西本智実新世界から | geezenstacの森

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西本智実

新世界から

 

曲目/

ドヴォルザーク/交響曲 第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」

1.第1楽章:アダージョ-アレグロ・モルト    12:34

2.第2楽章:ラルゴ    13:08

3.第3楽章:スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ    7:55

4.第4楽章:アレグロ・コン・フォーコ    12:06

5.プッチーニ/歌劇「マノン・レスコー」間奏曲    5:18

 

指揮/西本智実

演奏/プタペスト・フィルハーモニー管弦楽団

 

録音/2008/3/29-31 ハンガリー放送局スタジオNo.22

 

P:松下久昭

P:村松剛、ガボール・ブズコ

 

キング KICC694

 

 

 最近とんと名前を聞かなくなりました。昨日の散財では実はこのCDも捕獲していました。いわゆるレンタル落ちです。ほぼ99.9%ポップスの中にポツンと一枚、このCDを発見しました。鼻がいいんでしょうなぁ(^_^;)価格も55円とありましたので即ゲットです。

 

 ところで、小生のブログ記事に「世界の女性指揮者ランキング」というものがありまして、2021年に書いた記事ですがこの記事は今でもアクセスが多く、その記事ではこの西本智美は10位で紹介しています。時代は変わりまして、最近では京都交響楽団の沖澤のどかが群を抜いて成長していますから、確実にベスト10には入ってきているでしょう。ということはこの西本智実氏はランク外という位置付けになってしまいましょう。最近の活躍を見てもほとんどコンサートの出演はありませんしHPで3月の予定は真っ白で一つもありません。タワーレコやHMVを除いても彼女は検索できないか、書籍のみはひっかかりますがCDは一枚も確認することができませんでした。最近は大阪音楽大学の教員に収まったことであまり演奏活動は活発ではないようです。

 

 このブログで西本智美氏のCDを取り上げるのは2作目です。以前はショスタコの交響曲第5番を取り上げています。

 

 

 さすが経歴から「聖スタニスラフ勲章」受賞の記述は無くなっていますし、彼女の設立した「イルミナート・フィルハーモニー・オーケストラ」はほとんど開店休業状態です。さて、このCDこの記事を書くながらもう何度も聴きましたが全然頭に残りません。冒頭はパパァーンと歌い上げます。比較的ゆっくりとしたテンポで演奏されていきますが、これといって特徴がないので提示部の繰り返しも気がつかないほどです。音は比較的きっちりと収録されていますが、こういう演奏なら1970年代の日本のオーケストラならどこでも演奏できるよなぁ、というレベルです。

 

 音にキレがなく、置きにいっているという印象です。第2楽章以下もほとんど同じ印象でこの演奏が好きで、新世界はこうでなくちゃというのめり込みは全くありません。

 

 

 

 

 

 下の音源はライブで2008年10月8日のハンガリーでの演奏会の映像です。こちらのライブの方がちよっとテンポも早めで音楽がイキイキとしています。映像から彼女が前振りで音楽を作っているのがわかります。 

 

 

 そして、併録されているプッチーニの歌劇「マノン・レスコー」の間奏曲です。組み合わせとしては普通はまずあり得ない曲目ですわな。何か意図があってこうしたのでしょうか。まあ、同じ時期にもう一枚「管弦楽集」というオーケストラピースを集めたアルバムも制作していて、そちらにはスメタナの「モルダウ」も収録されています。定番ならこちらがカップリングされてもおかしくありませんが、そちらはスメタナが抜けたら目玉の曲がないので意識的にこの「マノン・レスコー」にしたのかもしれません。ただ、個人的にはこの管弦楽曲集はオペラのオーケストラ作品をメインにしていましたから、どう見てもカップリングミスに思えます。

管弦楽曲集

交響詩「モルダウ」 - 交響詩《我が祖国》より/スメタナ

G線上のアリア - 管弦楽組曲第3番より/バッハ

歌劇「運命の力」序曲/ヴェルディ

歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲/マスカーニ

歌劇「修道女アンジェリカ」間奏曲/プッチーニ

歌劇「タンホイザー」夕星の歌/ワーグナー

歌劇「蝶々夫人」間奏曲(第2幕、第2場の冒頭)/プッチーニ

アダージョ ト短調/アルビノーニ/ジャゾット

円舞曲「美しく青きドナウ」/J.シュトラウス Ⅱ

 

 この「マノン・レスコー」間奏曲もオペラ作品を集めたアルバムならカラヤンなども録音を残してはいますが、そもそもそんなにレコーディングの多い作品ではありません。派手に終わる作品の後ならアンコールビーストしてアダージョのこの曲はもってこいですが、この新世界はそういうおわり方をする作品ではないのでちょっと肌合いも合いませんなぁ。でも、曲自体はしっとりとしていていい作品です。まあ、一つ共通点を上げるとするなら、この「マノン・レスコー」主人公が新世界、つまりアメリカに追放流刑されるというストーリーですから全く関係がないともいえないんですけどね。そういう状況的にはこの演奏は切々とアダージョを紡いでいていい演奏です。