愛の夜明け ノーマン・キャンドラー | geezenstacの森

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愛の夜明け

ノーマン・キャンドラー

 

曲目/

A1 Moonlight Serenade 4:03 

A2 Star Dust 2:34 

A3 You're A Lady 2:43 

A4 Beautiful Dreamer 2:39 

A5 Blue Moon 2:15 

A6 In The Mood For Bach 3:16 

A7 Can't Help Falling In Love 2:05

B1 How High The Moon 2:48 

B2 A White Shade Of Pale 3:06 

B3 Tomorrow I'll Dream And Remember 2:44 

B4 Dancing In The Moonlight 2:35 

B5 Barbara Allen 2:21 

B6 Tu Te Reconnaitras 2:43 

B7 Je Pleure Sur Un Air De Bach 3:09

 

演奏/ノーマン・キャンドラー・オーケストラ

P:ノーマン・キャンドラー

E:ウィル・シュミット

 

ロンドン SLC9016 (原盤テルデック)

 

 

 1974年に発売されたアルバムです。それまでのあるばむは全て、「華麗なるイージー・リスニング・ストリングス」というタイトルで発売されていましたがこの第4作ではじめてアルバム・タイトルが付きました。原題は「MOONLIGHT PARTY」といいます。このレコードは日本だけ1975年にCD4バージョンも発売されています。ブームだったのですなぁ。ただも元々はロンドン・レーベルを発売していたキングは汎用的なマトリックス方式を採用していましたからビクター、RCA陣営のディスクリート型のCD4レコードを発売していなかったはずですが、いろんな方式を模索していたんでしょうなぁ。

 

 

 ドイツでは、このジャンルでは4人の指揮者が特に有名です。

・ベルト・ケンプフェルトBert Kempferd(1923~1980)

・ジェームス・ラストJames Last(本名Hans Last/1929~2015)

・ノーマン・キャンドラーNorman Candler(本名Gerhard Narholz/1937年生)

・ヴェルナー・ミュラーWermer Muller(1920~1998)

 

 1950年台から活躍していたのはベルト・ケンプフェルトでこのジャンルのパイオニアとしてヒット曲もたくさん持っています。その次が、ジェームス・ラストなんですが、よーろっぱでは絶大な人気を誇っていましたが、日本ではあまりパッとしませんでした。この2つのオーケストラはポリドールの専属でした。また、ウェルナー・ミューラーは1950年代から1960年代初めは「リカルド・サントス・オーケストラ」として主にラテンを主体に活躍していました。この頃はやはりポリドールの専属でした。ただ1960年だいまつにテレフンケンに移籍し、名前も本名のウェルナー・ミューラーに戻してオーケストラを率いてからはロンドン・レーベルの「フェイズ4」から大量のアルバムを発売しています。ただ、この3つのオーケストラは何れも金管の華々しい音色が特色でした。そんななかで、このノーマン・キャンドラーはストリングス主体のドイツのマントヴァーニを目指したサウンドで1970年代に登場してきました。

 

 その実体はミュンヘン放送管弦楽団の弦楽メンバーと一部の管楽メンバー+ミュンヘンのスタジオミュージシャンによる混成オケで編成されたオーケストラでした。生粋ドイツ人のノーマン・キャンドラーは、由緒正しい教会や宮殿、美術館などが点在するレトロな美しい都、ミュンヘンに生まれました。本名は ゲルハルト・ナルホルツです。

初めは管弦楽団に在籍。しかしイージー・リスニングに転向し、1970年代に自らをリーダーとする40名のストリングス・オーケストラを立ち上げました。クラシックと電子楽器の融合に成功したのですが、それでもやはり、アルフレッド・ハウゼやウェルナー・ミューラーなどに共通する、ドイツならではの古風な雰囲気があります。

バッハの曲をポップクラシカルとしてアレンジした「愛の夜明け」「傷心のシチリアーナ」「青い影」は美しいストリングスを前面に出した名演です。そしてビートルズの「エリナーリグビー」も、オリジナルに忠実でありながら、中世ドイツの教会を思わせる格調高い演奏となっています。

 

 ここでは原題のタイトルをリストしていますが、こうするとかなりクラシック寄りのアレンジによる曲目が並んでいることがわかります。選ぶノーマン・キャンドラーのベスト曲は“愛の夜明け”です。原題を無理矢理訳すと『バッハの調べに泣く』となり、フランスのSanta Mariaというロックバンドが1971年に発表した曲です。原曲にバッハのブランデンブルク協奏曲を絡めた編曲が見事で、邦題の通り夜明けの雰囲気を醸し出します。