どうぶつ百景 | geezenstacの森

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どうぶつ百景

江戸東京博物館コレクションより

 

 

 

江戸幕府創設からおよそ420年。江戸は巨大都市として発展し、京都、大坂に並ぶ三都のひとつとなりました。大都市江戸・東京に暮らした人々は、どのように動物とかかわってきたのでしょうか。それを物語る美術品や工芸品など約240件を、江戸東京博物館のコレクションから選りすぐって紹介しています。この江戸東京博物館は時代小説好きなら一度は行くべきところでしょう。ただ、今は海藻のため今年度いっぱいは休館中です。

 

 

 本展は、2022年にパリ日本文化会館(フランス)で好評を博した「いきもの:江戸東京 動物たちとの暮らし」展を拡充した凱旋帰国展です。画巻、錦絵、装飾品、郷土玩具などに登場する動物たちの多様な姿を楽しむことができます。

 

 1603(慶長8)年、江戸に幕府が置かれ、街並みが整備されていきます。街では人々がネコや犬を可愛がり、時にゾウの見世物が話題となり、ウズラの声を競う会が催され、ウサギの飼育ブームが起きました。また、人々は郊外に出かけて野生の鳥の姿や虫の音に季節を感じたものでした。いまはむかし、一大都市となった江戸や東京における、動物と人々との関係をこの展覧会は炙り出しています。

 
■プロローグ 外国人が見た日本人と動物

 明治10(1877)年に来日した米国の動物学者エドワード・S・モースは、市井の人々がこうした動物を親切に扱うことに驚きます。彼は、親しみを込めて猫を「さん」付けして呼ぶ人々や、路上の動物を避けて通行する人力車の車夫、草履を履き日除けをつけてもらった荷牛などについて日記に記しました。人々にとって動物が身近であったことは、様々な生き物のかたちを着物や装身具、玩具のデザインに取り込んだことからも読み取れます。

 

とある屋敷の庭、3場の鶏と軒先に虫籠と鳥籠

 

 

肉屋の軒先と犬

 

皮を渡る馬足先は菰で守られています

 

第1章「江戸のどうぶつ」江戸図屏風のどうぶつを探してみよう
 
 ここでは、江戸時代前期の江戸市街と近郊の景観を取り上げた「江戸図屏風(びょうぶ)」の複製を展示。びょうぶに描かれた、将軍が催したイノシシ狩や鹿狩の様子、荷物や人を運ぶ馬などを見ることができる。「武家と動物の関係が分かる」

 

 

 

 

元旦諸侯登城の図

 

 

一般庶民も参加できた流鏑馬の図

 

正月大名規式行列図 小林清親

小林清親は光線画で知られていますがこういう絵も描いたんですなぁ

 

5代将軍綱吉の「生類憐れみの令」に関する高札

 

この「生類憐れみの令」はどうぶつを保護したこともあり人々のどうぶつ愛を育んだことものちまで影響していると思われます。

 

 第2章「飼育されたどうぶつ」では、運送・農耕の助けを目的に飼われていた牛や馬などの家畜、狩猟で活躍する犬やタカ、町内で飼われていた町犬(まちいぬ)、愛玩を目的に飼育されていた猫や小型犬、鳥、金魚など描いた絵画で紹介しています。江戸の街で猫は人気のペット。町犬は番犬や子どもの遊び相手など役割がある街の一員のような存在だったようです。鳥の飼育も人気で鳥かご職人や、飼い方の本もあったという。当時は愛玩用だったウズラの美声を競う「鶉合(うずらあわせ)」を描いたびょうぶも展示しています。

 

 

うさぎ番付

 

 

御奥の弾初 歌川国芳 

狛犬は将軍の愛玩でした

 

千代田の大奥 楊洲周延

狛犬は高級ペットでした

 

青楼美人合姿鏡 春夏 勝川春章
春章は葛飾北斎の師匠です

 

江戸時代の鳥の解説書

 

鶉会之図屏風」江戸後期(前期展示)東京都江戸東京博物館蔵

 

 

画本虫撰 喜多川歌麿歌麿はこういう作品も残していたんですなぁ。

 

歌川国芳画「深川佐賀町菓子船橋屋」1839-41(天保10-12)年(前期展示)東京都江戸東京博物館蔵

 

第3章:野生のどうぶつ
 江戸時代を通して、将軍や⼤名の武芸の訓練としての狩猟が、野生の鹿や猪、野鳥などを対象に繰り広げられた。

 

鶴御成で鶴を捕獲する図

 

不二山 酒井抱一

 

武蔵野屏風図
 

水族写真 奥倉辰行

江戸時代の自費出版されたカラー版鯛図鑑だそうです

 

江戸時代の鳥籠

 

風流東姿十二支 巳 歌川豊国(三代)
干支を描いたもの

 

 

元和元年(1615)から万延元年(1860)までの十二支図入略年表

 

第4章 見られるどうぶつ-見せ物から動物園へ

 

 17世紀初頭から急速に都市化が進んだ江戸では、さまざまな娯楽が行われるようになる。18世紀に入る頃には、敷地内に動物を展示し、客に飲食を提供する店が出現します。幕末頃から本格化した欧米諸国との文化交流は、日本人と動物との関係に変化をもたらす。諸外国との貿易を通じて、国内に生息しない生きものの輸入が増え、江戸に空前絶後の動物ブームが起きました。

 

やがて明治時代に入ると、世界と対等に渡り合う文明国家としての国づくりを進める中で、国際交流や教育、社交の場でもある動物園や競馬場といった施設が作られていきます。

 

歌川豊国《しか茶屋》 1792-93(寛政4-5)年頃 東京都江戸東京博物館蔵

 

 

中天竺新渡船来大象之図 了吉

 

 

駱駝之図 歌川国安

 

 

猛虎之図 歌川芳富

 

麹町福寿院於虎之図 歌川国麿

 

仏蘭西大曲馬 歌川芳春

 

上野不忍競馬之図 楊洲周延

 

昭和大東京百図絵版画官制判 第四八景 春の動物園 小泉癸巳男 

明治15年に上野に国内初の動物園が誕生します。

 

5章:デザインの中のどうぶつ
 こででは、着物やタバコ入れなどの装身具、蚊やりなどの日用品のデザインに動物が使われている、当時使われていた物を資料として展示しています。猫の形をした蚊やりにススが付いていたり、使い込まれている物があったり、動物が身近にあったことを感じます。人と動物の関わりで、現代と重なるところ、異なるところを感じることができ動物が日常の近いところにいたことが分かります。

 

 

型紙

 

袱紗

 

着物

 

行燈

 

 

小田原提灯

 

印籠

 

根付

 

かんざし

 

燭台

 

木型

 

おもちゃ

 

 

貝合わせ

 

 そして愛知会場では、吉祥を表す動物のイメージに着目した特別展示を行っています。愛知県美術館(木村定三コレクション)の近世絵画から、「鶴」や「叭々鳥(ははちょう)」といった縁起の良い動物を描いた絵画や伊藤若冲の作品なとせも見ることができます。

 

 

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遊女図 歌川豊春

 

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菊に双鶴図 伊藤若冲
 

蓬莱山水図 山本梅逸

 

 

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王子喬図 英一蝶

 

旭日鶴図 英一蝶

 
 ところで今回の電磁、前期と後期でかなり入れ替えがあります。入り口の月岡芳年画「風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗」は前期展示ではなく後期展示の作品です。まあ、もう一度出かけることになりそうです。