スター・トレック
ビヨンド
監督 ジャスティン・リン
脚本 サイモン・ペッグ
ダグ・ユング(英語版)
原作 ジーン・ロッデンベリー
製作 J・J・エイブラムス
ロベルト・オーチー
リンジー・ウェバー
ジャスティン・リン
製作総指揮 ジェフリー・チャーノフ
デヴィッド・エリソン
デイナ・ゴールドバーグ
トミー・ハーパー
出演者 クリス・パイン
ザカリー・クイント
カール・アーバン
ゾーイ・サルダナ
サイモン・ペッグ
ジョン・チョー
アントン・イェルチン
イドリス・エルバ
音楽 マイケル・ジアッチーノ
撮影 スティーヴン・F・ウィンドン
編集 ケリー・マツモト
ディラン・ハイスミス
グレッグ・ダウリア
スティーヴン・スプラング
製作会社 スカイダンス・メディア
アリババ・ピクチャーズ
フアフア・メディア
バッド・ロボット・プロダクションズ
スネーキー・シャーク
パーフェクト・ストーム・エンターテインメント
配給 パラマウント映画
大ヒット・ドラマ・シリーズを「M:I III」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のJ・J・エイブラムス監督がリブートしたSFアドベンチャー大作のシリーズ第3弾。深宇宙へ向けて航行を続けていたエンタープライズ号が惑星連邦を否定する新たな敵と遭遇、連邦の理念を守るべく過酷な戦いに身を投じるカークたちクルーの運命を描く。出演はクリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナらレギュラー・メンバーに加え、新たにイドリス・エルバ、ソフィア・ブテラが参加。監督は前2作のJ・J・エイブラムスに代わり、「ワイルド・スピード EURO MISSION」のジャスティン・リンが務める。また本作は、長年スポック役としてファンに愛され、2015年に惜しまれつつこの世を去ったレナード・ニモイと、本作にもチェコフ役で出演し、全米公開直前に事故で急死したアントン・イェルチンの2人に捧げられている。
5年におよぶ宇宙探査へと旅立ったエンタープライズ号。それから3年あまりが経ち、ジェームス・T・カークの中には艦長という役目に対する迷いが生じていた。一方、副艦長のスポックもまた別の理由から迷いを抱えていた。そんな中、宇宙基地ヨークタウンに寄航したエンタープライズ号一行は、そこで未知の宇宙船に乗る女性から仲間の救助を求めるメッセージを受け取り、すぐさま救出へと向かう。しかしそれは巧妙な罠で、エンタープライズ号はクラールという異星人からの襲撃を受け不時着を余儀なくされ、クルーたちもバラバラになってしまうのだったが…。---allcinema---
あらすじ
ジェームズ・T・カークは、辺境宇宙域の惑星フィボナンの代理使節として、彼らと対立する惑星ティーナックスとの和平交渉に臨む。彼らの下からフィボナンが盗んだという遺物を返還しその平和利用を訴えますが、猜疑心の強いティーナックス人との交渉は決裂し襲撃されてしまいます。緊急転送でU.S.S.エンタープライズ NCC-1701に戻ったカークは、遺物の破壊的利用を恐れ、船内のセキュリティボックスに厳重にしまい、ワープ航法でティーナックスを去ります。
エンタープライズが5年間の任務に就いて3年の月日が流れています。カーク率いるエンタープライズのクルー達は、仲間としての絆を育みエンタープライズは我が家と呼べる存在となっています。一方で、宇宙の広大さに圧倒されたカークは、船長としての自信を失いつつありました。また、父ジョージが命を落とした年齢である30歳の誕生日を目前に控えていましたが、目標とし追い続けてきた存在を越えて先へ進む事への不安もつのっています。そんな中、エンタープライズは物資補給のために宇宙基地ヨークタウンに停泊します。
そこでクルー達が思い思いに休暇を過ごす中、カークは船長の座を退くことも考え始めます。一方、腹心のスポックもまたもう一人の自分である老スポック大使の死去を聞き、バルカン復興の使命を引き継ぐために船を去るか決断を迫られていました。そんな中、ヨークタウンに1機の脱出ポッドが到着します。そこにはカラーラという異星人が乗っており、乗っていた宇宙船が連邦の星図に登録されてない惑星、アルタミット星に墜落したと救援を求めてきます。その救出任務のため、エンタープライズはカラーラを乗せてアルタミットに向けて出撃しますが、惑星上空に到着したところを正体不明の無数の小型機の襲撃を受けます。この襲撃、実は時代を先取りしていて大量のドローンによる無人機の襲撃だったんですなぁ。編隊を組んで襲ってくるこの攻撃は映画とはいえ脅威です。そして、エンタープライズは短時間で大破して戦闘不能に追い込まれ、ポッドで艦内に侵入してきた指揮官の男クラールはエンタープライズに乗せられていたティーナックスの遺物の奪取を狙っていました。カークは遺物を乗組員のシル少尉に託し、総員退艦を命令します。乗組員らは全員脱出しまが、カーク、スポック、マッコイ、スコット、チェコフ、カラーラの6人を除いてクラール一味に捕縛され、エンタープライズはアルタミット星に墜落してしまいます。
単身でアルタミット星に着陸したスコットはそこでジェイラという星の住人に出会います。クラール一味のマナスに家族を殺されていたジェイラはかつてこの星に墜落した宇宙船を住みかにして一人で生きていました。その船は過去に調査任務で行方不明になっていた宇宙艦隊所属のU.S.SフランクリンNX326でした。星を脱出するため、ジェイラはスコットに船の修理を依頼します。 カークとチェコフは墜落したエンタープライズの通信を復旧させて離散した仲間を集めようと試みますが、その最中カラーラが突如二人を攻撃する。彼女はエンタープライズをアルタミッドに誘き寄せるために送られたクラールの一味だったのです。 カークとチェコフはカラーラを打倒して乗組員の探索を続け、スコットとジェイラに合流。U.S.Sフランクリンの修理を進め、復旧した転送装置で、墜落時に重傷を負ったスポックと彼を担いでいたマッコイを救出すします。
一方、クラールは囚われたスールーやウフーラが密かに発信しようとした救難信号を利用してヨークタウンから艦隊を遠ざけ、シルから遺物を奪うと、それを自らが所持していた対になる遺物と組み合わせる。その正体は生命体を塵状に分解するアブロナスという兵器で、起動実験によってシルは殺害されます。クラールは以前からアルタミット星より連邦のデータベースにアクセスして情報収集を続けており、エンタープライズをおびき寄せたのはアブロナスの部品である遺物を所持していたためでした。彼の目的はヨークタウンへアブロナスを用いた攻撃を行うことだったのです。カークはそれを阻止するべくジェイラ、スポック、マッコイらと共にクラールの基地を襲撃します。ジェイラはマナスを打倒し、カークは乗組員らを救出する。だがクラールは一足先にドローンの大部隊を引き連れてヨークタウンへ向かいます。カークはU.S.Sフランクリンを復旧させて離陸し、追撃を敢行します。
クルーたちはドローンが周波数を用いた言語で通信しているのを解析し、それを逆手に取ってフランクリンに搭載されていたラジオから妨害電波を発信します。混乱に陥った大群は互いにぶつかり合って爆散し、巨大な炎の波を作り、クラールの乗った戦闘挺はヨークタウンの中核部で捕捉され、同時に船のアーカイブに残された映像からクラールの正体と目的も明らかになります。クラールはかつてフランクリンの船長だった人間バルタザール・エディソンの成れの果ての姿だったのです。100年前アルタミッドに不時着し生き残ったエディソンと二人の乗組員は、自分たちを見捨てて平和と繁栄を謳歌する連邦を憎むようになっていたのです。そして、付近を航行する種族を捕らえては古代の装置で生命エネルギーを吸収して生き永らえ、復讐の機会を窺っていました。アブロナスを用いてヨークタウンを崩壊させるのを手始めに、銀河を戦乱の世に逆戻りさせ、そこから人類一強の支配体制を完成させること、ひいては多種族共栄という連邦の理念を葬り去るのことがその全容でした。
乗組員から吸収した命で人間に近い姿に戻ったエディソンは、給気塔からアブロナスを流して町の全域に行き渡らせようとします。カークはエディソンを追いつめ、無重力空間で格闘します。戦いの末にエディソンは排気坑から宇宙に放り出され、アブロナスに飲み込まれていきました。対するカークは寸でのところでスポックとマッコイに受け止められて助かります。
全てが終わった後、カークはヨークタウンの副総督の座を辞退し、スポックもまた、老スポックの思いを知り、仲間と共にある道を選びます。ジェイラは活躍を認められて宇宙艦隊アカデミーへの推薦入学が決まった。カークの誕生日を祝う仲間たちの目の前では、新たな航海に向けてエンタープライズの再建が進んでいました。
このストーリーは完全にオリジナルですが、スタートレックの世界観、人類未踏の地への種族と文明の探索を続けるフロンティア精神は、リアル時代を反映させながらもこれぞアメリカンスピリッツという感じです。キャストをよく見ると、脚本を書いたのはスコッティ役のサイモン・ペッグ。したがってスコッティがかなり重要で良い役どころを演じています。そして、ややコミカルに感じられるのは、不時着したクルーが、マッコイとスポック、カークとチェコフ、スールーとウフーラ、というそれぞれ二人組で行動し、あたかもバディ・ムービーさながらに面白いやり取りをするのはキャラクターが確立したシリーズ物ならではですね。
それにしてもエンタープライズはよく破壊されます。その度にNCC−1701は進化しながら復活するのですからファンとしてはそこも見どころですが、スターフリートの中では完成形なんでしょうかねぇ。この作品は2016年の製作ですから間も無く10年になろうとしています。一時は2023年末公開の予定が立っていただけに続編が難航しているのは残念です。
この作品のラントラは前作より出来がいいです。