愛知室内オーケストラ
特別演奏会2024
12月4日はスケジュールが合ったので、「愛知室内オーケストラ特別演奏会2024」に出かけてきました。愛知室内オーケストラの演奏会は2回目です。前回はコロナ禍の2020年11月5日に出かけています。
今年初めてのベートーヴェンの歓喜の歌 | geezenstacの森 (ameblo.jp)
今回は指揮者にカーチェン・ウォン、ピアノがゲルハルト・オピッツという魅力的な組み合わせに加えて、曲目がブラームスのピアノ協奏曲2曲という何とも贅沢な取り合わせであったことも要因です。
チケットは芸文のプレイガイドで購入しましたがあまりいい席ではありませんでした。ところが会場に行ってみると中央席は3階もほとんどすいているではありませんか。最近はネットでの発売が多いようですが、こういういい席はネットで販売しているのでしょうが、利用方法がわからないお客は無視されているのでしょうなぁ。
今回のステージ構成はこのようになっていました。ブラームスの指定では独奏ピアノ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、トランペット2、ホルン4、ティンパニ、弦五部ですから必要最小限の編成だということがわかります。ただ、この編成では重厚なブラームスはあまり期待は出来ませんわな。
リハーサル時のスナップ
シンガポール生まれのカーチェン・ウォンは今年38歳の俊英ながら、現在は日本フィルハーモニーの首席指揮者であり、この9月からは英国ハレ管弦楽団の首席指揮者にも就任しています。一方、ゲルハルト・オピッツは1953年生まれのドイツのピアニストです。1977年にドイツ人 として初めて、第2回ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで優勝したことで注目され、1981年〜2012年までミュンヘン音楽大学ピアノ科教授(史上最年少)を務めたことでも知られています。年齢的にも近しいこともありずっと注目しています。若いころは静観でしたが最近は年相応の風貌になってきましたねぇ。ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、グリーグと集中的に録音を残しています。で、今回の来日ではブラームスの2番は各地の公演で演奏していますが、第1番の方はこの愛知室内オーケストラとのみの披露となっていました。
第1楽章冒頭はティンパニの連打とオーケストラが互角に勝負するところですが、どうしても減の厚みが不足してティンパニの音量に負けていました。指揮のカーチェン・ウォンはフルトヴェングラー並に指揮棒をぶるぶると振り回して桶を煽りますがいかんせんです。その代わり、オーケストラの音はピュアそのもので各楽器の音がストレートで響いてきます。その上にオピッツのピアノが強烈な打音とともに乗ってきます。まあ、ウォンはそういう非力なオーケストラを最大限煽っていたのかもしれません。このブルブルの動作は後半では無くなっていました。まあ、オケもしり上がりに調子を上げてきたというところなんでしょう。オピッツはあまり大きな躯体ではありませんが、作り出される音楽は緻密でありながら巨大でにして繊細でブラームスの人となりを描き出していました。
休憩後の第二番は、このコンビで各地で公演が行われていることもあり、オピッツのピアノはこなれた演奏になっていました。オーケストラの方は冒頭のホルンの響からして緊張気味で、ちょっと安定感に欠けていました。フルオーケストラをバックとする演奏とは音量のバランスに苦慮する部分もありましたが、カーチェン・ウォンはすでに国際的にも認められているその力量で持って、苦心しながらもよく纏めていました。今回のコンサートはどう見てもオピッツのための演奏会で、もう少しウォンの実力を確認したかったのですが、それは次回ということにしましょう。それにしても今回のオピッツの来日は9月から12月までということでかなりの親日家と思われます。
終了後は盛大なブラボーの声が上がっていました。今年の演奏会のベストの一つと言っていいでしょう。