」、地元向けの「川中島」、そして若い世代や普段日本酒を飲まない人に向けた、フルーティな限定酒の「幻舞」。幻舞は主に首都圏へ出荷されていて、当初は「幻舞翠(げんぶすい)」という案もあったそうですが、最終的に「幻舞」の二文字に落ち着きました。名前の由来は「幻のように手に入らなく、舞うようにやさしく酔う」。生産量が少なく入手しにくい銘柄として、酒販店でも欠品が続くことがあるそうです。千野さんが杜氏になってから生産量は2倍以上になり、幻舞のラインナップも13種類まで広がったと紹介されています。

 

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒

 

今回の「川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒」は、裏ラベルによると原料米は長野を代表する酒米・美山錦を100%使用し、精米歩合は49%。アルコール分は16度です。特約店の表記では日本酒度+3、酸度1.6で、「品のある香りと柔らかい飲み口、心地良い酸味と飲んだ後のキレ」と紹介されています。美山錦やひとごこちは地元の農家と20年以上契約栽培し、休耕田を活用して全量を買い取っているとのこと。地元の田んぼと蔵が二十年かけて育ててきた関係が、この一本の土台になっています。

 

 

無濾過生原酒とは、搾った酒を活性炭などで濾過せず、火入れ(加熱殺菌)もせず、加水もしない酒のこと。酒本来の香りと旨味がそのまま残る分、保存には気を使う必要があります。裏ラベルにも「要冷蔵」「開栓後は早めにお召し上がりください」としっかり書かれていました。長野の無濾過生原酒といえば、以前ご紹介した山三や甍(いらか)も印象的でしたが、同じ県内でも、蔵が違えば個性はまったく別物。長野の生酒の層の厚さを感じます。幻舞はどうでしょうか。

 

 

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒をチェック!

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒

えんじ色のラベルに白い筆文字の「幻舞」。

肩には「無濾過生原酒」の斜めラベル。

 

 

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒

グラスに注ぐと、かなりクリア。

よく見ると内側に僅かな気泡が付いています。

 

 

川中島幻舞とハーブチキン

ツマミはセブンイレブンの冷凍「炭火焼チキン ハーブ&レモン」。

これが意外な好相性でした。

 

 

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒

裏ラベル。

美山錦100%、精米歩合49%、アルコール分16度、そして「杜氏 千野麻里子」の名前。

製造者は長野市川中島町の株式会社酒千蔵野、要冷蔵です。

スペックは以下の通り。

 

銘柄 川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒
特定名称 純米吟醸酒(無濾過生原酒)
蔵元 株式会社酒千蔵野(長野県長野市川中島町今井368-1・創業1540年頃)
杜氏 千野麻里子
原材料 米(国産)、米こうじ(国産米)
原料米 美山錦100%
精米歩合 49%
アルコール分 16度
日本酒度・酸度 +3/1.6(特約店表記)
容量・製造年月 720ml(1800mlもあり)/2026年9月
保存 要冷蔵・開栓後は早めに
購入店 阿波屋酒店(埼玉県さいたま市大宮区)

 

 

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒を飲んでみての評価

 

冷蔵庫から取り出した一本は、瓶の表面がすぐに白く曇ります。キャップを回すと、生酒らしい「プシュッ」というかすかな音。グラスに注ぐと、見た目はかなりクリアで、グラスの内側に僅かな気泡が見られます。これは生酒ならではの、微かな発酵の名残でしょうか。

 

 

SNSであれだけ「甘旨」「モダン」と言われている幻舞。期待が大きい分、ハードルも上がっています。下戸の自分にとって16度の原酒はやや強めですが、グラスを持つ手に、少しだけ力が入ります。まずは香りから、ゆっくり確かめていきます。

 

 

:

:

:

幻のように手に入らず、舞うように優しく酔う。その名の通りの一杯。

 

 

 

 

まず香り。パイナップルのようなフルーティさがとても華やかでエレガンス。グラスに鼻を近づけた瞬間、南国の果物を思わせる甘い香りがふわっと広がります。吟醸香というより、本当に果実のような香り。これは確かに、普段日本酒を飲まない人でも「いい香り」と言いそうです。香りだけで、もう一段階期待値が上がりました。

 

 

口当たりはシルキーで甘く、まさにパイナップルのような果実味のある味わいです。舌の上をするりと滑るような滑らかさがあって、原酒の16度という数字を忘れるほど。甘いけれどベタつかず、甘味と酸味のバランスが良い証拠だと思われます。特約店表記の酸度1.6が、この爽やかさを支えているのでしょう驚き

 

 

中盤は甘くてとっぷりと旨味を感じます。美山錦の米の旨味が、果実のような甘さの奥からじわっと出てくる感じ。そしてキレも良くて、飲み込んだ時にだけ僅かに苦みやアルコールらしい痺れを伴います。この飲み込んだ瞬間のきゅっとした苦みと痺れが、甘さを引き締めてくれて、次の一口へと誘う役割を果たしています。無濾過生原酒らしい、生きた酒の表情です。

 

川中島幻舞とチキン

 

食事との相性。この日はセブンイレブンで買ってあった冷凍の「炭火焼チキン ハーブ&レモン」をツマミにいただきました。正直、コンビニの冷凍食品と幻の酒という組み合わせはどうなんだと思いましたが、飲み込んだあとのくっとした瞬間にハーブチキンが良く合います。酒の余韻の苦みとハーブの香り、レモンの酸味とパイナップルのような果実味が、お互いを邪魔せずに重なるんです。冷凍食品でこれなら、ちゃんとした鶏の香草焼きやカルパッチョなら、もっと化けるはず。白身魚の刺身や、塩味の効いた生ハムとも相性が良さそうです。

 

 

う~ん、これは美味しい!甘旨系の生酒は数多く飲んできましたが、香りの華やかさ、口当たりの滑らかさ、余韻のキレの三拍子がここまで揃っているものはなかなかありません。女性杜氏が醸す、モダンで甘旨の酒。前評判の通り、いや、それ以上でした。入手困難と言われる理由が、一口で分かります。評価は文句なしの★★★。幻舞の他のラインナップも、ぜひ追いかけてみたくなりました照れ飛び出すハート

 

 

今日はドラマでペアリング!

 

 

今回のペアリング作品は、NHK大河ドラマ『風林火山』(2007年)です。井上靖の同名小説を原作に、武田信玄に仕えた軍師・山本勘助(演:内野聖陽)の生涯を描いた作品。武田信玄を市川亀治郎(当時)、宿敵・上杉謙信をGacktが演じ、物語のクライマックスは、信玄と謙信が激突した川中島の戦いです。

 

 

共鳴ポイントの一つ目は、言うまでもなく「川中島」という土地。酒千蔵野は川中島町今井にあり、蔵には「川中島合戦の折に武田信玄公が千野の酒を召し上がった」という伝承が残っています。ドラマの最終盤、霧の立ち込める川中島で両軍がぶつかる場面を観ながら、その川中島で今も醸されている酒を飲む。これ以上ないロケーションの一致です。

 

 

二つ目は「幻」というキーワード。山本勘助は、史料が乏しく実在すら疑われた時期があった(近年は関連文書が見つかっています)、いわば「幻の軍師」です。ドラマでは、その勘助が信玄の影として知略を尽くし、川中島で最期を迎えます。一方の幻舞は「幻のように手に入らない」酒。どちらも、姿は見えにくいけれど確かにそこにある存在。幻舞の名前を口にしながらこのドラマを観ると、勘助の生き方と妙に重なって見えてきます。

 

 

三つ目は「静と動」。「風林火山」は『孫子』の「疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し」から取られた武田軍の旗印です。幻舞も、香りは華やかに「火」のように立ち、口当たりは「林」のように静かで滑らか、余韻は「風」のようにさっと去っていく。一杯の中に静と動が同居している酒なんです。

 

 

読者の皆さんへの提案としては、『風林火山』の終盤、川中島の戦いに向かう回から最終回までを一気に観る夜に、よく冷やした幻舞を一杯。勘助が最後の策を巡らせる場面で、パイナップルのような香りを楽しみながら、信玄公が飲んだかもしれない川中島の酒に思いを馳せてみてください。歴史好きにも、日本酒好きにも、たまらない夜になるはずですおねがい

 

 

下戸の酒好き評価点

 

 

※下戸の酒好き評価は味の良し悪しを計るものではありません。

下戸で酒初心者の私があくまで個人的な感覚で評価したものになります。

 

 

★★★

 

 

★★★ … 下戸にも酒初心者にもオススメしたい

★★☆ … 下戸、酒初心者に丁度良く幅が広がる

★☆☆ … 下戸、酒初心者には少し理解が難しい

 

 

川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒の価格&どこで買える?

 

さて、この「川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒」のお値段です。参考価格は特約店で720mlが1,870円〜2,420円、1800mlが4,400円前後(いずれも税込)。年度や店舗によって幅があります。美山錦を49%まで磨いた純米吟醸の生原酒でこの価格なら、十分に良心的だと思います。プレミア価格が付きがちな人気銘柄にしては、むしろ控えめな設定です。

 

 

ただし、幻舞は蔵の公式オンラインショップでは販売されておらず、蔵での直売もありません。公式サイトに掲載された特約店での販売が基本で、長野県内では酒の春日や北村酒店、東京では升新商店やうえも酒店などが名を連ねています。生産量が少ないため、人気のある特約店では「お一人様1本」の制限がかかっていることも。自分は埼玉・大宮の阿波屋酒店で運良く出会えました。

 

 

ネットで探す場合は、楽天市場やAmazonで「川中島幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒」と検索すると、特約店のネットショップが見つかることがあります。ただし生酒なのでクール便が必須。送料込みで考えると店頭より割高になりますが、近くに特約店がない方には現実的な選択肢です。転売価格には注意してください。

 

 

SNSで話題の甘旨生酒、噂に違わぬ美味しさでした。生酒の扱いが不安な方は、日本酒入門の保存方法の記事もあわせてどうぞ。幻舞を見かけたら、迷わず一本。そして冷蔵庫の一番手前に置いて、早めに開けてくださいねウインク

 

 

Amazonでお得に買うならコチラ

 

 

 

 

あわせて読むともっとお酒に詳しくなれる関連記事↓

長野地酒の記事

甘旨な無濾過生原酒の記事

日本酒をもっと深く知りたい方へ

晩酌図鑑でこのお酒をもっと詳しく