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音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

コンサート初日


 前の2回のコンサートは、図書館の入り口エントランスの左側の最初のコーナーにレコード陳列させていただきました。しかし今回は図書館のスケジュールが決まってから急遽決まったイベントなので、割り込むスペースはありませんでした。そんなことで考えたのが今回の会場となるAVホールの入り口部分を使ってレコードジャケットを展示すると言う案でした。ただ1番奥まったコーナーですから、またコンサート当日の二日間しか陳列することができませんから、非常に不安はありました。コンサートの告知の方法も、このスペースだけでの勝負でしたから、いつもと認知度が低いのではないかと言う不安もありました。

 


 そんなこともあり、今回はこのブログでも積極的にコンサートを告知し、またスメディアにも開催の案内を送って準備だけはしたつもりでした。そして開催の前日になって、地元の中日新聞が催し物の案内ということで、このコンサートを取り上げてくれることになった時は非常に嬉しかったです。

 

 そして昨日のようなハプニングもあり、ますます不安になっていましたが、当日も時間になり、いや準備の段階でお客様がちらちらとホールにお越しになっているのを見て、これはひょっとしていけるんじゃないかなと言う気持ちにもなりました。そして開演の時間になると、続々とお客様が集まってくれて、ホールの中は予想以上のお客さんで溢れていました。何よりも嬉しかったのが、図書館の館長が休みの予定を書いて、でもこのコンサートを聞きに来てくれたことです。コンサートが終わってからもお声掛けをいただき、非常に珍しいコンサートを楽しませていただきましたと声をかけてくれました。

 

開演前には公式記録としての愛地球博2005年のビデオもスクリーンに上演しました。当時の雰囲気に浸って欲しかったからです。これも今回AVホールでプロジェクターがきっちりと使えるようになったからです。またコンサート中は講師の高山さんが持参して編集してくれたその日に使うレコードの演奏者たちの写真をプロジェクターで映し出してくれたことです。ただ、このAVホールはかなり古いシステムで構成されていますので、最新のパソコンには機器が対応していませんでした。そんなことで我々が所有するウィンドウズ7の古いパソコンを引っ張り出してきて、それに接続して映すと言うハプニングもありました。

 

 

 名城市の講師のお話とともに次々とかけられる。音楽は参加してくれた人の心に響いたのでしょう。今回使った蓄音器はイギリスコロンビアのほとんど初期のモデルです。面白いのは蓄音機の正面に扉があり、これを開閉して音量の調整ができるモデルだったことです。

 

当日使用したSPレコード

 

 まぁ、ハプニングと言えば、コンサートの途中で、小生は蓄音機のネジを巻いたりレコードの針の交換を担当していたのですが、1曲ごとに取り替える針をちょっと焦ってしまい、上下逆さまに針を取り付けてレコードをかけてしまったことです。びっくりしたのはそれでも音はちゃんと聞こえるのですが、何かおかしいなと言う音の揺れがあったので、初めて針を逆に取り付けたことに気がついた次第です。まぁ、もちろんもう一度かけ直しです。しかし蓄音機と言うのはこういうハプニングでもちゃんと音を出してくれるのにはびっくりしました。

 

ちょっと時間をオーバーしてしまいましたが、何とか初日のコンサートは無事に終了しました。

 


 

 今日は本来のレコードプレーヤーを使ってのコンサートになりますが、曲をかけ間違いないのように最新の注意を払って対応するつもりです。どうぞよろしくお願いします。

 

コンサート前夜

 

 昨日は、仕事前にコンサートで使う機材を車に積み込んで図書館に向かいました。その前日まで我が家で音出しをしていましたからそっくりそのままセッティングするだけで昨年までは大丈夫でした。しかし、システム自体が最低でも25年選手ですから型もきていたのでしょう。配線をして、いざ音出しの段階になり、左スピーカーから音が出ません。スピーカー出力は2系統ありますからつなぎかえもしましたが全く音沙汰なしです。

 

 今度はケーブルを左右入れ替えてみました。そうすると今度は右のスピーカーからは音が出ていません。これはスピーカーケーブルの断線が疑われます。ただ、この作業をしている途中アンプのスピーカー端子からバチッと火花が出ました。これがいけなかったのでしょう。スピーカー端子のA回路の方がやられました。ところが、手持ちのアンプはスピーカー出力の切り替えがスイッチタイプではなくA、B同時出力タイプだったことが災いしてB回路の方も行かれてしまいました。とほほの世界です。

 

 仕方がないので、もう一度自宅にとって返して、普段はサブで使用しているマランツのアンプを引っ張り出しました。これをもう一度運んでセッティングです。このアンプは30年以上前のもので、まるで真空管アンプのようにかなり長いエージングをしてやらないと音が安定しません。それでも何とか無事にセッティング完了です。


 また、断線していたと思われるスピーカーケーブルも、めぼしい箇所を見つけカットして繋げるとこちらも無事に音出しができました。そんなことでどうにかこうにか音出しは完了しました。下がその時の写真です。プレーヤーの奥はアンプが2段積になっています。また、スクリーンは演奏開始前に2005年の愛知万博の公式記録の映像をBGM替わりに上映する予定です。


 

 そして、ホール入り口にはテーマに沿ったレコードジャケットの数々が展示されています。

 

 

 アクシデントはありますが何とか準備は整いました。なを愛知県図書館でのレコードコンサートは今回で最後になります。初日は蓄音機によるSPレコードでお楽しみいただきます。どうぞ週末のひと時を音楽とともにお過ごしくださいませ。

 

 

ミュンヒンガーのモーツァルト

 

 

曲目/モーツァルト:
・フルートとハープのための協奏曲ハ長調 K.299
・クラリネット協奏曲イ長調 K.622
 ヴェルナー・トリップ(フルート)
 フーベルト・イェリネク(ハープ)
 アルフレート・プリンツ(クラリネット)
 
指揮:カール・ミュンヒンガー

演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1962年9月 ウィーン、ソフィエンザール
E:ジェームズ・ブラウン

P:クリストファー・レイバーン

 

ロンドン SLC8023

 

 

 個人的にはミュンヒンガーにこんな録音があったことはこのレコードを見つけるまで知りませんでした。キングは1970年代に盛んに廉価盤で旧録音を投入していましたが記憶ではこの録音は投入されていなかったように思います。録音が1962年という事は、多分初回リリースの時は気が付かなかったし、レコ芸の「名盤ベスト○○○」というのを再チェックしましたがこの録音は当時の評論家の内宇野功芳氏が一票を投じていただけで、他の評論家は見向きもしていませんでした。まあ、「フルートとハープのための協奏曲」はエラートのランパル、ラスキーヌ盤がダントツで他はドングリの背比べみたいなものでした。で、どうしたものかこの録音は日本盤は独自のデザインで発売されています。

 

アメリカ盤

イギリス盤

イギリス再発売盤

 

 お気づきかと思いますが、欧米盤はどれもクラリネット協奏曲がメインになっています。日本盤だけフルートとハープのための協奏曲がメインという扱いです。同じイラストを使いながら奏者の配置が違います。面白いですねぇ。曲中心の配置ならエース・オブ・ダイヤモンドのハープ、フルート、クラリネットが一番相応しい配置です。

 

 どちらかというと渋い演奏です。それでいて、古き良き時代の残照が未だ残っていた60年代のウィーン・フィルの響きがします。そして、当時のウィーンフィルの主席のソリストが最高のパフォーマンスを示している演奏です。この60年頃デッカには指揮者のコマが少なかったんでしょうなぁ。ミュンヒンガーはウィーンフィル相手にモーツァルトの作品を少なからず録音していますが、どうしても主兵だったシュトットガルト室内管弦楽団のイメージがつきまといドイツ的なかっちりとした枠の中でモーツァルトを演奏しています。このフルートとハープのための協奏曲は、技術的には相性抜群のフルートとハープの絡み合いが醸し出す高貴かつ優美な旋律美が魅力となっていますが、そのウィーン訛りの響きがバッハの響きの中で踊っているというイメージになっています。トリップとイェリネックのソロはウィーン訛りを感じさせるほどの美しさがありますが、ミュンヒンガーの指揮はウィーン・フィルの響きの中にバッハの影がちらつきます。それが一番感じられるのが第3楽章でしょう。本来は第1楽章と同じアレグロの指定ですが、ここでのミュンヒンガーは快活さを捨てて、かっちりとした音楽に重きをおいて音楽を組み立てています。個人的にはここでどうもバッハの音が聞こえてくるのです。音楽が躍動するのを無理に抑え込んでいるようにきこえてしまいます。

 

 

 それに比べてブリンツのクラリネットはウィーンの響きをぷんぷんとさせて絶妙なソロの妙技を披露しています。暖色系の音色で典雅な響きを披露しています。ただ、ここてもミュンヒンガーのバックがややテンポを遅くとっているのでモーツァルトらしい軽やかさが半減してしまっているのが残念です。ブリンツはのちらベームと再録していますが、そちらの方が理に適ったテンポとサポートでこの録音を超えてしまっているので、この演奏は隅に押しやられてしまったんでしょうなぁ。

 

 

 

 

 

6月の花

 

 

 我が家に今年も「アカリファ」の花が戻ってきました。別名「キャットテール」です。
 

 

 よく見ると 「イヌツゲ」 が小さな花をつけています。

 

 

 庭のザクロの花です。

 

 

受粉を終えた花、秋には実をつけます。

 

 

トベラ

 

シャリンバイ

 

シラーベルビア

 

キンセンカとネモフィラ

 

 今年もアルストロメリアのピンクの花が咲きました。

 

ヒメイワダレソウ

 

ヒペリカム

 

 

ハタケニラ

 

 

カシワバアジサイ

 

金糸梅
 

今年の墨田の花火
 

裏庭の玉紫陽花
 

一輪だけ咲いた紫陽花

 

 

 

カボチャの花

ポーチュラカ
 

オスペオススペルマム

 

マーガレット

 

ゼラニウム

 

バーベナ

 

ちょっと枯れかけた皐月

 

 

 

 

現代日本の音楽名盤1300

交響曲「日本の城」

曲目/

小川寛興/交響曲「日本の城」

1.第1楽章 き(築城) 7:30

2.第2楽章 天守の城 8:13

3.第3楽章 戦いの城 4:53

4.第4楽章 炎の城 7:25

5.第5楽章 不滅の城 7:53

 

指揮/外山雄三

演奏/日本フィルハーモニー交響楽団、和楽合奏団

  キング混声合唱団

龍笛:薗武史(独奏)、東儀文隆ほか、
雅楽琵琶:薗広茂、薩摩琵琶:水藤錦穣、
尺八:横山勝也、箏:後藤すみ子、矢崎明子、十七弦箏:菊池悌子、
小鼓:堅田喜三久、大鼓:堅田啓光、法螺貝:園田芳龍、胡弓:荒川マリ子

 

録音/1968.07   東京厚生年金ホール

 

キング GT−9331

元盤 SKLB-12317-1   

   SKLB-12318-2

 

 

 1970年代、廉価版に最も力を入れていたのは日本コロムビアとキングレコードでした。両社とも自社の契約するレーベルをフル動員してユニークな企画をどんどん廉価版に投入していました。この「現代日本の音楽名盤1300シリーズ」はそんなキングが投入したトンがった規格のものでした。全20枚のシリーズで限定盤でしたからあっという間に市場からは消えてしまいました。小生もかなり集めたのですが、1990年代にほとんどオークションで処分してしまいました。ただ、この一枚だけは「城」をテーマにした交響曲ということもあり手元に残しておきました。

 

 この作品は明治百年記念芸術祭参加作品として昭和43年にキングレコードの企画により委嘱されたものです。キングレコードには名物プロデューサーの長田 暁二さんがいてこういう企画の陣頭指揮をしていたのを思い出します。ただね発売された当時現代音楽と言いながら歌謡長のテーマが仇となり、評論家からは酷評されたのを覚えています。このレコードは1980年の1月から2月にかけて発売されたものですが、この時のレコ芸の批評でもシリーズの他のレコードは絶賛されていたのにこの曲だけは批評の対象にも登らず無視されたのを今でも覚えています。そういう、アカデミックな狭い心しか持たない批評家連中に唖然としたのを覚えています。

 

 ところで、この曲を作曲した「小川寛興」という名前をご存知の方はどれくらいいるでしょう。ある年代(以上)の日本人の多くが、知らず知らずのうちに、小川氏の作品に親しんでいたという事実は、その名を検索にかけて調べてみればすぐにわかる。昭和40年代前半を中心に、TV番組の主題歌や当時の歌謡曲の分野で、かなりの数の有名作を放っておられるからだ。簡単に確認できるものとして、実写ドラマからは『月光仮面』『快傑ハリマオ』『仮面の忍者・赤影』、そしてNHKの『おはなはん』等。アニメでは『花のぴゅんぴゅん丸』の主題歌が、小川先生によって書かれている。歌謡曲のヒット作としては、倍賞千恵子が歌った「さよならはダンスの後に」や、中村晃子が歌った「虹色の湖」などがあります。特に『快傑ハリマオ』などはテーマ曲を三橋道也が歌っており、びっくりしたものです。

 

 そんな日本のメロディメーカーが作曲したこの曲、親しみやすく日本情緒がたっぷり楽しめる。素晴らしい和楽器コンチェルトに仕上がっています。昨今のお城ブームの波には乗り切っていない曲ですが、もっと知られてもいい作品ですし、調べてみても「城」を描いたクラシックの作品はほとんどないことに驚愕します。

 

 キングレコードといえばレーベルは濃いエンジ色が特徴ですが、このシリーズは独自のブルーが使われていて当時は新鮮に感じたものです。

 

 

 演奏人もすごいメンバーが集まっています。そして、自らも作曲家であった外山雄三氏もこの作品の価値を認めて指揮を務めたのでしょう。これだけのメンバーを必要としますからそうそう簡単にコンサートの演目にも上がらないでしょうから幻の作品と言われてもしょうがないのかもしれません。企画に際しては、外国人が日本のクラシック音楽に何を期待するかに配慮しつつ、日本的素材を用いながら前衛性を避け、しかも芸術性は失わないようにすることに腐心したといいます。それだけのことはあって、管弦楽に編入された邦楽器のオンパレードに加え、城の誕生から落城を物語風に描き最後は城への賛歌で終わるという、真に標題から期待される通りの音楽となっています。作品は交響曲の形をとりながら第1~4楽章はそれぞれ異なる邦楽器をソリスティックに扱い、協奏曲風に仕立てられています。

 

第1楽章 「き(築城)」(箏)

 城の建築と町の人々の高揚感を描く意気揚揚とした音楽です。出だしは竜笛の渋い音色で開始されますが、やがて筝(琴ではありません)が飛び跳ねるように景気の良いリズムを奏で始めると、もうノリノリ。まさに箏協奏曲という風情です。ただ、曲は唐突に終わってしまうのにはちょっとびっくりです。

 

 

第2楽章 「天守の城」

 城に暗雲が立ち込めるかのような尺八に導かれる不安気な音楽です。城下町を見下ろす天守閣。―というのだが、曲はむしろ「はかなさ」とか「もののあはれ」みたいな情趣を漂わせるものになっています。後半に活用される尺八の“むら息”が印象的です。

 

 

第3楽章 「戦いの城」

 スケルツォを思わせるせわしない弦の運動を中心とした急速なテンポで描かれます。ここでは戦(いくさ)の開始でが描かれます。竜笛が歌う第2主題は、いかにもTVや映画の音楽を手がけてきた小川氏らしい、非常に分かりやすい音楽です。そのまんま大河風の時代劇にも使えそうです。まあ、NHKは権威主義の塊ですから小川氏が使われることはなかったでしょうなぁ。まここでは、能楽等で使われる鼓(つづみ)も登場して城を巡る攻防戦を法螺貝まで登場してなかなかドラマチックな音楽なっています。

 

第4楽章 「炎の城」(琵琶・胡弓)

 続く楽章では炎に包まれ落城していく城の無常感を描く語り物のような音楽になっています。薩摩琵琶が激しく乱れてかき鳴らされ、本丸の炎上を告げるかのように描かれます。さらに、焼け落ちた城跡に鳴り響く胡弓のわびしい音色も聴きものです。非常にドラマチックで、この後に荘重な合唱がヴォカリーズで歌われます。

 

 

第5楽章 「不滅の城」

 最後はやはりポジティヴに締めくくる、ということであろう。力強いファンファーレから、前の楽章よりもさらに充実した合唱が続き、弦が広々とした主題を歌います。胡弓や筝が登場した後は、行進曲風の楽想に入って盛り上がる。「日本人の心の城は、永遠に不滅です」というところか。そして最後は、竜笛と筝が静かに“わび・さび”の境地を歌って静かに終わっていきます。西洋の作品のようにコーダで壮大に締めくくるのではなく侘び寂びの世界で締めくくるあたりはとても日本的でいいですなぁ。

 

 

 これからはCDの時代だと言ってレコードを処分しましたが全部処分せずに残しておいてよかったと感じる一枚です。