名曲を5分で聴く
「音楽を楽しむ会」
曲目
前日の夜から明け方にかけてかなり纏まった雨が降り天気が心配されましたが開始の頃は雨も止み、ホッとしました。5月のプログラムは「5分で聴くクラシック名曲集plus 𝜶⑧」ということでNHKの名曲アルバムの音源をもと構成されていました。ただ、この名曲アルバム、1976(昭和51)年にスタートした5分間の長寿音楽番組ですが、すでに49年が経ち多分1500曲ほど制作されているはずです。当初はテレビの放送に合わせて画面はカラーでしたが演奏はモノラルからスタートしています。
今回はそれらの音源の中から最初にホルストの「木星」が取り上げられました。この曲近年は「火星」よりポピュラーな存在になっています。本来なら8分ほどかかる曲ですが、ここでは5分の短縮版で演奏されました。NHKといえばNHK交響楽団です。ただ、この番組は主に東京フィルハーモニー交響楽団が務めています。ここでは唯一この「惑星」はNHK交響楽団の演奏が使われました。何種類もソースがあるようで、下は飯森範親/東京フィルの演奏です。
番組はレコードやCDからの編集ではなく、番組のために収録するオリジナルのもので、長い大楽曲から、短い曲まで千差万別なものを、放送時間の5分に合わせなければならない。長いものはカットし、短いものは繰返しを多くしたり編曲を加えたり、といった作業を行っている。収録は、オーケストラ収録専用のNHK放送センター509スタジオかが使われています。
オーケストラによる収録の際、指揮者は譜面にラップタイムを書き込み、ストップウォッチをにらみながら指揮を行っています。このとき、放送時間の5分という時間に合わせながら、音楽としての芸術性とクオリティを損なってしまわないよう、毎回、指揮者も演奏者も集中力を高め、最高のメロディを奏でようと取り組みます。その結晶が、この『名曲アルバム』となって結実しています。
で、2曲目のドビュッシーの「シランクス」は元々の曲が2分ちょっとということで、ここでは水増しが行われています。真ん中にハープと弦楽四重奏の編曲を差し込むというサンドイッチ編曲で5分の尺にしていました。下は往年の名手ランパルの演奏です。
3曲目はポンセの「エストレリータ」でした。プログラムでは秋山恵美子の歌と表記がありましたが、実際はオーケストラ演奏で流れました。ここで指揮をとっている久山恵子氏は日本の女性指揮者の草分けで山本直純氏や小澤征爾氏と共に斎藤秀雄氏について指揮を学んでいて、小沢氏がヨーロッパへ渡った後はこの久山さんが斎藤氏のアシスタントとして1964年ごろまで活躍していました。また、1990年代は熊本交響楽団でしばしば指揮台に登っていました。下はアムステルダム・シンフォニエッタの演奏ですが、こんな感じの演奏でした。ただ、これで3分半ぐらいですから編曲で調整されていることになります。
次の2曲は山本直純氏の指揮による演奏でした。サティはのちにピアノバージョンも放送されましたがこのときはストリングスバージョンが使われていました。下は指揮者は違いますが、ストリングスバージョンの演奏です。
ブラームスの弦楽六重奏曲第2番は映画でも使われた名曲です。ここでは徳永兄弟が演奏に参加しています。ここでチェロを弾いている徳永丈一郎はNHK交響楽団のチェロ奏者でしたが後にガンに置かされてしまいます。実際の演奏は時間的制約でちょっと早めのテンポで演奏されていました。ここでは名演のベルリンフィル八十相談の演奏です。
さて、その徳永丈一郎氏、入院したサナトリウムで全身にがんが転移して歩ける状態ではなかったのですが、最後のコンサートを開催しています。死の僅か2か月前です。その間゛との壮絶な戦いは小学校の教科書にも掲載されたほどでした。NHKのふーかいぷにはこの最後の演奏会がドキュメントとして残っています。下がその映像記録です。
第二部は恒例の蓄音機で聴くクラシックでした。最初は第一部でも取り上げられたポンセの「エストレリータ」です。ハイフェッツはこの曲を得意としていて、3度も録音しています。と瀬でかかったのはその最初の録音ですが、ハイフェッツは映画にも登場していて、その中でもこの曲を披露しています。
その映画は1939年のThey Shall Have Music(かれらに音楽を)という映画の一場面とのこと。映画の中でフィルムで演奏しています。
SPレコードの2曲目はフェリックス・サモンドのチェロによる「トロイメライ」です。この差モンド、イギリス人ですがヨー・ヨー・マの先生でもあった人です。
最後は映像による名曲アルバムです。DVDで発売されている「フランス編」から5曲が上映されました。火災に遭う前の貴重なノートルダム寺院の風景や戦火にまみれたロレーヌ地方の景色などが映し出され、さながらミニフランス旅行の味わいで楽しめました。
そうそう、この高山氏の蘊蓄のある解説を聞きながらのコンサートが6月7,8日と愛知県図書館のAVホールでレコードコンサートが開かれるという事で、そのPRもしていただけました。詳しくは下記のページへアクセスしてみてください。