音楽を楽しむ会
新年を彩る音楽
今月も豊明図書館で開催されている「音楽を楽しむ会」に参加してきました。このコンサート1990年に始まり、今回でなんと400回を迎えています。足掛け35年ということです。現在の講師は高山さんですが、今回は初代の講師、近藤さんも来館されて華やかなコンサートになりました。
今回はウィーンフィルの新年のイベント「ニュー・イヤー・コンサート」を振り返る内容となっていました。そもそも、「ニュー・イヤー・コンサート」は 元々は1939年の大晦日に演奏会が行われ、その後の1941年からは1月1日に行われるようになりました。1939年、1941〜45年、1948〜1954年にクラウスは指揮をしています。
クラウスとボスコフスキー
そして、なんとこの記念すべき1941年のコンサートはyouTubeにアップされています。ただ、当日のコンサートでも感じたのですが、どう考えてもSP時代の音とは感じられませんでした。その1941年の音源を切り出してみたので聴いてみてください。
この音源どう考えてもステレオ録音です。まあ、フェイクでしょうね。多分下記の音源が正しいのではと思われます。
プログラム2曲目は1952年のニューイヤーコンサートの音源が掛けられました。この「クラップフェンの森で」は1951年と1953年の録音が残されています。すでにデッカの録音ではニューイヤー用に前年に録音を済ませるのが恒例で、使われたのは1951年9月の録音だと思われます。
クレメンス・クラウスは1954年にメキシコで急死しています。多分高山病の影響で心臓麻痺を起こしたのでしょうなぁ。で、ニューイヤー・コンサートを継いだのがヨーゼフ・クリップスでした。日本ではあまり評価されなかった指揮者でしたが生粋のオーストリア人で母国では人気がありました。
カラヤンはニューイヤーコンサートには1989年の1回しか登場していませんでしたが1950年代後半はウィーンフイルと共にウィーン国立歌劇場にも君臨していました。
今回のコンサートでびっくりしたのはボスコフスキーがNHK交響楽団に客演し、ウィンナワルツを指揮していたことです。ただ、NHK交響楽団の演奏会記録を見ても1965年の演奏の記録は見つかりませんでした。1963年は8月に来日して指揮をしていて、下記の音源が見つかりました。「皇帝円舞曲」です。
前半最後はSPレコードでワルターの「7皇帝円舞曲」を聞きましたが、ウィーンと関係が深かったワルターもウィンナ・ワルツは多く録音していません。ウィーン風の演奏を拒否していたようで、この「皇帝円舞曲」はウィーン訛りのない演奏になっています。
ワルター 皇帝円舞曲
後半は映像で楽しむコンサートでした。幸いニュー・イヤー・コンサートは近年はすべて映像で残っていますから楽しむことができます。ボスコフスキーは1979年までニュー・イヤー・コンサートで指揮をしていましたからたくさん映像は残っていますが、上映された「ピチカート・ポルカ」や「ウィーンの森の物語」の1974年の映像はYouTubeでは確認できませんでした。
ただ2002年の小澤征爾のニュー・イヤー・コンサートの映像は確認できました。何しろこの年のCDは全世界で100万枚以上売れています。日本だけで80万枚は当分、いや今後も破られることはないでしょう。ちなみに映像は当初TDKコアから発売されています。こちらも10万枚以上売れました。
下には新年のあいさつ、美しき青きドナウ、そしてラデツキー行進曲を貼り付けました。
挨拶の後は美しき青きドナウです。
そして、最後はラデツキー行進曲です。
NHK恒例のニュー・イヤー・コンサートは食傷気味ですが、こういうコンサートで聴く演奏はその背景も知ることができなかなか楽しいものです。