ホグウッドの「四季」
ヴィヴァルディ:協奏曲集『四季』
クリストファー・ハイロンズ(ヴァイオリン:春)
ジョン・ホロウェイ(ヴァイオリン:夏)
アリソン・バリー(ヴァイオリン:秋)
キャサリン・マッキントッシュ(ヴァイオリン:冬)
指揮:チェンバロ, オルガン/クリストファー・ホグウッド
演奏:エンシェント室内管弦楽団
録音:1982/11-12 キングズウェイ・ホール ロンドン
P: Peter Wadland
E:John Dunkerley
1982年の録音。オリジナル楽器による録音は、これ以前にはコレギウム・アウレウムとアーノンクール盤しかありませんでした。この演奏の画期的な部分は、通奏低音としてバロック・ギターとアーチ・リュートを用いていて、イタリア的な新しい表現を出すことに成功したことでしょう。イギリス古楽器オーケストラのトップを務めていたヴァイオリン奏者達が、各曲のソロを分担して演奏しています。
さて、手持のレコードは韓国盤です。
「四季」はRV269.315.293.297作品番号8の1-4まで春夏秋冬という構成。それぞれに作者不詳のソネット14行詩が添えられている。~春が訪れ、小鳥たちは華やかに、喜ばしく歌声で感謝し、西風の息吹に泉は柔らかく囁きながら湧き出でる。~描写音楽ともいえる春の第二楽章などでは、犬のなき声のような擬声音楽が奏される。
クリストファー・ホグウッド1941.9/10~2014.9/24はケンブリッジ大学で古典学、音楽学を修得する一方、レオンハルトにハープシコードを師事している。1970年前後には、夭折の天才古楽器奏者デヴィド・マンロウと共にロンドン古楽コンソートの設立メンバーとして参加、活躍し1973年にはアカデミー・オブ・エンシェントミュージックを結成、チェンバリストや指揮者として活動、ピリオド楽器「時代楽器」のレパートリーをバロックからハイドン、モーツァルト、さらにはベートーヴェンにまで拡大していった。古楽にとどまらずにホグウッドの指揮はモダン楽器でストラヴィンスキー、コープランド、ティペット、オネゲルなど現代作品にまで及んでいる。
1982年12月キングズウエイホール録音、ヴィヴァルディの四季は、コントラバス1、チェロ2、アルト3、第1、第2ヴァイオリンがそれぞれ4という編成、さらに、春と秋ではバロックギター、ハープシコード、夏と冬では、ポジティフ室内用オルガンとアーチリュートが通奏低音として加えられている。独奏ヴァイオリンはそれぞれ交替して、春はクリストファー・ハイロンズ、使用楽器デューク、c1775、夏はジョーン・ホーロウエイ、楽器マリアーニ1650、秋はアリソン・バリイ、楽器ロジェリ1699クレモナ、冬はカトリーヌ・マキントッシュ、楽器ロウランド・ロッス1978アマティモデル。使用楽器のそれぞれは、音色や鳴り方に特徴があり、聴くものを飽きさせることはない。
快活に始まる「春」ではバロックギターが楽しく弾む感じを作るソロvnは描写的にアゴーギグを行うが合奏群が呼吸を合わせるのが醍醐味。
「夏」は一番好きだが、こうしたソロと合奏のシンフォニックな対比がのちの交響曲に発展したと言われる。
「秋」のソロもアゴーギグが巧み、緩叙楽章が一際魅力、チェンバロが最小限に和音をアルペッジョで入れ、静謐な音楽に効果的、
「冬」の始まり、ソロはインテンポでキレ良く弾く、寒さに凍えるイメージ、次く緩叙楽章で暖炉の前で寛ぐ安堵感が引き立つ。