小池レコード店と「国際ステレオ・レコード・コンサート」 | geezenstacの森

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小池レコード店と

「国際ステレオ・レコード・コンサート」

 

 

 

 レコード版は増え続けていますが、断捨離も進めています。(^^;;で、書架を整理していたら1970年台のスクラップ品が出てきました。懐かしいコンサートのチラシやら当時のプログラムなんかです。中学生頃はこういう雑誌やパンフレットを集めることをせっせとやっていました。これはレコードや音楽関係に留まらず、映画などのチラシも含まれます。随分と珍しいものもありましたが、2000年ごろにヤフー・オークションを始めて頃にかなり処分してしまいました。

 

閉店した小池輸入LPレコード店

 

 その時に多分忘れたものがこうして出てきたのでしょう。その中に記事でも度々取り上げている名古屋は新栄にあった小池レコード店が毎月開催していた「国際ステレオ・レコード・コンサート」のプログラムが出てきましたので、取り上げることにしました。当然断捨離作業はストップです。

 

 3回分のプログラムです。左から317回、322回、371回のものです。真ん中の322回のプログラムの左に写っているのがレコード店のオーナーの小池弘道氏です。右のプログラムでは見切れていますが右端は小池氏です。横には小澤征爾とバーンスタインが写っています。二人が暑っているのは1961年の来日時の写真で、322回の方は1970年の来日時の写真です。このレコード店についてはその伝説的な逸話はあちこちで述べられていますからここでは書きません。まあ、詳しくは下に貼り付けた記事にアクセスしてみてください。日付の関係からこのコンサートのブログラムは1974年のものです。

 

 

 

 

 さて、下がこのコンサートのプログラムです。これはプログラムの右ページで、左ページには英語での曲目が記載されています。こういうところは国際の名にふさわしいコンサートです。会場は名古屋市中区にある区役所のホールです。

 

 

 

 この317回の表紙はユーディ・メニューインの横顔がデザインされています。この写真はメニュインから贈呈されたものだそうです。小生もこの横顔の写真はネットではみたことがありません。この「国際ステレオ・レコード・コンサート」は名古屋市中区の区役所ホールで開催されました。プログラムの1番上に書いてありますが、演奏者のEDメニュー印からプレゼントされたレコードによる特別プログラムということが記載されています。確かに写真でもわかるように世界中のアーティストと交流があったことが窺われます。ただ、トスカニーニは来日したこともありませんから、これはちょっと眉唾かもしれません。

 

 

 この区役所ホールのステージに記憶は定かではありませんが、ステージの両サイドにでかいスピーカーがデンと置いてありました。記憶は定かではありませんが、アルテックのA7というシステムだったように思います。そして、プレーヤーはガラードのオートチェンジャータイプで、アンプはEL-34を使用したリークのポイント1、カートリッジは多分ピッカリングのように思えました。この記憶があるので、現在我が家のプレーヤーのカートリッジはピッカリングをメインに使用しています。

 

リークのアンプ類

 

小池レコード店で鳴っていたスピーカー

 

 

 この321回のコンサートもバーンスタインと小澤征爾のプレゼントによる特別プログラムと記載されています。確かに、小澤征爾の初期のレコードにはテレマンのこの協奏曲が収録されています。また、上の記事小池レコード店のマエストロの事と言う記事では、確かに小澤征爾氏がこの小池氏を知っていて、交流があったことが伺える記事が書かれています。また別の記事では小沢氏がこのレコード店を訪れ、コンサートのチケットを渡そうとしたら、そんな事はいいよと断ったと言うエピソードまで披露されています。下はそのテレマンの音源です。小澤征爾のCBSへの初録音となるものです。プログラムにはレコード番号は書かれていませんが、1965.5.24の録音でMS6832として発売されています。プロデューサーはトマス・シェパードでした。

 

 

 そして、ここで演奏されている一ポリトフ・イワーノフの「酋長の行列」は小生が初めて購入したバーンスタインのレコード(もちろん輸入盤です)に含まれていた曲でよく聴いたものです。

 

 

 

 

 

 この322回のコンサートはバンーンスタインのプレゼントによるコンサートということが謳われています。ただ、曲目を見ると、チャイコフスキー、ドヴォルザークと、普段のこういうコンサートとは、ちょっと違う曲目になっています。この小池レコード店と言うのは、上の写真のような小さな店舗ですが、ウインドウにもレコードが少々しか飾られていなくて、店の中は全くといいほどレコードが並んでいませんでした。店主とレコードの話をして、主のお眼鏡にかなった人しかレコードが紹介されませんでした。まぁ自分はその面接に落っこちた方でした。この店主の面接に受かるとごそごそと2階からレコードを出してきて、そのレコードについてうんちくが始まったようです。まぁそのやりとりは上の記事をご覧になってください。

 

 

 このレコードコンサートでは記憶がありますが、最後にリビング・ストリングスというRCA系のスタジオミュージシャンが作るオーケストラが演奏した「引き潮」が演奏されました。引き潮はもともとはフランクチャックスフィールド楽団のテーマ曲のような作品ですが、なぜか使われたのは、このリビング・ストリングスによる演奏でした。今思うと、このコンサートは、自分の手持ちのレコードを紹介するのが、目的のコンサートでここで聴きに来てくれたお客さんを、レコード店に呼び込むと言う目的があったのかもしれません。そのリビング・ストリングスの「引き潮」はこんな演奏でした。

 

 

 今思うと、特殊なレコード店で、多分小池氏の耳で確認できた録音のものしか販売していなかったのでしょう。店にはクラシックとジャズ、そしてイージーリスニングのアルバムしか置いてなかったように思います。

 

 このレコードコンサートは戦後、焼け野原になった名古屋の街を元気付けようと、店主の小池さんが企画したレコードコンサートに秘密がありました。つまり、コンサートへの協力を世界中の音楽家に呼びかけたところ、たくさんの音楽家から(共産圏からも!)レコードの提供を得、そしてまた小池さんと、たくさんの音楽家との太い絆が生まれたのでした。そして、次第に小池レコードに特別なレコードが集まるようになったというのです。

 

 このプログラムの最終ページには並行してナゴヤ・ジャズ・クラブのレコードコンサートも告知されています。こちらの方はジャズ喫茶の「モダン・シアター」というところで開催されていたようです。その191回のコンサートは次のような内容になっていました。ここで、MJQが来日していたことがわかります。そして、この1974年はMJQが解散した年なんですなぁ。

 

 このジャズ・コンサートからはMJQの「シリンダー」です。1966年のライブ・イン・ジャパンの音源です。

 

 

 こんなことで、今日は一日レコード三昧でした。