正月休みは映画三昧 | geezenstacの森

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正月休みは映画三昧

 

 あまりにもくだらない地上波の番組は見る気がしなかったので年末から正月にかけてはNetflixで映画三昧をしています。特に好きなスター・トレックシリーズを3作網羅していることもあり、まずはそれを集中的に見ることにしました。劇場映画の新作は「スタートレック」シリーズを再確認しました。この新しい「スター・トレック」は初期の作品の主人公であるジェームズ・T・カーク以下オリジナルのクルーが復活していて、その最初の乗艦時代からストーリーが出発しています。そんなことで、キャラクター安心して見ていられます。

 

 

スタートレック

原題: STAR TREK
スタッフ
監督: J・J・エイブラムス
製作: レナード・ニモイ  J・J・エイブラムス  デイモン・リンデロ
製作総指揮: ブライアン・バーク ジェフリー・チャーノフ ロベルト・オーチー アレックス・カーツマン
原作: ジーン・ロッデンベリー
脚本: ロベルト・オーチー  アレックス・カーツマン
撮影: ダン・ミンデル
視覚効果スーパーバイザー: ロジャー・ガイエット
プロダクションデザイン: スコット・チャンブリス
衣装デザイン: マイケル・カプラン
編集: メリアン・ブランドン  メアリー・ジョー・マーキー
音楽: マイケル・ジアッキノ
キャスト

クリス・パイン ジェームズ・T・カーク
ザカリー・クイント スポック
エリック・バナ ネロ
ウィノナ・ライダー アマンダ・グレイソン
ゾーイ・サルダナ  ウフーラ
カール・アーバン  レナード・“ボーンズ”・マッコイ
ブルース・グリーンウッド  クリストファー・パイク
ジョン・チョー スールー
サイモン・ペッグ  スコッティ
アントン・イェルチン パーヴェル・チェコフ
ベン・クロス  サレク
レナード・ニモイ  未来のスポック
クリス・ヘムズワース  ジョージ・カーク
ジェニファー・モリソン ウィノナ・カーク
ジミー・ベネット  ジェームズ・T・カーク(少年期)
ヤコブ・コーガン  スポック(少年期)

 

 

 あらすじ :

 巨大な謎の宇宙艦により宇宙艦隊士官だった父を幼い頃に亡くしたジェームズ・T・カークは酒とケンカに溺れる荒れた日々を送っていた。ある時、バーで騒ぎを起こしたカークに、パイク大佐は、父親は 800 名の命を救うために自己を犠牲にしたと語り、宇宙艦隊アカデミーへの入隊を勧める。 アカデミー在学中、ヴァルカン星からの緊急救助要請が発生し、カークの同期生らも急きょヴァルカンに向かう艦隊に召集される。カークはコバヤシマルテストの不正により謹慎が言い渡されていたが、マッコイの機転によりパイク指揮するU.S.S.エンタープライズに乗り込むことに成功する。同期のウフーラの他、スールー、チェコフらも乗り込んでいた。 カークはスポックと対立し、氷に閉ざされた近くの惑星デルタ・ベガに放り出されてしまう。ところが、ここにカークの知るスポックより129年ほど年をとったもう一人のスポックが居り、カークを助ける。年老いたスポックは、自分の力不足で未来のロミュランが崩壊に至ったこと、この時代に姿を現した巨大宇宙艦の艦長ネロは、ヴァルカンや地球を含む惑星連邦を母星の敵とみなし、過去にタイムシフトして歴史を改変し、連邦を滅亡させてロミュランの世界を確立させることを目論んでいること、カークの父の殉職をもたらした最初の攻撃により歴史はすでに書き換えられていることなどをカークに明かす。 デルタ・ベガの研究室に左遷させられていた技術者スコットとともにエンタープライズに戻ったカークは指揮権を掌握し、地球を攻撃していたネロの宇宙艦を倒す。 功績を認められたカークは正式にパイクの後継のエンタープライズ艦長に就任する。老スポックは若き日の自分の前に姿を現し、カークとの信頼関係が二人の未来に大きな意味を持つことを説く。若いスポックはエンタープライズの科学士官としてカークとともに働くことを決意する。---allcinemaより---

 

 

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 スタートレックは一番好きなSF映画であり、SFTVドラマでありSFTVアニメです。最初のTVシリーズ「宇宙大作戦」は1966年製作ですから、10歳の時から見続けていることになります。タイトルが「スター・トレック」と映画第1作と同じでこんがらがります。英語の表記は劇場版第1作は「Star Trek: The Motion Picture」でサブ・タイトルがあるのですが日本では同じタイトルになってしまいます。しかし、今回はスタートレックの正史とはちょっと違う、いわばアナザーストーリーとでもいうべき作品で、パラレルワールドの出来事みたいになっています。計画段階ではビギニングというサブタイトルも考えられていたのですが、ストーリーが二転三転してパラレルワールドの世界を描くことになったのでサブタイトルは無くなってしまったようです。まあ、お話的には初代の「宇宙大作戦」のクルーたちが、初めてエンタープライズに乗り込み、ロミュランの末裔であるネロと供に戦うまでの物語です。

 

 

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 パラドックスの世界を描いていますから本来の世界とは違う時間軸の中で物語が進行していきます。本来USSエンタープライズ号は宇宙探査が目的の宇宙連邦艦隊の戦艦です。それがこの物語ではいきなりバルカン星の危機を救う為に駆り出されます。でもってクルーはほとんど新人です。あり得っこ無い展開です。チェコフにしてもスールーにしてもまだ成人前です。マッコイも新米の医師だし、スコッティなんか辺境の惑星に左遷されています。でもってカークはコバヤシ丸事件の不正で謹慎中の身で、本来ならエンタープライズに乗船すら出来ない状況です。この時点でエンタープライズの艦長はパイク、副艦長がスポックです。ひとりウフーラだけが大人びた女性として描かれているのが際立っています。そして、何と最初はカークが手を出すのですが、ウフーラ自身は理知的論理的なスポックに魅せられていきます。映画の中で唯一のラヴシーンはこのウフーラとスポックの絡みです。これは予想外のエピソードです。しかし、パラレルワールドですから何でもありです。

 

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 なんでもありの極めつけは、青年スポックとは別に老体のスポックが同じ時間軸の中に存在していることです。エンタープライズに潜り込んだカークはスポックと作戦行動で対立し島流しならぬ星流しに合います。で、流されたのがスコッティのいるデルタ・ベガです。何とこの星に老スポックがいるのです。あっと驚く為五郎!の世界です。うまく出来たもので、ここでスコッティの作った転移装置が見事に作動しまたエンタープライズに戻ることが出来ます。しかし、ここではスポックは一緒にエンタープライズへは行きません。いったら同じ世界に新旧のスポックが存在してしまうからです。まあ、こういう設定は納得出来ますわな。

 

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 しかし、ラストでこのパラドックスが破綻します。なんと新旧のスポックが対面してしまうのです。こんなのありでしょうか。同一時間軸に二人のスポックが存在するなんて!!今までのSFではこういう描き方はタブーですが、この映画は何でもありです。始めから時間軸がずれているんですから。これはスタートレックの正史ではありませんが番外編としてはよく出来ています。人間ドラマとしてはけっこう出来た作品ですがスタートレックの歴史の中では、ネロは大した敵ではありません。確かに時代的に未来から来た人間ですが、そんなに高度な兵器を持っているわけでなく、ただ敵戦艦がばかでかいというだけです。

 

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 連邦宇宙軍が敵の戦力を分析しないまま、救援に向かうというのも馬鹿げています。そして、エンタープライズ以外はあっさりとやられてしまうという失態を演じます。連邦宇宙艦隊ってそんなに弱小なのでしょうか、というお粗末な設定です。後半にはやすやすと地球に接近してきて、ドリルという兵器で地球のエネルギーを吸い上げます。琴音ここに至るまで連邦軍は迎撃しないでひたすらエンタープライズが到着するのを待つということしかしていません。ちょっと雑な設定です。こんな馬鹿な脚本書いたの誰だといいたくなってしまいます。エンタープライズが地球を救うというのは分かりますが、あまりにもお粗末すぎます。こういうところがヒットしない要因かも知れません。こんな内容だったら何も映画化しなくてもTVドラマで充分といった出来です。そして、ポスターを見てもお分かりのようにオートバイが見えますし、予告編でもスポーツカーが出てきます。あまり、宇宙ものには縁のないマシンが登場してきます。ストーリーを見ていてもなんでこんなエピソードが・・・というぐらい違和感があります。こうしないとアメリカ受けしなかったのかな?

 

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 どういう人選でこの映画の監督にJ・J・エイブラムスが抜擢されたのかは知れませんが、彼は、米の人気ドラマ「LOST」や、斬新な切り口で世間を驚かせた映画「クローバーフィールド」の監督としても有名です。ものの解説書によると、監督は「スタートレック」シリーズのファンではないといいます。なぜか従来の「スタートレック」の世界に入り込めなかった、というのだ。しかしながら、本作品は長年のファンはもちろん、一度も見たことがないような人でも楽しめるよにしっかりと配慮しています。本来の「スタートレック」の核となる部分はそのまま引きつぎながら、まったく違う角度からストーリーを切り開いて、2009年に相応しいものに変えていくような作品づくりを目指したそうです。そういう意味ではパラレルワールドの設定はいい方向性だったかもしれません。

 

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 さて、音楽も今までの劇場版スタートレックシリーズで起用されてきた作曲家ではない人選がされています。マイケル・ジアッキノがその人です。こんな音楽どこかで聴いたなぁと思っていたら「MI:3」が彼の音楽でした。そういえば「レミーのおいしいレストラン」でアカデミー作曲賞にノミネートされていました。オリジナルTVシリーズのアレクサンダー・カレッジ作曲によるテーマ曲がちゃんと使われていて雰囲気としては奇をてらわないジェームズ・ホーナーのような作風です。軽くなく、かといって重くなく王道のシンフォニックなスコアですから申し分ありません。ただ、メインタイトルがなく、エンドクレジットがいろいろなテーマをつないでようやくそれらしき雰囲気を出しています。サントラとしてはちょっと物足りない構成になっています。下がそのオープニングに流れるテーマらしきものです。

 

 

 この曲の後にすぐ車の暴走シーンになります。で、持って次はオートバイにまたがって宇宙艦隊に志願するシーンになります。この辺りは映画の「フット・ルース」のカーチェイスや「トップ・ガン」の入隊シーンへのオマージュかなと思ってしまいます。

 

 ということで、エンドクレジットのほうがいろいろなテーマをつなぎ合わせていますから曲としては面白いです。そして、カークはこの最後でようやく艦隊の制服を着用します。