アンソニー・ニューマンのワーグナー | geezenstacの森

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アンソニー・ニューマンのワーグナー

 

 

曲目/ワーグナー

A

1.ワルキューレの騎行
2.『パルジファル』第1幕への前奏曲』
3.『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲 9:31


1.『ワルキューレ』~「今生の別れだ、勇気ある輝かしき子よ」
2.『ラインの黄金』~ヴァルハル城への神々の入城
 

オルガン/アンソニー・ニューマン

編曲/エドウィン・ヘンリー・ルメア

 

録音/1975/06/07 エオリアン・スキナー・オルガン セント・ジョン・デヴィアン大聖堂、ニューヨーク

P:ジェイ・ダヴィッド・サク

E:バド・グラハム、アーサー・ケンディ

CBS/SONY SOCO132

 

 

 1960年代後半から1970年代にかけて、CBSから鬼才鍵盤楽器奏者として華々しくチェンバロやオルガン(そして指揮者としてブランデンブルク協奏曲全曲もあった)のLPをリリースしていたアンソニー・ニューマンのレコードです。このアルバムは単なるオルガン用に編曲し演奏したものではありません。このアルバムはあくまで、アメリカを中心に世界的に活躍し、史上最も多くの聴衆を動員したコンサート・オルガニスト、エドウィン・ルメアが編曲したワーグナー・アルバムというのがコンセプトとなっています。長きにわたり忘れられていたコンサート・オルガニスト兼作曲家のエドウィン・ルメアを発掘し、それをまとめた形で録音物として初めてこの世に復活させたのが、奇才鍵盤楽器奏者アンソニー・ニューマンだったのです。ここでは、ニューヨーク大聖堂の素晴らしいオルガンが使用されての録音となっています。

 

 

 このレコードの解説は黒田恭一誌が書いていますが、編曲者のエドウィン・ヘンリー・ルメアについては一言も触れていません。まあ、多分知らなかったんでしょうなぁ。何しろ彼はイギリスのオルガニスト兼作曲家で、人生の後半をアメリカで過ごしました。彼は同世代で最も高く評価され、高収入を得ていたオルガン奏者であると同時に、後期ロマン派英米オルガン楽派の最も偉大な演奏家であり、最も重要な作曲家の一人でもあったのです。今でこそ彼の編曲したワーグナーの作品はカズカス発売されていますが、ステレオ録音で復活させたこのレコードはそういう意味でも価値のある一枚です。

 

 

 日本盤の帯の解説だけに表記されているセント・ジョン・デヴィアン大聖堂のオルガンは8035本のパイプを有しており、そういう意味でも壮大なオルガンサウンドが響き渡ります。したがその教会の写真ですが、1892年に建築が始まり、現在も建設が続いているという境界で、アメリカ版「ザグラダファミリア」のような教会です。完成するとセビリア大聖堂を抜いて世界最大のゴシック大聖堂となる予定ですが、いつになるんでしょうねぇ。

 

 

 このワーグナーのアルバムの前にニューマンはリストのオルガン作品を録音しています。現在発売されているCDではそのリストの作品も収録されていますが、当時CBSには大御所のパワー・ビッグスが主だった作品をすぺて録音していましたから、ニューマンはこういう変化球的なアメバムしか制作できなかったのでしょう。

 

 

 この日本発売盤は時代の先端を行っていた4チャンネルレコードで発売されています。まあ、今ではこのレコードをその環境で再生出来る人はほぼいないでしょう。サラウンド環境ならある程度可能かもしれませんが‥‥‥

 


    当時は異端児と言われた「アンソニー・ニューマン」、この演奏好き嫌いが分かれるかも知れませんが、ロックファンなら楽しめるのではないでしょうか。まぁ、一度聴いてみてください。


 

 

 

CDの方はリストの演奏も収録されています。