ルドルフ・フィルクスニー
ドヴォルザーク/ピアノ協奏曲
ドヴォルザーク/
ピアノ協奏曲 ト短調 Op. 33 B. 63(1876)*
1. I. Allegro agitato
2 II. Andante sostenuto
3. III. Allegro con fuoco
8つのユーモレスク Op.101
4. Vivace 2:20
5. Poco andante 2:23
6. Poco andante e molto cantabile 3:40
7. Poco andante-- 2:20
8. Vivace- 2:51
9. Poco allegretto 2:57
10.Poco lento e grazioso 2:41
11. Poco andante- 2:52
ピアノ/ルドルフ・フィルクスニー
指揮/ワルター・ジュスキント
演奏/セント・ルイス交響楽団
録音:1975/01/24 セントルイス*
P:マーク・オーボート、ジョアンナ・ニックレンツ
E:エリート・レコーディング
VOXが1975年にVOXBOXシリーズの3枚組LPでリリースした「独奏楽器と管弦楽のための協奏的作品全集」は、その演奏・録音両面で高い評価を得、形態を変えつつ再発売を重ねて来ました。このCDには、そのセットからピアノ協奏曲と6つのユーモレスクを収録していて、ピアニストのルドルフ・フィルクスニーにスポットを当てた選曲です。この一枚も昨日のマータのアルバムと同じVOX PRIMAの紙ジャケットシリーズで発売されています。面白いのはジャケットにはそのシリーズロゴの表示は無く、見開きの縦長ジャケットでようやく、ラッパのマークが登場します。
この当時はVOXは「Cim Laude」と「Vox Prima」更には「allegro」シリーズをCDで発売していました。
このCDには余ったスペースでこれらのシリーズのアルバムを紹介しています。上半分は「Cim Laude」から発売されたじゅスキント/セントルイス交響楽団のアルバムが、下は「Vox Prima」ですがラフマニノフのアルバムは一番売れ筋のピアノ協奏曲第2番だけが「Cim Laude」で発売されるという訳のわからない振り分けをしています。
さて、ピアノ協奏曲のソリストはチェコ生まれで生前は来日も多かったフィルクスニーです。「外連味が無い」と評されることから地味という先入観を持たれがちですが、曲本来のブリリアントな聴かせどころはしっかりと決め、民俗舞曲風のリズムの弾みは自然体、高揚感も穏やかな抒情もオケと一体化して見事です。フィルクスニーと1歳違いでやはりチェコ生まれのジュスキントが、首席指揮者として6シーズン目を迎えていたセントルイス響から深みのある響きを引き出し、個性の異なる各ソリストに当意即妙に付けているのも聴きどころとなっています。
それというのもこれはフィルクスニーにとっては4度目のセッション録音で、これ以前に、ウェストミンスターに Laszlo Somogyi/ウィーン国立歌劇場管弦楽団 と、またノイマン/チェコフィルと、はたまたはクーベリック/ケルン放送交響楽団とも録音しています。よほどこの曲を得意としていたんでしょう。
録音エンジニアのマーク・オーボートは自らの録音イメージを「ホールの4列目か5列目で客席から10フィート(約3m)ほど宙に浮いてオーケストラを見渡す」と語っていましたが、その言葉が実感できるような広がりと奥行きのあるサウンドステージが展開されます。
さて、このアルバムにはピアノ協奏曲とともに「8つのユモレスク」も収録されています。ドヴォルザークのユモレスクといえば第7番が一番有名なのですが、この作品も彼のアメリカ時代の産物だったんですなぁ。