ファンタジア
監督 ベン・シャープスティーン
脚本 ジョー・グラント
ディック・ヒューマー(英語版)
製作 ウォルト・ディズニー
ナレーター ディームズ・テイラー(英語版)
出演者 ディームズ・テイラー(英語版)
レオポルド・ストコフスキー
製作会社 ウォルト・ディズニー・プロダクション
配給 RKO、 大映
公開 1940年11月13日
日本 1955年9月23日
上映時間 126分(オリジナル公開版)
80分(1942年再公開版)
120分(1990年リリース版)
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $2,280,000
興行収入 $7,650,882
昨日は「愛知県図書館」のAVホールで開催された映画会に参加してきました。アニメということで、子供連れの親子が多数詰めかけていたのが印象的でしたが、あとは小生のような後期高齢者でギャップがすごくアニメの中心と思われる中高生は皆無でした。
このディズニーの大作映画「ファンタジア」「は1940年の作品ですが、多分今日までまともに見た事はありませんでした。1990年代にVHSとレーザーディスクで作品が発売されていますが、多分高すぎて手が出なかった記憶があります。でもこの時発売された「ファンタジア」は当時の記録を塗り替える1,000,000本が販売されています。これはディズニーの記録のようです。実は小生はこの時までにこのファンタジアのサントラレコードは所有していました。アメリカのディズニーランドレコードが発売していたもので、3枚組のサントラであったことを覚えています。確かにステレオ録音されたものですが、音が不必要に右から左へ移動していくので、とても変なレコードだなぁと言う記憶があります。ただもう今は処分してしまっているので、その記憶がどこまで正しかったのかは分かりません。でも今回初めて映画として鑑賞した時、この音は映像ありきで作られた音だったのだと言うことを改めて発見しました。確かに映像につけられている音楽はクラシック音楽ではありますが、普通の響きとは全く違います。指揮をしているのはレオポルド・ストコフスキー、演奏はフィラデルフィア管弦楽団ですが、全く映像を意識した音づくりで冒頭のトッカータとフーガから音が左から出たり、右だけで演奏されたりと音が左右に揺れ動くのです。こういう音源ですから、レコードで聴いた時は音が左右に揺れて、とても変な感覚だったのを覚えています。ただし、映像と合わせると、これが右に左に自在に動く様は、画面とマッチングして非常に効果的であったのだなぁと言うことを感じざるを得ませんでした。
その違和感はストコフスキーのお箱であるバッハのむ「トッカータとフーガ」でもう感じてしまいます。これはサントラによる音源で演奏だけです。
これが映像付きになると違和感がありません。ただし、演奏はディフォルメされています。まあ、多分一番知られているのは「魔法使いの弟子」でしょう。この「魔法使いの弟子」にはイェン・シッドというキャラクターが登場します。弟子であるミッキーに魔法のいろはを教えている、こわ面のおじいさんです。このイェン・シッドという名前は実はいわくつきなんです。というのも、名前を英語にすると"Yen Sid"、ひっくり返すと"DISNEY"と読めますからねぇ。
ファンタジアは、さまざまな点で最新技術を使用されて作られた今も見ても素晴らしい傑作です。ところが、「白雪姫」などの前作アニメーションと方向性が違いすぎることもあり、当時は人々に受け入れられなかったといいます。結果、ステレオ上映の設備を導入できる映画館が少なかったこともあり、興行収入としては落ち込んでしまいます。それでも1999年にリメイクされた「ファンタジア2000」が公開されるなど、世間でもファンタジアの存在が改めて見直されるようになりました。今ではウォルト・ディズニーが生んだ偉大な作品の1つとして数えられる名作といえます。
ウ今回上映されたものは日本語版で、小さい子供も違和感なく楽しめたと思います。ただ、政策は杜撰で、フィラデルフィア管弦楽団をフィラデルフィア交響楽団と言ったり、1990年版のVHS及びDVDにおける日本語吹き替えでは、曲紹介の際、「シューベルトの」とすべきところを「バッハのアヴェ・マリア」とアナウンスするというごく基本的なミスを犯しています。今回のハイビジョン・デジタル修復版における日本語吹き替えでは、このミスは修正されていました。
クラシック・ミュージックの華麗な旋律とめくるめく色彩、そしてダイナミックで時として繊細、優美なモーションの融合は、アニメーション史のみならず映画史上、類を見ない作品として、公開以来つねに人々を魅了し続けてきました。組曲「くるみ割り人形」にのせて繰り広げられる愛らしいマッシュルームのチャイニーズ・ダンス、軽やかに舞うカバのバレリーナとワニたち、「魔法使いの弟子」に扮した人気者ミッキーマウスも夜空の星たちを指揮して大熱演…。画面いっぱいにあふれる夢とファンタジーは、時代を超え色褪せることなく輝き続ける宝石です。最新のテクノロジーにより甦った色彩とサウンドは子供たちの想像力を掻き立てたことでしょう。子供たちがケラケラ笑っていたのはなんと、ポンキェルリの「時の踊り」でした。動物たちのワニとのチェイスが「トムとジェリー」のドタバタと同じでそれが音楽と連動しているので面白かったのでしょう。
最終的にはアカデミーでの評価は、1941年の第14回アカデミー賞で特別賞をウォルト・ディズニーとレオナルド・ストコフスキーが受賞しました。作品としては評価されなかったんですなぁ。時代の先を行きすぎていたのでしょう。
この「ファンタジア」は1940年制作ということで、パブリックドメインとなっています。


