名古屋市立大学管弦楽団
第69回定期演奏会
このコンサート、ダイアリーにはメモしてあったのですが、チケットを購入忘れていて初めて入口で当日券を購入して入場しました。前売りと当日が同じ金額だったので良心的なコンサートでした。今更ですが、欧米のコンサートは当日の方がはるかに安いのでRが、どうして日本だけは逆になる現象が発生しているんでしょうかねぇ。不思議です。
当日のプログラムは以下のようになっていました。このコンサートに出かける気になったのはこの曲目です。初めて生で聴く曲目ばかりです。これでチャイコフスキーの交響曲がメインだったら多分出かけていないでしょう。
入場料を取るコンサートは増えていますが、ステージのの登場のマナーがまだまだのオーケストラでした。無料なら別に文句は言いませんが有料ならそれ相応の対応があるはずです。演奏者の入場時はこちらは拍手で迎えるのですから、せめて全員が登場した時点までその場で座らずに立って待ち全員がそろった段階で一礼すべきです。コンマスは遅れて登場して挨拶をするのですからそのタイミングで一礼すればいいのです。無料だったらケチはつけませんけどね。
今回のステージ構成はこんなふうになっていました。最初はショスタコーヴィチの「祝典序曲」です。この曲にはバンダが用意されていて、オルガンの下の席にはホルンが4本トランペットが3本トロンボーンが3本のバンダの席があります。ただステージ上の第一バイオリンは5プルトだけで6プルト目は奏者はいませんでした。 後半のラフマニノフでは着席していたので何かトラブルでもあったのでしょうか。まあ、インフルエンザも大流行していますからねぇ。
2曲目はグラズノフの交響詩「ステンカ・ラージン」です。レコードでは所有していますが、演奏会で聴くのは初めてです。組曲と言うことで6つの曲から成立しています。線カラージンは名前こそ聞いたことがありますが、訂正ロシア時代の貴族といった感じの人です。その彼の生涯を表現しています。国民楽派の作曲家らしく、グラズノフはこの英雄を称える曲を見事に表現していました。冒頭有名なロシア民謡「ヴォルガの舟唄」の旋律が引用され、グラズノフの作品としてはとてもよくまとまっていて楽しめます。グラズノフには標題音楽的な作品は他にもあるものの、明確に交響詩と名付けられた作品はこれ一曲のみで、17世紀に実在した有名な反乱コサックのアタマン、スチェパン・ラージンを題材に採り上げています。指揮者の海老原氏は、的確なバトンテクニックで、シンフォニックにこの曲をまとめていました。
休憩後の後半は、今回のメインプログラムとなるラフマニノフの交響曲第2番です。この曲で思い出すのは、アメリカ初演の時、ストコフスキーとフィラデルフィア管弦楽団のリハーサルの席で、日本人指揮者の近衛秀麿が立ち会っていて、譜面上の間違いを次々に指摘したことがあり、そのことでラフマニノフは彼のことあまり良い印象を持っていなかったと言うエピソードがあったことを思い出しました。作品的には成功した交響曲で、特に第3楽章のメロディアスな弦楽合奏が印象的な曲です。構造的には、ショスタコーヴィチの交響曲第5番のように1楽章、2楽章はアップテンポの曲で、叙情楽章を3楽章に置いています。今回の演奏では、ちょっとその第3楽章のロマンティシズムがあまり感じられず、淡々と流れてしまったのがちょっと残念でした。構造的には各学章の主題が第4楽章で再現されると言う構造になっていて、かなりまとまってはいますが、ドヴォルザークの新世界の第4楽章のような盛り上がりにはちょっと欠ける点があるような気がしました。ただ、師走の夜にこういう曲が聞けた事は妨害の喜びでした。下はラフマニノフを得意としていたプレヴィン/NHK交響楽団の演奏を貼り付けています。
そしてアンコールはやはりチャイコフスキーでした。バレエ「眠りの森の美女」からワルツが演奏されました。いつもより編成の大きなオーケストラで聴く「ワルツ」はなかなか聴き応えがあります。下は今年で引退する井上道義氏の指揮による演奏です。