東海学生オーケストラ連盟
第44回合同演奏会
昨年は仕事の関係でパスしましたが、今年はスケジュールがあったので出かけてみました。毎年、この時期に東海の大学の桶の面々が一堂に集まっての合同演奏会です。まあ、編成が大きいので大曲ばかり演奏しています。この麻辣の交響曲第6番など44回の定期で3回目の登場となります。
このコンサート開場は17時でしたが、開演は18時と1時間の余裕がありましたということで、その間にステージを使ってアンサンブルのミニコンサートが2組ありました。
最初はダンツィの木管五重奏変ロ長調作品56-1よりアレグレット、その次にイベールの、木管五重奏のための3つの小品という作品が演奏されました。
さて、今回のステージ構成です。左にはハープ2台、ピアノ、チューブラーベルズ、チェレスタなどの打楽器群が並んでいます。
前半は初めて耳にするフランツ・シュレーカーの作品です。編成も規模もほぼ同じという事ででカップリングされた曲でしょう。
曲はリヒャルトシュトラウスを彷仏させるオーケストレーションでなかなか派手な音色がします。編成も大規模でハープが2重そして打楽器類も豊富で、シンバルが2個使われるのも珍しいところです。この曲はシュレーカーの代表的なオペラである「楽印をされた人々」が作曲されるのに、並行して、その序曲や作中の素材を用いた独立した管弦楽曲として作曲されています。オペラの完成よりも前の1913年に発表されています。ですからタイトルのあるドラマと言うのは、その後に完成された楽印を押された人々のことを指していて、その予告編のような意味を持った曲と言えるものになっています。
後半はメインプログラムのマーラーの交響曲第6番です。全曲演奏するのに80分も要する対局となっています。この曲でいつも話題になるのは第4楽章で使用されているハンマーでしょう。ステージにも右の広報にハンマーが用意されています。このハンマーの打撃、従来の楽譜では2回の打撃になっていましたが、録音されたバーンサインのものなのでは3回打撃が確認されます。交響曲第5番から7番はマーラーの作曲意欲が1番充実していた時ですが、この第6番においてはいろいろ悲劇が付きまとったということで、3回目の打撃をカットする演奏が従来は主流だったようです。ということで、今回の演奏会でも打撃は2回と言うことになっていました。また、学習の順番についても、第二楽章と第3楽章を入れ替えるということが従来行われてきていましたが今回の演奏会ではこちらも現在の主流となっている第二楽章に、アンダンテモデラート、第3楽章に、スケルツォと言う形での演奏が行われました。ウィキのこの曲の紹介では、このアンダンテとスケルツォは逆になっていますから、定説では無いようです。まぁ、指揮者の判断によってここら辺は変わってしまうと言うことなのでしょう。
さて、今回はマーラーの交響曲第6番の3回目の上演となる演奏会でしたが、第1楽章から熱の入った演奏で、どっぷりとマーラーの世界に浸ることができました。オーケストラも中部地区の大学の精鋭たちが集まっているということで、アンサンブルも実に見事でした。金管楽器も、しっかりと練習を重ねてきたのでしょう。破綻もなく、充実したマーラーサウンドを響かせていました。今回もコンサートホールでは3回席を利用しました。ここの方が全体の音がブレンドされて、上方に登ってきた音がきれいに響くからです。
第二楽章のアンダンテモデラートも、マーラーの「なき子をしのぶ歌」との関連が指摘されているように穏やかですが、半音階的な進行は十分に不安を駆り立てるものになっていました。フルートやオーボエなどの各楽器に歌い歌い、継がれ、曲は静かに盛り上がっていきます。弦の見事なアンサンブルと途中で加わるハープチェレスタ、そしてホルンが見事にこうして音楽を盛り立てていました。
第3楽章は、ここではスケルツォになっていて、チェロとコントラバスの低弦と、ティンパニーのリズムに乗って、バイオリンが快活な主題を演奏していました。それにしてもコントラバス10挺は迫力があります。ティンパニーが二台使われているのも珍しいところで、大編成の一端を伺わせていました。指揮の中村氏は、細かい指示を与えて適切なタクトでオーケストラをまとめあげていました。
第4楽章も指定としては、アレグロモデラートということで、結構賑やかな音楽になっています。ここでは金管楽器がコラール風の主題を演奏して全体を盛り上げていました。そして、問題となるハンマーの打撃ですが、思ったより効果がないなぁと言うのが第一印象でした。個人的にはマーラーが練習の過程で、3回目のハンマー打撃を削除し、代わりにチェレスタを追加したことが知られていますが、全てを2台のティンパニとチェレスタで演奏しても問題は無いような気がしました。
どちらにしても、力の入った演奏会で最後の方向の後の静寂は結構きちんと守られ、観客も固唾を飲んで死因と見守っていました。指揮者のタクトが振り合振り降ろされると同時に万来のブラボーが響き渡り大拍手に包まれたのはこういう演奏会ではなかなかないことで、そういう意味では、大作を聴き終わったと言う充実感がありました。