発掘!!1974-5年
コンサートパンフレット2
発掘パンフレットの2回めです。よくもまあ、こんなものがとってあったと思うようなものが残してありました。そのトップが1974年の小澤征爾/新日本フィルハーモニー交響楽団の名古屋公演のチラシです。このオーケストラは日フィルが1969年に分裂した際の1/3のメンバーを中心に結成されたオーケストラです。正式な設立は1972年ですからこの時はまだ設立2年めのオーケストラでした。多分小澤征爾の看板がなければこれほど早く一本立ちはできなかったでしょう。地方公演としては思い切ったプログラムです。これは完全に小澤征爾の意向でしょう。なぜなら彼は1972年の4月にパリ管弦楽団と火の鳥の全曲録音をしています。その余勢を買っての演奏でもあったのでしょう。
「コレギウム・アウレウム合奏団」はこれが初来日でした。キャッチコピーに「オリジナルの古楽器または完全な複製楽器で演奏します」とありましたが実際には現代楽器にガット弦だけを張ったものを使用していたことが露呈し、かえって評判を落としてしまったことが記憶に残っています。また、弦楽器奏者が盛んにビブラートをかけており、ヴァイオリン奏者は顎当てを使っているなど、19世紀後半からの演奏習慣がまだコレギウム・アウレウムの演奏に残っていたということもありました。
このチラシは1968年のものです。1968年にオーケストラは初来日した時は、時期常任指揮者のお披露目も兼ねて、パウル・クレツキとともにアンセルメも同行し、7回の公演を指揮しています。このうち、名古屋はエルネスト・アンセルメが指揮しています。会場が名古屋市公会堂というのも懐かしいところです。昭和30年に開館した現在は国の登録有形文化財に登録されています。スイス・ロマンども当時はレコードと実演のレベルが違いすぎると酷評されたのが印象に残った公演でした。そうそう。このチラシはB4三つ折りという特殊なサイズでした。今はA4サイズが一般的ですが、この当時はB5サイズが当たり前でしたから、このチラシがいかに期待されたものかが分かります。
1974年のドイツ民主共和国(当時の東ドイツ)「ベルリン音楽祭」が追い風となって、この1976年には国立ドレスデンフィルが初来日をしています。この当時の音楽総監督はギュンター・ヘルヴィッヒでしたが、歴代の指揮者にはパウル・ファン・ケンペン、ハインツ・ボンガルツ、クルト・マズア、ヘルベルト・ケーゲル、ミシェル・プラッソン、マレク・ヤノフスキなどがいます。このオーケストラは世界で最初にベートーヴェンの交響曲全集をヘルベルト・ケーゲルと録音しているのは知られています。
この演奏会も「名古屋市公会堂」で開催されています。来日は1972年です。前回の来日は日本コロムビアがレコードの発売窓口でしたが、この当時はCBSソニーに変わっていました。小生も若かりし頃はよくこの会場に足を運びましたが、後方の席は柱の影になる席があったものでした。「展覧会の絵」は、オーマンディのレコードの中で一番売れていたレパートリーであり、狭い公会堂の舞台からはみ出しそうなオーケストラによる「キエフの大門」は、デッドなホールにも大きく鳴り渡った記憶があります。このチラシは当時は珍しいA4サイズです。
1972年のメータ/ロスフィルのチラシです。この頃は名古屋のCBCが主催していましした。覚えている人があると思いますが、1964年のビートルズの日本公演は読売新聞社とCBCの主催で行われています。名古屋公演はこのプログラムでしたが、Aプログラムはモーツァルトの交響曲第34ばんと麻辣の交響曲第5番、Cプログラムはウェーバーの魔弾の射手序曲、コープランドの「ショート・シンフォニー」、ブルックナー「交響曲第4番」というプログラムでした。
名古屋市民管弦楽団は当時から活躍していたアマチュアオーケストラの雄でした。今でも年2回の定期演奏会や室内楽コンサートを行なっています。当時は友人の一人がこのオケでオーボエを吹いていたのでこの演奏を含め聴きに行った記憶があります。歴史的にはプロの名フィルより古く第1回定期は1960年に開催しています。この時代は充実していた頃でこの第10回は山岡重信氏、続く第11回は荒谷俊治氏が指揮をしています。荒谷氏は1973年から名フィルの常任指揮者にも就任していて名古屋の音楽会を引っ張っていました。
多分この名古屋交響楽団の名前は懐かしいのではないでしょうか。この1971年で第37回の定期演奏会を重ねています。ただ、主催にNHK中部本部とあるように実態はNHK名古屋放送管弦楽団がクラシックのコンサートを行うときに那津ていた名前です。今はこのオーケストラは消滅してしまいました。現在NHKには名古屋青少年交響楽団のみが存在しています。このオーケストラの特徴はNHKがバックについているので演奏会がラジオで放送されました。この演奏会も直後の土曜日に「「土曜コンサート」の枠で放送されています。曲目は以下の通りでした。
グリンカ/幻想曲「カマリンスカヤ」
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
ビぜー/交響曲第1番
指揮/森正
ヴァイオリン/稲垣悠子
演奏/名古屋交響楽団
という布陣でした。
続きます。