第48回オーケストラ定期演奏会 | geezenstacの森

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名古屋音楽大学

第48回オーケストラ定期演奏会

 

 

 大雨の降った26日の夜は「第48回オーケストラ定期演奏会」へ出かけてきました。毎年出かけているのですが、指揮者の阿部未来氏は初めての登場です。氏は今年から名古屋音楽大学非常勤講師ということもあり指揮台に登場ということです。なを、021-22年度セントラル愛知交響楽団アソシエイト・コンダクターを務めていたのはあまり知られていない所です。

 

当日の編成

 

 前半の第1曲目は、モーツァルトの魔笛序曲でした。上のステージの編成から、管楽器をバッサリ切った形での演奏でした。つまりは第一バイオリンは5プルトに対してコントラバスが6挺と言う非常にアンバランスな編成の演奏となりました。冒頭の打ち込みは力強く、またその後の弦の響きは、この6挺のコントラバスの響きが重厚に響きました。それでも全体のバランスは、そんなに崩れることなく丁寧な演奏であったとは言えますが、ちょっと安全運転しすぎたような気もしました。印象としては下のような演奏です。

 

 

 第2曲のファリアのバレエ音楽三角帽子はなかなか覇気のある演奏で、今回はメゾソプラノの相可佐代子さんが参加して、声楽入りの本格的演奏となっていました。序奏から非常にリズム感のある演奏で、大抵の演奏会は後半の第2部のほうにウェイトが置かれるのですが、今回はこの三角帽子から全力投球で見事な演奏になっていました。序奏での手拍子まできちっと取り入れられ、また、歌は舞台裏から聴こえるという本格的な「三角帽子」を楽しむことができました。

 

 

 この前半でも、メゾ・ソプラノの相可佐代子のアンコールがあり、こちらはビゼーのカルメンから「セギディーリャ」が演奏されました。

 

 さて、後半ですが、舞台編成から見るとファリャとショスタコの5番はよく似たような編成です。舞台転換はなく奏者の入れ替えだけでの対応のようです。指揮者の阿部氏はファリャでは指揮棒を使っての演奏でしたがこの後半のショスタコーヴィチは指揮棒なしでの演奏でした。ただ管に比べて弦楽セクションのバランスが少ないということもあり、全体に薄っぺらい演奏になっていたのは仕方がない所なんでしょう。何しろほとんどがトラで占められているのですから。演奏はしかし、指揮者の指示に食らいついてキレのあるシャープな演奏になっていました。弦のアンサンブルは非常に整っていて、さすが音楽大学のオーケストラの面目躍如といった所です。

 

 注目の第4楽章の冒頭のテンポは遅からず早からずといったところで小林研一郎氏が名フィルを振った時のテンポに近しいものを感じました。

 

 

 

 なかなか熱のこもった指揮で好印象を持ちました。今後はちょっと注目していこうかと思っています。そんな彼がアンコールに選んだ曲はなんとルロイ・アンダーソンの「忘れられし夢」でした。これはちよっと意外でしたが、舞台上にはちょうどピアノもあり、そのピアノソロからの始まりはクールダウンの曲としてはこれもありかな、と思えたものです。